冬 鴎    188句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
浮標(ブイ)一つこだはりて翔ぶ冬鴎 蓮尾あきら 風土 199902
冬鴎餌のあるところ陸も飛び 阿部晶子 199903
海指せば海の傷痕冬かもめ 丸山海道 京鹿子 199904
にごりなき湖の廣さや冬鴎 伊東みのり 遠嶺 199904
涙たちまち中州まっ新な冬鴎 田口満代子 海程 199909
師の詠みし月の港ぞ冬鴎 深見けん二 円虹 200003
寒夕焼琵琶湖に群るる冬鴎 酒井多加子 雲の峰 200003
冬鴎船の汽笛に深空あり 皆川盤水 春耕 200003
揚げ舟に沖を忘れし冬鴎 今井忍 ぐろっけ 200004
目のはばに冬鴎利き腕を上げよ 塩野谷仁 海程 200004
揚げ舟の一つひとつに冬鴎 笹村政子 六花 200005
昃ればひかげる色の冬かもめ 開田梅月 馬醉木 200006
船端を掠めては添ふ冬かもめ 田村すゝむ 風土 200011
白船の尾より湧きたつ冬鴎 石橋翠 いろり 200101
舞州へ夢州へ橋冬鴎 平山八十子 雨月 200103
幼年の写真を持たず冬鴎 武井清子 200103
冬かもめ登檣の礼稟として 松原フクヱ ぐろっけ 200104
風紋にあしたはなくて冬鴎 戸村よねこ 遠嶺 200104
冬鴎デジャ・ビュの閃きのやうに 高橋とも子 200107
冬鴎となりしか返事来ぬ手紙 能城檀 船団 200109
冬かもめ軍艦の影湾になし 早崎泰江 あを 200112
乙女らは麝香の匂ひ冬鴎 沼田巴字 京鹿子 200202
新宮を祝ふ汽笛や冬鴎 栗林松枝 春耕 200202
冬かもめ海よりみなとみらい聳つ 神蔵器 風土 200202
白をもて離愁としたり冬鴎 利根川妙子 200202
一湾に朝日漲る冬鴎 丹羽啓子 馬醉木 200203
病歴を忘るる日あり冬鴎 戸田喜久子 200203
冬鴎異国の匂ふ封書来る 鈴木とし子 遠嶺 200203
対岸の川灯台や冬鴎 鰍澤真佐子 春耕 200203
冬鴎銀環の日の佐渡に落つ 根岸善雄 馬醉木 200204
朝市の嫗の訛冬かもめ 上田繁 遠嶺 200205
山河越え湖に休らふ冬鴎 二瓶洋子 六花 200205
マラソンの一塊散りぬ冬かもめ 斉藤由美子 ぐろっけ 200212
ひるがへるものにわが身と冬かもめ 神蔵器 風土 200301
人恋の白湧く河口冬かもめ 松島不二夫 200302
冬鴎波のきららと紛れ飛ぶ 谷口ふみ子 雨月 200302
冬鴎闘ひながら沖へ消ゆ 房安栄子 築港 200302
冬鴎真白き風となりて翔ぶ 柴田久子 風土 200302
海鳴りの冥きに騒ぐ冬鴎 栗田武三 ぐろっけ 200302
カップルに言葉もたらす冬かもめ 安永圭子 風土 200302
冬鴎ひとつ霧笛は二つ三つ 坊城俊樹 円虹 200303
冬かもめ風に向かひて並びをり 木村冨美子 遠嶺 200303
池の岸に二十羽並ぶ冬かもめ 沢聰 馬醉木 200303
けふの川空より蒼し冬鴎 隈部郁子 200304
汐溜り群れて漂よふ冬鴎 木内美保子 六花 200304
糶あとの流水をどる冬鴎 岡本眸 200305
冬鴎黒く息づく能登瓦 原田喜久子 八千草 200306
屯して引潮を待つ冬鴎 青山悠 200312
冬鴎真白き風となりて翔ぶ 柴田久子 風土 200401
童謡の童女の像や冬鴎 村田さだ子 酸漿 200402
内海の朝日を胸に冬鴎 杉田さだ子 対岸 200403
冬鴎水族館の玻璃まぶし 小橋末吉 対岸 200403
さすらひの波をありどの冬鴎 蓮尾あきら 風土 200403
冬鴎遊船けふを限りとし 三由規童 雨月 200404
日を受けて風に逆らふ冬鴎 桑島啓司 200405
くろがねのうねりの高し冬鴎 山崎祐子 万象 200501
天辺の雲ちぎり行く冬鴎 瀬下るか 200502
越後路はシベリアの風冬かもめ 森竹昭夫 遠嶺 200503
廃船のデッキが塒冬かもめ 玉置かよ子 雨月 200503
次の世も俳句は底荷冬かもめ 加藤峰子 200503
さすらひの波をありどの冬鴎 蓮尾あきら 風土 200503
満ち潮の風が吹き上げ冬鴎 今瀬剛一 対岸 200503
冬かもめふんわり我にふんわりす 岩上とし子 200504
せはしなくとも綱きしむ冬鴎 荒井和昭 200504
波先を翔け違ひつつ冬かもめ 高橋ひろ 万象 200505
腥き朝の岸壁冬かもめ 高橋ひろ 万象 200505
光りつつわれ目指しくる冬かもめ 森永敏子 河鹿 200505
冬かもめ停泊船をパトロール 北川キヨ子 200505
反骨は腰にあるなり冬かもめ 高橋将夫 星の渦 200507
忘れ得ぬ旋律のあり冬鴎 高橋とも子 百鳥 200602
冬鴎松島湾に島二百 高畠英 河鹿 200602
日のかけら翼に乗せて冬かもめ 井口淳子 200603
メイフラワー号の舫ふ港や冬鴎 金山藤之助 200603
銅鑼といふさびしさとあり冬鴎 藤井昌治 200603
さみしくてならぬ絶壁冬かもめ 高根照子 200604
冬鴎ヨットハーバー白一色 鷹羽狩行 200701
冬がもめ不意にふらりと途中下車 山田暢子 風土 200702
冬鴎岸一列に胸白し 沢聰 馬醉木 200703
冬かもめ群より上を行く一羽 池崎るり子 六花 200704
冬かもめ白船いつか点となる 佐々木幸 200704
海と空鉛一色冬鴎 浅野恵美子 酸漿 200705
ゆつくりと日の入る中の冬かもめ 貴志尚子 200802
岸上がりして覚めやすき冬鴎 伊藤白潮 200803
岸壁にそしらぬふりの冬鴎 吉沢陽子 200804
冬かもめ荒波に身を抛てり 高橋ひろ 万象 200805
冬かもめ見てゐる佃小橋かな 三代川玲子 春燈 200901
古里に暮すすべなし冬鴎 藤原冬人 火星 200902
ヴィーナスの豊かな腹囲冬かもめ 田中藤穂 あを 200902
潮満つる群散り散りの冬かもめ 松原智津子 万象 200902
杭一本一本ごとの冬鴎 和田政子 200902
冬鴎日差しを抱き杭の先 米山喜久子 200902
海晴るる群れて羽根干す冬かもめ 塩見育代 200903
遠ざかる「回天」の島冬かもめ 田中敬 200903
墨提の青いテントに冬鴎 仁平則子 200903
街灯に一羽づつなり冬鴎 高田令子 200903
潮の香に立ちて旅愁や冬かもめ 刈米育子 200903
冬かもめ港の朝を囃しけり 葦原葭切 春燈 200903
通院の橋を渡れぱ冬かもめ 高木みさ女 炎環 200905
物故者の妻と呼ばれて冬鴎 佐藤弘香 ろんど 201001
冬かもめ輝き洗ひざらしかな 近藤喜子 201002
岸壁に積まれし鉄鎖冬かもめ きくちきみえ やぶれ傘 201003
高濤を坡塘が宥む冬かもめ 窪田粧子 馬醉木 201004
冬かもめ運河は暗き水湛へ 大木清美子 201004
啄木の歌碑をふたたび冬鴎 遠藤逍遙子 風土 201005
地震割れの波止に集へり冬鴎 塩出眞一 ぐろっけ 201005
出港の笛に乱舞の冬かもめ 鷹羽狩行 201012
啼く声の風に千切れて冬かもめ 松井志津子 201102
関門の波の尖れる冬鴎 田中清子 雨月 201103
ホバリング心得てをり冬鴎 相良牧人 201103
要塞の先はアフリカ冬鴎 猪爪皆子 201103
人の気を引く大川の冬鴎 近藤豊子 雨月 201103
綾織りの白冴え冴えと冬鴎 石坂比呂子 ろんど 201104
冬鴎蕪村の海と知り鳴くか 田中春子 雨月 201105
波高し船追ふ佐渡の冬鴎 高谷栄一 嵯峨野 201107
羽繕ひ終へて孤高の冬鴎 渡辺安酔 201201
群なして塒へ帰る冬鴎 小澤菜美 201202
冬鴎万世橋に船付場 荒井和昭 201202
冬鴎ガラスのヨット走り去る 柳生千枝子 火星 201203
突堤へ波立ち上り冬鴎 熊切修 末黒野 201203
線描のマスト江に満つ冬鴎 久布白文子 馬醉木 201203
ここに絶えし平家一門冬鴎 西川保子 春燈 201203
身を斜に餌を捉へたり冬かもめ 安斎久英 末黒野 201204
聖像の部位となりたる冬かもめ 石川笙児 馬込百坂 201206
佐渡へ行く船に群れくる冬鴎 菅原孟 かさね 201211
兵舎なほ残れる鹿屋冬鴎 酒井秀郎 返り花 201211
良寛の海に風荒ぶ冬鴎 酒井秀郎 返り花 201211
横なぐり雨が雨呼ぶ冬鴎 遠藤真砂明 201301
舟泊り翁旅地の冬かもめ 伊藤和子 201302
眼差しは冬かもめ追ふ芭蕉像 藤原照子 201302
時化日和一湾を出ぬ冬鴎 和田照海 京鹿子 201302
その先の沖の昏さよ冬鴎 コ田千鶴子 馬醉木 201302
荒海に聲をもらさぬ冬鴎 佐藤喜孝 あを 201302
浜唄は夫恋ひうたよ冬鴎 植田桂子 馬醉木 201303
冬かもめ波の白さに消えにけり 溝渕弘志 六花 201304
一斉にスマホすいすい冬鴎 長沼佐智 船団 201306
船の名は佳奈丸とあり冬鴎 塙誠一郎 201402
満潮の運河重たき冬鴎 永峰久比古 馬醉木 201404
冬鴎際立つ胸の白さかな 山田正子 201404
荒海を楽しみ浮ぶ冬鴎 長崎桂子 あを 201503
群れてよし孤高なほよし冬鴎 峰崎成規 201503
東京へ川四つ目の冬鴎 奥井あき 201504
汽笛鳴る汐留川に冬鴎 有賀昌子 やぶれ傘 201504
冬鴎荒磯の海へ海の音 北上政枝 201505
クルーズに乗りたきさうな冬鴎 岡野ひろ子 201603
漁港よりどこへ去りしか冬鴎 森高武 風土 201604
隣県の港賑はふ冬鴎 森高武 風土 201604
海上の最も白き冬鴎 高橋まき子 風土 201612
立冬の波の高さに鴎舞ふ 中江月鈴子 201612
立冬の岩場の鴎冬日射す 中江月鈴子 201612
老人の影を飛び立つ冬鴎 火箱ひろ 船団 201612
変る世にかはらぬ白や冬鴎 沼田巴字 京鹿子 201702
鴎舞ふ冬の銚子の澪つくし 田中臥石 末黒野 201702
冬鴎砂紋の透くる波平ら 森清信子 末黒野 201703
餌をとらふ波すれすれの冬鴎 菅野日出子 末黒野 201703
雨雲の沖にひろがる冬鴎 秋山信行 やぶれ傘 201703
手を振って歩幅定まる冬鴎 中川句寿夫 ここのもん 201705
岸壁の野積みコンテナ冬鴎 森清信子 末黒野 201705
梁の太き舟居や冬鴎 福田禎子 末黒野 201803
風はらむ帆は沖へ出で冬鴎 森清信子 末黒野 201804
錆匂ふ桟橋占めて冬かもめ コ田千鶴子 馬醉木 201812
釣り人の水面見てゐる冬鴎 永田万年青 六花 201902
日輪へ入りて消えたる冬鴎 瀬戸薫 風土 201902
冬かもめ光となりて翻る 内藤静 風土 201903
海原の光る一枚冬鴎 森清信子 末黒野 201903
岡よりの目路の港や冬かもめ 小原紀香 末黒野 201903
出港の巨船にまとひ冬かもめ 小原紀香 末黒野 201903
瀬戸内の燃ゆる落日冬鴎 横路尚子 末黒野 201904
貴婦人と呼ばるる塔や冬鴎 今井康子 201905
ときどき来るだみ声の冬鴎 津波古江津 船団 201906
ユーラシアの最西端や冬鴎 中山未奈藻 201907
冬鴎海荒るる日の眼に力 有松洋子 202002
「待ってる」と返事があって冬鴎 おーたえつこ 202003
檣頭の揺れにとどまり冬かもめ 森清信子 末黒野 202003
鳩も鴎も集まる河原冬うらら 田宮敦子 202003
波に乗り波に滑りて冬かもめ 野村重子 末黒野 202004
掴み取れさうな白雲冬鴎 森高武 風土 202004
烏賊船に氷積む音冬かもめ 横田敬子 202007
コロナ禍や行先まよふ冬鴎 持田信子 春燈 202102
うすうすと昼の月あり冬鴎 藤生不二男 六花 202102
窓辺にも立ち寄り来たれ冬かもめ 藤生不二男 六花 202103
冬かもめ心許して間寄らず 浅木ノヱ 春燈 202105
冬鴎吾れも生かされ飛び立たん 吉宇田麻衣 202105
冬鴎猫の顔してうづくまる 山田六甲 六花 202202
住み古りし貌なる浜の冬かもめ 小嶋恵美 春燈 202203
潮入の運河船なし冬かもめ 岡野里子 末黒野 202203
ロープウエーに見下ろす港冬かもめ 間島あきら 風土 202204
日の沈む方へ向かひて冬鴎 岡美智子 末黒野 202205

 

2022年12月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。