雛流し      152句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雛流す母に片手を預けつつ 水原春郎 馬醉木 199806
遠嶺雲うすくれなゐや雛流し 益本えりか 馬醉木 199807
船住みの人は船より雛流し 鷹羽狩行 199905
潮風に肩を寄せ合ふ雛流す 渡辺立男 馬醉木 199905
園児等が手波を立てて雛流す 鈴木浩子 ぐろっけ 199906
雛流す御手洗川の透きとほり 阪上多恵子 雨月 199906
雛流し胸に哀れの残りけり 田中藤穂 水瓶座 200002
依代になづな添へたる雛流し 内山芳子 雨月 200006
雛流るハングル文字のタンカーへ 木田千女 200006
手を放す刻はかりをり雛流し 水原春郎 馬醉木 200006
掌にのせて別れ惜みつ雛流す 水田清子 200006
雛流す嬰抱くやうに抱き来て 内山芳子 雨月 200006
雛流すそが負ひてきし過去もまた 樺山翠 雨月 200006
雛流し遠き佳き日も流れけり 木内美保子 六花 200006
山国の蒼き流れへ雛流す 内山和江 奧嶺 200010
雛流れ去り紅唇を眼にのこす 林翔 200105
雛流ししあとは抱かれてゐたりけり 野澤あき 火星 200106
雛流すことも流離や壇の浦 中川濱子 ぐろっけ 200106
濁り川貫く一揆野に雛流す 渡邊牢晴 雨月 200106
雛流す水辺や遠し車椅子 松本恭昴 火星 200106
沖とざす雲も祓はる雛流し 小野喬樹 馬酔木 200106
海にまでつづく青空雛流す 岡部玄治 200110
かつて雛流せし浜に巨船着く 村瀬初美 春耕 200205
おろおろと川中不動雛流す 西村葉子 京鹿子 200205
針金のやうな日差しや雛流す 久崎富美子 200206
うつし世の別れのひとつ雛流し 澤井悠紀子 200206
をみならに囲まれ男の子雛流す 水原春郎 馬醉木 200206
雛流し終へたる水面衰へし 澤井悠紀子 200206
雛流し終えて目瞑る風の中 久崎富美子 200206
雛流る金の屏風に風受けて 久保田由布 ぐろっけ 200206
雛流す雛より低く屈みゐて 城孝子 火星 200206
ひさびさの北国日和雛流し 澤井悠紀子 200206
洞窟にこもるしほさゐ雛流す 木曽岳風子 六花 200206
山近く海近く住み雛流す 澤井悠紀子 200206
峠より風の出て来し雛流し 山田春生 春耕 200206
幼帝の沈みし海に雛流す 進峰月 円虹 200207
罔象女に行方託して雛流す 阪上多恵子 雨月 200207
それぞれに想ひを残し雛流る 藤井豊子 築港 200207
雛流す馬関の海も神の庭 進峰月 円虹 200207
平家物語こころに雛流す 進峰月 円虹 200207
雛流し果てて瀬音の高まりぬ 中御門あや 雲の峯 200306
雛流す雛より愛ぐしき姉妹あり 植竹美代子 雨月 200306
雛流す袂を母にをさへられ 中御門あや 雲の峯 200306
風猛の雨に卑弥呼が雛流す 山陰石楠 200307
海に向き祝詞朗々雛流す 仙石君子 雨月 200307
片足は石にふんばり雛流す 山元志津香 西の峰 200401
雛流し終へて河原の残さるる 稲畑汀子 ホトトギス 200404
雛流しあはれその夜の風の音 岡本眸 200404
この下(しも)の三里先なる雛流し 浜口高子 火星 200406
雛流す幼子小さき手を合はせ 鈴木佐和子 築港 200406
海峡に朱となる潮や雛流し 川上恵子 雨月 200406
真夜中や枕のなかを雛流れ 柴田佐知子 200406
雛流す巫女より桃の花を受け 阪上多恵子 雨月 200406
隅田川水に溶けゆく雛流す 橘澄男 「山景」 200408
雛流す火星にも水ありしとか 平野きぬ子 八千草 200408
倖せは海の彼方よ雛流す 泉田秋硯 200506
新しい過去が欲しくて雛流す 山元志津香 八千草 200506
雛流し水の流れの迅すぎて 大西正栄 雨月 200507
雛流す思案の汝が瞳うつくしき 山元志津香 八千草 200509
木の国の川にたゆたひ雛流る 堀川福子 馬醉木 200605
海が呼び山が呼びをり雛流し 松村多美 四葩 200605
おほかたは指太き人雛流す 城孝子 火星 200606
雛流す禰宜の娘にして眉目美しき 玉置かよ子 雨月 200606
雛流し一つひとつにある別れ 笹倉さえみ 雨月 200606
親王も波をかぶれり雛流し 里見紀子 四葩 200606
海峡を大きく祓ひ雛流す 川上恵子 雨月 200606
加太の蜑雛流す日は舟出さず 玉置かよ子 雨月 200606
雛流す二人三人の手を添えて 浅井よしみ 八千草 200609
晩婚の幸せもあり雛流す 浅井よしみ 八千草 200609
雛流るもとより戻る気などなく 柴田佐知子 200705
音の無き水面おそろし雛流し 金田きみ子 200706
幼らの十指に祈り雛流す 鈴木漱玉 馬醉木 200806
雛流す稚児の袂の濡れさうな 加古みちよ 火星 200807
流すまで傘きせかける雛流し 山本耀子 火星 200807
遠来の客も混りし雛流し 浅井青陽子 ホトトギス 200808
雛流す母に袂を持たれゐて 立石萌木 雨月 200809
小さきが先づ走りそむ雛流し 新関一杜 京鹿子 200903
雛流しはかなき色をほどきつつ 植田桂子 馬醉木 200904
病む友の快癒を祷り雛流す 諸戸せつ子 春燈 200905
増水の川波高し雛流す 渡辺鶴来 春燈 200905
淡島さま見守る浜よ雛流し 白澤よし子 馬酔木 200905
雛流先づ手はじめの藁仕事 浅井青陽子 ホトトギス 200906
雛流る目鼻賜ることもなく 柴田佐知子 200906
追ひかくる子を置き去りに雛流る 森脇貞子 雨月 200906
着水は明るきところ雛流し 岡田由季 炎環 200907
空を見て海見て雛流れゆく 富田範保 200907
雛流す生れしままの里に住み 上辻蒼人 風土 200907
うす曇る阿太の里雛流す日は 上辻蒼人 風土 200907
童心のむかしのままに雛流す 浅井青陽子 ホトトギス 200908
禰宜に次ぎ稚児が祓へり雛流し 大橋晄 雨月 201005
揺れながら頷きながら雛流る 柴田志津子 201005
うづたかく雛流さるる茅淳海 有本倍美 ろんど 201006
幣立てて荒磯の浦に雛流す 溝内健乃 雨月 201006
幣ちぎるるほどの浜風雛流す 溝内健乃 雨月 201006
雛流し糺の神の見そなはす 深澤鱶 火星 201006
雛流し目を合はせ合ふこともなく 久永つう 六花 201007
手作りの雛流してこころ足る 浅井青陽子 ホトトギス 201008
雛流すより汝の未来始まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
雛流し目が躊躇うてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
師の御句心みたしつ雛流す 水野節子 雨月 201106
雛流す波の賜合を計りをり 小野喬樹 馬醉木 201205
黙の中風のささやき雛流し 上田玲子 201205
寄せにけり雛流しし夜の布団 城孝子 火星 201206
雛流し補陀落に向く日差しかな 延広禎一 201305
雛流し粗き編み目の眞菰舟 内海良太 万象 201305
雛流す日は師を偲ぶ口なるべし 山本喜朗 雨月 201406
雛流し憂さ捨て潮香つれ戻る 川上恵子 雨月 201406
膝折りて師の句調して雛流す 水野節子 雨月 201407
雛流す川面をしきり燕とぶ 三輪温子 雨月 201407
阿田の子の袂を離れ雛流る 三輪温子 雨月 201407
雛流す川に山影濃くありぬ 荒井千佐代 201504
島縫へる潮の平らや雛流し 森藤千鶴 馬醉木 201505
逡巡を重ねて雛流れゆく 大橋晄 雨月 201505
雛流すものの哀れのありにけり 水野節子 雨月 201506
雛流し分水嶺を近くして 生田恵美子 風土 201506
もう一度髪なでつけて雛流す 鈴木庸子 風土 201506
娘の病ひ負ひゆけ雛流しけり 成瀬櫻桃子 春燈 201604
雛流す熊野水軍統べし海 広渡敬雄 201606
雛流し挽歌となりぬ鳥のこゑ 室伏みどり 雨月 201606
雛流す男波女波を見定めて 大坪景章 椿垣 201612
雛流すお城を少し傾けて 吉田葎 201705
雛流しとて紙舟に紙の雛 中原敏雄 雨月 201706
行く方を竿でうながし雛流す 高倉和子 201708
紙雛袂を広げ流れゆく 石橋幾代 201808
はぐれぬやう結びし雛流しけり 天谷翔子 201808
子は袂濡らしつ雛を流しけり 住田千代子 野に遊ぶ 201811
海の面にそぼ降る雨や雛流す 能村研三 201904
雛流し櫓も櫂もなし紀伊水道 高島正比古 京鹿子 201907
竜宮へ流れつきたる雛かな 山内碧 201909
雛流し嘘泣きをして手を離す 田尻勝子 六花 202006
雛流しむかし小さな手に添へて 善野行 六花 202006
雛流すコロナウイルス流す たかはしすなお 202006
伏目して少し笑みゐる雛流す 永田万年青 六花 202006
子離れのこころに雛を流しけり 升田ヤス子 六花 202007
桟俵流れて雛泣きにけり 今井弘雄 春燈 202105
泣きながら流されてゆく雛あらむ 荒井千佐代 202105
紙雛の膝糊付けにして流す 中田みなみ 202206
あつさりと流るる雛へ小走りす 中田みなみ 202206
流し雛空の青さの波の上 住田千代子 六花 202206
沈みつつ帯ほどけゆく流し雛 荒井千佐代空 202211
愛ほしむ間もなく流す紙雛 石橋幾代 202212
臆したり岸に留まる流し雛 高木晶子 京鹿子 202306

 

2024年3月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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