春の夕    78句

つま木には野辺のさわらび折りそへて春の夕にかへる山人    藤原家隆

作品
作者
掲載誌
掲載年月
立春の夕べの湯気の 雪花菜 きらず 岡井省二 199904
紅の雲がひとすじ春の夕 三宅やよい 船団 199906
川のもの見にゆく春の夕べかな 岡本高明 200005
「赤旗」を拡げゐるひと春の夕 坂上香菜 200107
心して春の夕べに気を凝らす 栗林千津 船団 200109
老い猫と店番をして春の夕 三枝邦光 ぐろっけ 200206
老松に歌碑添ふ春の夕べかな 山田怜子 遠嶺 200206
穴掘りて埋める工事春の夕 佐藤喜孝 あを 200404
大部屋の輪になつてゐる春の夕 片岡静子 200405
カナリヤの餌買ひに出る春の夕 岡山裕美 雲の峰 200405
水いろといふは何いろ春の夕 八田木枯 夜さり 200409
早春の夕影淡し独り病む 三枝きぬ子 帆船 200505
須磨寺や春の夕べの濃くありぬ 林いづみ 風土 200606
ひかりつつ春の夕べの雲動く 柳生千枝子 火星 200705
新装の花舗にふらりと春の夕 土岐明子 遠嶺 200705
路地裏や春の夕ベの三味の音 山村修 酸漿 200707
教へ子と固き握手や春の夕 岡田弘子 遠嶺 200806
うつ伏せに嬰寝て春の夕べかな 荒井千佐代 200807
学童の保育所灯る春の夕 早崎泰江 あを 200905
春の夕芭蕉の聴きし水の音 森理和 あをかき 200906
白樫の葉越しの春の夕焼けかな 藤井美晴 やぶれ傘 200906
水面打つ鯉の尾ひれや春の夕 有賀昌子 やぶれ傘 200907
波の音一つなき湖春の夕 宮崎正 ホトトギス 200907
炉の溶けしごとくに春の夕日かな 杉本綾 201108
指切りの約束春の夕焼雲 柳生千枝子 火星 201205
春の夕野良猫に擦り寄られたり 森理和 あを 201303
春の夕オニオンスープ匂ひ立ち 笠井清佑 201304
石垣を藁しべ飛べり春の夕 林範昭 火星 201305
山鳩の声を親しく春の夕 青野安佐子 201306
翼たたみ子の帰りくる春の夕 近藤喜子 201405
島影の濃きと淡きが春の夕 安藤久美子 やぶれ傘 201405
書店へと帰途まつすぐに春の夕 柿沼盟子 風土 201505
竹林へ流るる煙春の夕 吉村さよ子 春燈 201506
日に映えて棚引く雲や春の夕 中野久雄 末黒野 201507
豆腐売り声を限りと春の夕 磯部愛子 末黒野 201509
閘門の大きく黒し春夕日 鈴木良戈 201605
縫ひあげてこころ足る日や春の夕 小山直子 末黒野 201605
マネキンの礎長かり春夕べ 阪倉孝子 201605
郵便受け律儀に並ぶ春夕べ 安居正浩 201606
喫茶店友と語らふ春夕 湯本朱美 末黒野 201607
砂時計音なく刻む春夕日 西住三惠子 201608
能登の梅春の夕日に弧をなせる 赤堀洋子 万象 201609
隣人の大き嚔や春の夕 山荘慶子 あを 201705
川岸に農夫と妻と春の夕 田中信行 201707
千金の春の夕暮花は散る 菊谷潔 六花 201707
塩入れて貝動きだす春の夕 今井康子 201708
泣きたくて刻む玉ねぎ春夕ベ はしもと風里 201806
バイク二つ番のやうに春夕べ 森なほ子 あを 201806
春夕べ富士際立ちて輝けり 大橋晄 雨月 201808
羽搏きて波立つ池や春夕べ 高倉和子 201808
春夕べ富士際立ちて輝けり 大橋晄 ホトトギス 201811
春夕べ男がのぞく姫鏡 柴田志津子 201906
乗り換への電車待ちゐる春の夕 住田千代子 六花 201906
便箋の罫線細し春夕べ 小島良子 201907
物憂げなカピバラの顔春の夕 平松うさぎ 202005
昼席を出でて上野の春夕べ 菅野日出子 末黒野 202006
ケサランパサランとも思われて春の夕べ 池田澄子 船団 202006
気怠さに真珠色なり春の夕 長崎桂子 あを 202007
久々にラインの顔や春夕べ 河野昭彦 ホトトギス 202009
すり鉢の縁はふつくら春夕べ 田中とし江 202010
畳紙開けば百花春夕べ 山内碧 202104
春夕べ親し山並み見て暫し 長崎桂子 あを 202104
春夕ベソファーにつきし座り癖 小山よる やぶれ傘 202105
春夕べ字の似た人の封書くる 中村紀美子 春燈 202105
リモートや手を振る母と春の夕 大庭美智代 末黒野 202105
黒猫と過ごす喪服の春夕べ 根來隆元 202105
春夕べ味噌煮にするや独り膳 西谷恵美子 春燈 202107
子らの落書残る路地裏春の夕 鈴木千恵子 末黒野 202107
何もせず時が過ぎゆく春の夕 枝みや子 やぶれ傘 202108
春夕べ弥生の壺のふとりたる あさなが捷 202108
粉ミルクの匙のももいろ春夕ベ 大川ゆかり 202201
春の夕風久々にスーツ着て 小山よる やぶれ傘 202206
本伏せてなんにもしない春の夕 小泉里香 やぶれ傘 202206
伝説の勿撞の鐘や春夕べ 橋添やよひ 風土 202207
魚を焼く匂ひも春の夕べかな 土井三乙 風土 202207
春の夕まだ見つからぬかくれんぼ前 武藤敏子 202207
春の夕後光満ちゆく寺の庭 中川のぼる 202209
畳屋に春の夕べのタタミ屑 松尾龍之介空 202211

 

2023年3月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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