噴 井     70句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
天涯に朱の毬つくも噴井かな 栗栖恵通子 199808
水に水まざつてゆきし噴井かな 竹内悦子 199809
噴井にて滾ることなき血や思ふ 中原道夫 銀化 199810
母の忌の閼伽桶に汲む噴井かな 麻生當子 199907
ふるさとの噴井跡絶えぬ鳥雲に 大橋敦子 雨月 200005
藻のゆれて大日おはす噴井かな 延広禎一 200108
噴井なほ噴く毀たれし生家あと 北川英子 200109
先生とかたまつて行く噴井かな 延広禎一 200109
水底にうごく物見ゆ噴井かな 高木良多 春耕 200111
貰ひ水造り酒屋の噴井かな 二瓶洋子 六花 200112
飲めますと柄杓おきある噴井かな 二村蘭秋 雨月 200212
静かなる噴井の水に鼓動あり 工藤進 200310
宇治十帖の世の神の地の噴井汲む 江木紀子 雨月 200310
ふるさとは面影ばかり噴井鳴る 木下ふみ子 馬醉木 200311
花芙蓉むかし酒屋の噴井あと 大堀鶴侶 雨月 200311
ことの葉を心の種の噴井かな 浜明史 風土 200406
両の手で沸点掬ふ噴井かな 久染康子 200406
むかし帝の茶の湯の噴井とぞ伝ふ 今井妙子 雨月 200407
地核より弧が弧を生みし噴井かな 工藤進 200409
十一面観音噴井涸れつづけ 今瀬剛一 対岸 200502
水戸様の代の音たてて噴井かな 藤田輝枝 対岸 200507
鑛山やまの村噴井に障子洗ふなど 瀧春一 菜園 200509
花ふぶく道に噴井の水はしり 瀧春一 菜園 200509
森閑や噴井の底の一円貨 松本静江 遠嶺 200510
性悪のをんなに映る噴井かな 吉田明子 200510
秋澄めり噴井にたまる喜捨の銭 佐々木碩夫 200511
心音に似たる噴井のありにけり 細川洋子 200601
噴井の辺小銭供へて水貰ふ 梁瀬照恵 ぐろっけ 200610
噴井ある家に冷やさる大西瓜 伊藤通友 200610
掌に受けて噴井に力ありにけり 安永圭子 風土 200611
かなかなの旦を鳴ける噴井かな 瀧春一 200706
青き夜となりぬ噴井の水飲めば 伊東恵美子 馬醉木 200710
旅果ての噴井に歪む顔ごと飲む 渡邉友七 あを 200712
宝寿てふ噴井さらさらこの世かな 延広禎一 200809
木曜といふしづけさの噴井かな 飛鳥由紀 200811
父祖の地や噴井に野菜をどらする 青山正生 200811
戦災に水脈断たれたる噴井なり 大橋敦子 雨月 200907
葛餅や故郷に噴井ありてこそ 大橋敦子 雨月 200907
道の辺の噴井あふるる梅まつり 岸野美知子 酸漿 200907
庭先の噴井飲ませて貰ひけり 山路紀子 風土 200908
名噴井掬して六腑に水の声 鎌田慶子 ろんど 200909
噴井戸に西瓜の自転ありにけり 鈴木伸一 200909
日蝕の翳りはじめし噴井かな 雨村敏子 200910
混混の噴井に三歩父母の墓 岩本セツ女 ろんど 200911
爽やかや滑車の錆びる自噴井戸 加藤峰子 200912
一杯の噴井で杜氏しめとせり 丸井巴水 京鹿子 201007
自噴井の水を味はふ春意かな 加藤良子 春燈 201007
服薬の宮の噴井を汲みにけり 永島雅子 春燈 201007
美しく砂躍らせて噴井かな 手拝裕任 201008
マロニエや噴井あふるる水の音 小川玉泉 末黒野 201008
通学せし駅に噴井のとどまらず 品川鈴子 ぐろっけ 201009
鯉を飼ふ生水しょうずの郷の噴井かな 山口キミコ 201011
幾重にも水を重ねる噴井かな 西田拓郎 201012
氷柱となりて古刹の噴井かな 滝川あい子 雨月 201106
言霊の幸ふ鄙の噴井かな 柳川晋 201110
噴井見て由来を読みて噴井見る 江木紀子 雨月 201110
噴井より跳ねて天魚のみづ隠れ 和田照海 京鹿子 201201
心音のやうな噴井のありにけり 本多俊子 201208
青竹の杓新しき噴井かな 高橋明 末黒野 201311
覗き見る噴井より風微かなり 中根美保 風土 201510
噴井から鮒の尺ほど跳ねにけり 村高卯 201609
噴井より田に灌ぐ音なりし 荒井和昭 201709
噴井より抜きて十指の白さかな 大川ゆかり 201710
自噴井にひたすてのひら春惜む コ田千鶴子 馬醉木 201805
一の谷駈け下りて来し噴井かな 山田六甲 六花 201807
千年の噴井を守るのれん風 伊吹之博 京鹿子 201809
一善の始め噴井に手を浸す 高木晶子 京鹿子 201812
五百年城の盛衰知る噴井 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
澄めるだけ澄む噴井あり魚の影 小林和子 202110
万病の癒ゆると謂れ噴井汲む 小林拓路 末黒野 202111

 

2022年5月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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