袋 掛   160句

袋掛け忘れ紅らむ桃一顆   武井久雄   獐

作品
作者
掲載誌
掲載年月
校舎より見下ろす枇杷の袋掛 植田のぼる 雨月 199807
袋掛して風神をよろこばす 鷹羽狩行 199809
腕の窪肘の窪振る袋掛 飯塚ゑ子 火星 199810
火の島の裾花のごと袋掛 澤田緑生 馬醉木 199905
海の照り返しに耐へて袋掛 鷹羽狩行 199905
朝空に雪渓嵌めし袋掛 岡野美代子 馬醉木 199908
梨棚の明り平らに袋掛 雫槍紀代 199909
形あるもの見届けて袋掛 有吉桜雲 199910
よく晴れて村はいつきに袋掛 前阪洋子 俳句通信 200007
天辺の梢ほぼ平た袋掛 桑田真佐子 200008
袋掛彼の世此の世の紙ひと重 新井竜才 銀化 200008
浪の音山越えてくる袋掛 鈴木夢亭 春耕 200009
「きまじめ」と「のんき」の二人袋掛 木村美猫 ぐろっけ 200009
袋掛ふくろの中に風溜めて 小林あつ子 火星 200108
良寛の空へ寺領の袋掛 能村研三 200108
初めての指輪眩しき袋掛 中村昭義 百鳥 200108
袋掛け収入役の投げキッス 梶浦玲良子 六花 200108
袋掛日を拒む魂まぎれ込む 中原道夫 銀化 200108
正面に南アルプス袋掛 江川和彦 200109
葉陰より人声のして袋掛 前田達江 200109
紀の川のきらめく朝袋掛 池田光子 風土 200109
白き手の嫁加はりし袋掛 師岡洋子 ぐろっけ 200109
袋掛をんなも大き手をもてる 阿部いく子 百鳥 200110
ペン胼胝のなかなか消えず袋掛 松本文一郎 六花 200110
袋掛け玉の輿ほど願はねど 岩尾みち子 京鹿子 200207
橋立の海晴るる日の袋掛 岩木茂 風土 200207
脚立から声が降り来る袋掛 栢森定男 あを 200207
袋掛されし中なる自解かな 川名将義 銀化 200207
潮の香の日ざしまともや袋掛 西村博子 馬醉木 200208
袋掛すんで元気な村となる 山田弘子 円虹 200208
みづうみの岸の匂ひし袋掛 野澤あき 火星 200209
遠鳩のくぐもり声や袋掛 奥澤和子 200209
恥ぢらひつたつた一つの袋掛 小林恵子 遠嶺 200211
実南天袋掛して旅に出づ 永田あき 酸漿 200302
袋掛済みし信濃路ゆく限り 稲畑汀子 ホトトギス 200305
太陽を一つづつ消し袋掛 稲畑汀子 ホトトギス 200305
一日で済ますやりくり袋掛 稲畑汀子 ホトトギス 200305
青空を四方にひろげて袋掛 鷹羽狩行 200306
茫洋と能古の海原袋掛 伊藤月江 雲の峯 200307
火の山のしづかなる日の袋掛 杉浦典子 火星 200307
袋掛なぜか余りし袋かな 中田寿子 ぐろっけ 200309
吾が歳と変はらぬ樹齢袋掛け 垂水イツ子 ぐろっけ 200309
蔵王嶺の晴れて賑はふ袋掛 高橋さえ子 200310
大山を遥かに梨の袋掛 中道愛子 200312
退院や今年も枇杷の袋掛 小柳順子 帆船 200406
摘果てふリストラ済めば袋掛 泉田秋硯 200407
一切を白にやすらふ袋掛 齊藤實 200407
どうしても多い目桃の袋掛 藤原一路 築港 200408
脚立より浅間嶺望む袋掛 宮入河童 200409
袋掛うちの一人は少女なり 木下野生 200409
無器用は誰に似たるか袋掛 山本漾子 雨月 200409
島々の午後はしりぞく袋掛 櫨木優子 200409
母在さぬこと口にせず袋掛 谷口外穂 200410
袋掛終り盆地の一伽藍 戸田和子 200410
袋掛親しさ増せる稲城かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200505
袋掛稲城の風を知り尽し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200505
袋掛稲城の空を引き絞り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200505
瀬戸内の夕照恃む袋掛 水原春郎 馬醉木 200506
袋掛け枇杷も個室の欲しきころ 坂本京子 200507
浮雲に触れむばかりの袋掛け 河口仁志 200508
英字紙の袋掛けあり札所道 藤田かもめ 200509
袋掛け桃の自閉のはじめとも 坂本京子 200509
庭の木の袋掛けある一樹かな 板橋智恵子 百鳥 200509
麥刈の中に梨の袋掛 瀧春一 常念 200606
袋掛あばるる枝をひきよせて 野口みどり 酸漿 200607
里山の枇杷に親子の袋掛け 松元末則 酸漿 200608
カリヨンの歌届きけり袋掛 宇田喜美栄 200705
袋掛夕日に角のありにけり 百瀬七生子 海光 200705
鉤引きてたわんで揺れて袋掛 黒杭良雄 ホトトギス 200709
ひたすらに専守防衛袋掛 北尾章郎 200709
木曽駒岳の峰に雲とび袋掛 隅田恵子 雨月 200709
玄海の真青なる日や袋掛 青山悠 200808
袋掛け樹上で競う若夫婦 岡野峯代 ぐろっけ 200808
抱卵の鳩の目きびし袋掛け 林和子 200809
袋掛終へて大雨注意報 飛鳥由紀 200810
袋掛けし榠樝歪も傷もなし 松崎鉄之介 200901
袋掛け了へ枇杷山の飛び立ちさう 柿本麗子 200906
聖家族揃うて桃の袋掛 五十嵐勉 200908
アルバイトらしき長身袋掛 樋口英子 200908
美しきものを包みて袋掛 長田等 200908
津軽富士借景にして袋掛 井口淳子 200909
声とどくところに夫妻袋掛 中島あきら 200909
袋掛せねば青き実色づき来 大橋晄 雨月 201007
衣ぬぎ作務衣に着替へ袋掛 本多正子 雨月 201008
目残しに指図されつつ袋掛く 本多正子 雨月 201008
浅間嶺にまだ夕日あり袋掛 石原光徳 酸漿 201008
三山の雪の斑しるき袋掛 久田澄子 馬醉木 201009
一村の日々活気づく袋掛け 林和子 201009
鶏鳴や身をそらしては袋掛 橋添やよひ 風土 201009
犬小屋の上十まりの袋掛 山尾玉藻 火星 201009
おのころは水田明りの袋掛 丸山照子 火星 201009
桃畑に甲斐日和あり袋掛 浅野恵美子 酸漿 201009
魂を包むごとくに袋掛 高橋将夫 201010
袋掛されて稲城の空の色 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
いろいろの殊に黄色の袋掛 だいじみどり 201107
まなじりに湖の青さや袋掛 海老根武夫 201108
饒舌なラジオを流し袋掛 布川直幸 201109
郭公の鳴きまねしつつ袋掛く 博多永楽 雨月 201109
味真野は越のまほろば袋掛 中石土亮 万象 201110
袋掛稲城の空を近付けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
長老はみてゐるだけの袋掛 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
太陽を閉ぢ込めてゆく袋掛 稲畑汀子 ホトトギス 201205
一変の景色となりし袋掛 稻畑汀子 ホトトギス 201206
桃一本の袋掛けして病みゐたり 山尾玉藻 火星 201206
袋掛け高島・端島定位置に 荒井千佐代 201207
袋掛け濁りし川に潮差し来 荒井千佐代 201208
打ち寄する波音近く袋掛 福島せいぎ 万象 201208
袋掛け富士に農鳥あざやかに 野畑さゆり 201209
火の山の匂ひの中の袋掛 杉浦典子 火星 201209
一湾を抱く火の山袋掛 小柳千美子 かさね 201307
枇杷の木にオレンジ色の袋掛 平居澪子 六花 201309
廃校に桃の一本袋掛 小川明美 万象 201311
廃校に桃の一本袋掛 小川明美 万象 201408
日も風も包み込みたり袋掛 高橋明 末黒野 201408
袋掛け産着を着せる手つきして 住田千代子 六花 201410
次の実を目で追うてをり袋掛 住田千代子 六花 201410
桃の香をほのかに詰めて袋掛 住田千代子 六花 201410
袋掛果実の里の色鎮め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
稲城野に通ひし昔袋掛 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
常念岳へ脚立のいくつ袋掛 山本雅子 馬醉木 201507
袋掛にはかの風に日の翳る 松橋利雄 春燈 201508
袋掛夫婦無言ですれ違ふ 上谷昌憲 201508
袋掛け薬ぶくろも使はれて 長田秀行 万象 201508
袋掛遠きサイレン正午なり 定梶じょう あを 201508
木曾谷の空玲瓏と袋掛 徳井節子 馬醉木 201509
袋掛時を知らせる背の夕日 米山のり子 馬醉木 201509
日暮までまだ刻のあり袋掛 中島和子 やぶれ傘 201509
袋掛け風の騒げる枝の中 佐津のぼる 六花 201509
慣れぬ手の百の溜息袋掛 飯田久美子 末黒野 201511
遠山の日の翳りきし袋掛 石川倜子 馬醉木 201607
甲斐の日の眉にこぼれて袋掛 徳井節子 馬醉木 201608
袋掛馴れたる友の逞しく 田村初枝 春燈 201608
大灘のきらめく一日袋掛 伊藤よし江 201608
くつきりと山見ゆる日や袋掛 都留百太郎 末黒野 201609
真緑の桃の実の待つ袋掛 赤座典子 あを 201708
袋掛普羅の白根を真向ひに 南うみを 風土 201709
爪先に力の入る袋掛 中山皓雪 201709
袋掛脚立のうへの指図かな 松田明子 201709
教会へ道の明るき袋掛け 河原敬子 201804
おむすびは心のかたち袋掛 小山田子鬼 201807
海峡の風をつまんで袋掛 和田照海 京鹿子 201808
早々に袋掛けされ塀の枇杷 小池一司 やぶれ傘 201808
梯子して沖をはるかに袋掛 藤生不二男 六花 201809
次の実を目で追うてをり袋掛 住田千代子 野に遊ぶ 201811
稜線を染むる夕日や袋掛 松田多朗 馬醉木 201907
袋掛終ふや山風遊びをり 足立典子 雨月 201909
香具山の平らかな日の袋掛 荒川心星 201910
袋掛てふ手順には迷ひなく 稲畑汀子 ホトトギス 202005
仕上りてゆける修羅場も袋掛 稲畑汀子 ホトトギス 202005
稲城野の風裏返し袋掛 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
袋掛己が心を包み込み 植村蘇星 京鹿子 202006
袋掛け済みて指折るとりいれ崩 鈴鹿仁 京鹿子 202006
山の風やさしく吹けよ袋掛 鈴鹿仁 京鹿子 202006
枝をゆらす人語鳥語や袋掛 菊池和子 京鹿子 202008
大の字の嬰を転ばせ袋掛 西村白杼 京鹿子 202008
大江山影も入れたる袋掛 西村白杼 京鹿子 202008
袋掛く空の青さを包みては 園部蕗郷 春燈 202008
濃く薄く浅間の煙袋掛 山中志津子 京鹿子 202008
豊作の日を願ひつつ袋掛け 及川照子 末黒野 202009
落人に山の傾く袋掛 笹村政子 六花 202010
枇杷山の軽業師めく袋掛 里村梨邨 202010
風の音変はりてきたる袋掛 高倉和子 202010
不器用に空傾けて袋掛 石原孝人 京鹿子 202101
昏れどきの川照つよし袋掛 能村研三 202107
やまびこの帰る故山や袋掛け 本郷公子 京鹿子 202109
胸元に枝引き寄せて袋掛け 中村洋子 風土 202109
十指まだ自在がうれし袋掛 高久正 202110
社あり袋掛ありビル狭間 須藤常央 ホトトギス 202110
手仕事でなければ出来ぬ袋掛 本田保 春燈 202208
岩木山より吹く風のなか袋掛 高橋宜治 やぶれ傘 202210
袋掛鳥取砂丘眠りをり 山田和 京鹿子 202301

 

2023年5月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。