初 烏     202句

興安の嶺より嶺へ初鴉   高島茂   飛鳥

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初烏いやしきさまを見せにけり 塩田博久 風土 199901
神出づる大岩ありし初鴉 各務耐子 199903
初鴉神より仏まで飛べる 夏秋明子 火星 199904
初鴉なれど賢しく餌を狙ふ 梁瀬照恵 ぐろっけ 199904
群なして海峡わたる初鴉 野原培子 春耕 199904
山の数数へてゆくよ初鴉 村越化石 200003
人影と欅の影と初鴉 小山森生 200004
新世紀より羽音くる初鴉 山田弘子 円虹 200101
ひと息もふた息も白初鴉 吉弘恭子 あを 200101
初鴉夢の片端きりとらる 吉弘恭子 あを 200101
美しき熊野は遠し初鴉 沼田巴字 京鹿子 200101
初鴉あかねの空を触れまはる 斉藤静枝 あを 200102
初鴉頭上を一羽二羽三羽 大熊庸介 200103
初鴉高千穂の野に声落とす 宮川杵名男 春耕 200104
くちばしを鋏開きに初鴉 池田かよ ぐろっけ 200105
鳳凰にとまりて宇治の初鴉 丁野弘 200112
初鴉忘却の刻引きもどす 宇都宮滴水 京鹿子 200201
仰ぎ追ふ身の耳疎し初鴉 鈴木壺山 200201
かたまつて墨堤を越す初鴉 皆川盤水 春耕 200202
神杉のいづこより降り初鴉 宮本道子 酸漿 200203
加賀殿の赤門寂びぬ初鴉 石鍋みさ代 春耕 200203
初鴉嗄れの声憚らず 綿谷美那 雨月 200204
ふるさとはやはり山ほし初鴉 高田好子 京鹿子 200204
ふるさとに帰つて来いと初鴉 木村光葉 200205
庭の松天辺高し初鴉 稲畑汀子 ホトトギス 200211
「カ行」から間髪入れて初鴉 丸山佳子 京鹿子 200302
電柱の手持ち無沙汰の初鴉 小野博志 築港 200303
神官の祝詞のあひを初鴉 藤田八重子 築港 200303
初鴉わが家の屋根に来て啼けり 大塚宏子 築港 200303
初鴉吾に会釈をした様な 内山千代子 帆船 200303
神の木に甘えし声の初烏 森脇多恵子 帆船 200303
初鴉まづは鉄塔より国見 豊田都峰 京鹿子 200303
目の見えぬ空を仰げり初烏 白石秀雄 酸漿 200303
初鴉朱雀門より飛翔せり 山下佳子 200304
雨降って地固まらず初鴉 鶴目鯛遊子 六花 200304
散らかしのまた始まりぬ初鴉 四戸和彦 八千草 200307
初鴉餅を銜へて逃げゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200311
ヤーヨーイ伊良部(いろう)より来る初鴉 松崎鉄之介 200403
初鴉ハタキのやうに飛んでくる 佐藤喜孝 あを 200403
電線に撓みし数の初烏 藤居長治 築港 200403
閑々と声ひびかせて初鴉 村上沙央 200404
初鴉鳥獣戯画の国へ行く 笠間圭子 京鹿子 200404
初鴉鳥羽僧正の貌でゐる 笠間圭子 京鹿子 200404
初鴉人にかぎらぬ里訛 吉弘恭子 あを 200404
定位置の電線たわむ初鴉 井上綾 ぐろっけ 200404
赤松の高き空より初鴉 浜和佳子 百鳥 200404
東雲に点となりゆく初鴉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
松風の渡る高さに初鴉 稲畑汀子 ホトトギス 200501
初鴉とて大空を滑走す 塩川雄三 築港 200503
初鴉流離はじまることなどは 豊田都峰 京鹿子 200503
初鴉束の間雲のさくら色 中條今日子 万象 200504
いのち美し声よく鳴いて初鴉 城石美津子 京鹿子 200504
初鴉無辺の光り追ひながら 芝生南天 河鹿 200504
初鴉富士の白さをとびゆける 嶋田一歩 ホトトギス 200505
人間よ阿呆阿呆と初鴉 和田美代子 八千草 200507
初鴉大きく翼つかひけり 中村房枝 六花 200601
富士を見し歓声のごと初鴉 林翔 200603
電柱の取替へられて初鴉 早崎泰江 あを 200603
大空を渡る声あり初鴉 浅田浦蛙 対岸 200603
東雲や鳴き連なつて初鴉 松山佐治彦 河鹿 200604
初鴉一声御慶申し過ぐ 斎藤道子 馬醉木 200604
東山連峰晴るる初鴉 大竹淑子 風土 200604
初鴉三笠の山に集ひけり 須永トシ 栴檀 200604
初烏越えてゆきたり大手門 村中信子 万象 200605
きゆるきゆると空氣軋ませ初鴉 佐藤喜孝 あを 200605
住み古りて相知りわれと初鴉 村松紅花 ホトトギス 200606
初鴉明るき声で鳴きにけり 野口年江 酸漿 200703
初鴉鉄の手摺に降りて来し 市橋章子 ぐろっけ 200703
日の影となりてくろぐろ初鴉 西宮舞 200704
末吉のおみくじ覗く初鴉 岩淵彰 遠嶺 200704
初鴉熱海海岸出ずにとぶ 嶋田一歩 ホトトギス 200705
電線を弾ませてゐる初鴉 小林朱夏 200801
初鴉しづかに拭ふ墓の石 岡野ひろ子 200803
初鴉地上ばかりを見てゐたり 芝尚子 あを 200803
独唱のテノールかとも初鴉 前野狼騎 200804
初鴉工都の澄みを触れて飛ぶ 和田政子 200804
天を指すメタセコイアヘ初鴉 藤本節子 万象 200804
初鴉の哄笑響く朝かな 中田禎子 200804
初鴉二羽悠然と大空に 小山ナオ子 酸漿 200804
大空にはばむものなし初鴉 東芳子 酸漿 200804
俳磚の文字袈裟懸けに初鴉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
黒といふ祝ぎの色艶初鴉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
初鴉酔へばむかしはよかりけり 竹貫示虹 京鹿子 200901
二上山の紺青の暁初鴉 田中芳夫 200904
けふだけはわが宿に啼け初鴉 栗田武三 ぐろっけ 200904
初烏一番高き木を選び 山田暢子 風土 200904
羽榑つて風たしかむる初鴉 戸栗末廣 火星 200904
湖に白き波立つ初鴉 吉村光子 火星 200904
初鴉明けの箱根の山霽るる 渡邊孝彦 やぶれ傘 200905
碓井川の速き流れや初烏 湯本実 やぶれ傘 200905
黒楽やブラツクホール初鴉 林日圓 京鹿子 201001
女っ気増えし寅年初鴉 和田森早苗 201004
牛王宝印受く熊野路の初鴉 山本耀子 火星 201004
歌垣の山平らかや初鴉 西村節子 火星 201004
ことさらに声高三たび初鴉 吉沢秀ひろ ろんど 201004
城を翔(た)ち城に戻りし初鴉 桑島啓司 201005
初鴉孤高飼犬孤独かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201007
初鴉やさしき声を発しけり 高橋将夫 201101
大風の隙間を蹴つて初鴉 布川直幸 201101
船だまり一つづつ訪ふ初烏 中尾廣美 ぐろっけ 201102
今朝はやも芥(ごみ)狙ひ来る初鴉 字治重郎 201103
はばぬけを甘受甘受や初鴉 加藤みき 201103
日のあたる金色の千木初鴉 庄司久美子 201104
森に神山に仏や初鴉 下山田美江 風土 201104
しののめを声捨ててゆく初鴉 松本三千夫 末黒野 201104
初烏己が餌と呼び合へり 高橋明 末黒野 201104
天平の甍おおらか初鴉 藤岡紫水 京鹿子 201104
悪太郎なれども町の初烏 根橋宏次 やぶれ傘 201105
初鴉宗旨の違ふ夫とゐて 笹村政子 初鼓 201105
初鴉宗旨の違ふ夫とゐて 笹村政子 初鼓 201105
八咫烏かも筑波嶺の初鴉 布川直幸 201201
初鴉山の祠は一巡り 豊田都峰 京鹿子 201203
暁紅に染まりて二羽の初鴉 清海信子 末黒野 201204
たつぷりと大阪に寝ね初鴉 中島陽華 201205
氏神の餅をさらひし初鴉 大畑ハマ子 万象選集 201205
初鴉庚申塔を蹴りたてり 寺内まち 万象選集 201205
御饌の田の雪散らしたる初鴉 太田明子 万象選集 201205
大いなるひとこゑ不意に初鴉 有賀昌子 やぶれ傘 201206
芥子粒のごとく高みへ初鴉 山田六甲 六花 201301
初鴉日矢うけ姿ととのひぬ 篠原幸子 春燈 201303
石だたみ玉歩とは斯く初鴉 定梶じょう あを 201303
鉄塔に威儀正しけり初鴉 山田愛子 201304
団地道白百合自生初鴉 池田光子 201304
弓なりの海岸線に初鴉 宮崎高根 201304
初鴉一礼ありて鳴き交す 岩下芳子 201304
初鴉落款押してをりにけり 庄司久美子 201304
初鴉宮居の木立鎮もれり 福島悠紀 ぐろっけ 201304
自転車の前カゴ襲ふ初鴉 吉田和子 ぐろっけ 201305
昨日とは声あらためよ初鴉 西川みほ 末黒野 201305
初鴉このごろ饅頭生活と 火箱ひろ 船団 201306
運動場の水呑みゐたる初鴉 山田六甲 六花 201401
息合はせをりしがいつか初鴉 井上信子 201402
初鴉とび歩きして付いてくる 加藤みき 201403
八咫がらす畏れ遠啼き初鴉 塩貝朱千 京鹿子 201403
初鴉今朝はやさしく見つめたり 柴田靖子 201404
初鴉そろそろ欲しき髪飾り 丸井巴水 京鹿子 201404
背山よりいつもの声の初鴉 後藤比奈夫 ホトトギス 201405
初鴉どすんと屋根を凹ませて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201412
初鴉とんと仮設のトタン屋根 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
副都心空を狭めて初鴉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
藁屑の田に出揃ひぬ初鴉 山田六甲 六花 201501
初鴉珈琲ひと口タイの朝 大口堂遊 春燈 201503
高々と羽ををさむる初鴉 永田圭子 ろんど 201504
本殿もなにやら咥へ初鴉 笹村政子 六花 201504
初鴉何かかくしてゐさうなり 中谷富子 201603
青竹のかをる手水や初鴉 能勢俊子 馬醉木 201604
鴨川の浅瀬の岩に初鴉 渡邊孝彦 やぶれ傘 201604
はたはたと羽音ゆたかや初鴉 松本三千夫 末黒野 201604
一山を浄土と鳴けり初烏 黒滝志麻子 末黒野 201604
松に来て松をはなるる初鴉 竹内悦子 201604
嗄れし声を一途に初鴉 犬塚李里子 201604
陵杜のねぐら発ちたる初鴉 笹村政子 六花 201604
初鴉御慶述ぶかに鳴きわたる 三輪温子 雨月 201604
何はともあれ紛れなき初鴉 野沢しの武 風土 201607
純白の地に初鴉の句読点 伊藤紫水 風土 201609
鳥見神社に玉の声して初鴉 内海良太 万象 201703
神木の瘤に日のさし初鴉 菊池洋子 やぶれ傘 201703
はたはたと羽音ゆたかや初鴉 松本三千夫 末黒野 201704
筑波嶺の空を傾け初烏 森清堯 末黒野 201704
初鴉風切る音の強さかな 飛田典子 末黒野 201704
日の出づる海へ声張る初鴉 元和木恵美 馬醉木 201704
神宮の森の風韻初鴉 佐藤貞子 雨月 201704
初鴉呵々呵々かうと笑ひけり 山田六甲 六花 201801
本殿と拝殿と踏み初鴉 瀬島洒望 やぶれ傘 201803
初烏ゴミ捨て場所をごちやごちやに 白石正躬 やぶれ傘 201803
初鴉六郷川を超え行けり 渡邉孝彦 やぶれ傘 201803
初鴉まつぼつくりに躓けり 菊池洋子 やぶれ傘 201803
住吉の松の空ゆく初鴉 市村健夫 馬醉木 201803
初鴉水脈ひくものを視野に入れ 平居澪子 六花 201804
樟大樹喨喨(りやうりやう)として初鴉 寺田すず江 201804
伊勢の方向きて鳴きをり初鴉 前田美恵子 201804
初鴉杜に一声のこしをり 神田恵琳 春燈 201903
松の枝ばさと揺らして初鴉 土井三乙 風土 201903
鴨川の河原へ来たる初鴉 渡邉孝彦 やぶれ傘 201903
行列を眺めに来たか初烏 林田麻裕 201903
初鴉さらり一読「永六訓」 笹村ルル 201903
朝日差す鳥居高々初鴉 田中嘉信 春燈 201904
蓬莱を往き来してをる初鴉 中田禎子 201904
呼びおうて声確かめり初鴉 藤田美耶子 201904
起き抜けに此の世ひづまず初鴉 三木亨 201904
土くれを桂馬跳びして初鴉 南うみを 風土 201904
初鴉真白き朝を斬り開く 小山寿子 風土 201904
初鴉日ざしの方へ急ぎけり 安斎久英 末黒野 201904
初鴉いつもの間延びしたる声 志方章子 六花 201904
濡れ羽色見せて羽ばたく初鴉 谷口一献 六花 201904
したり顔して電柱に初鴉 善野行 六花 201904
とりあえず続く男系初鴉 火箱ひろ 船団 201906
初鴉病窓過る速さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
呼び合うて千木に止りぬ初鴉 森清堯 末黒野 202003
電柱でふた声みこゑ初烏
松村光典 やぶれ傘 202003
初鴉ここぞの声を張りにけり 小倉陶女 春燈 202004
初鴉おのが翼を誇りけり 山田佳乃 ホトトギス 202006
気品あるやうでなき黒初鴉 須藤常央 ホトトギス 202006
初鴉霞が関をほしいまま 堅山道助 風土 202011
初鴉聖母子像の白見上げ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
静かなる樹下に潜める初鴉 谷口摩耶 202203
初烏わつはあはあと銀座路地 篠田純子 あを 202203
初鴉袖振り合ひて躱しけり 奥田筆子 京鹿子 202204
すこやかなる糞放りたまふ初鴉 小田嶋野笛 末黒野 202205
初烏言祝ぐ声の清々し 由良則子 202206
ただ一羽烏城を過ぐる初鴉 えとう樹里 202208
初鴉一息つける静寂かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212

 

2023年1月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。