春の鳶     158句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
岬鳶ねぐら定めの春の舞 丸山海道 京鹿子 199809
春北風翼を張りて島の鳶 木下節子 俳句通信 199904
春岬天へ天へと鳶一羽 福間慶子 俳句通信 199904
砂に輪を描けば土俵や春の鳶 山田六甲 六花 200003
火の山は息ゆるやかに春の鳶 三嶋隆英 馬醉木 200005
一刷毛の雲背景に春の鳶 阿部晶子 200005
みだれなき鳶の笛なり春障子 藤田宏 200005
軍港に春荒の鳶吹き流され 藤田宏 200104
どこまでも砂丘明るし春の鳶 上田希実 遠嶺 200107
鱒池を鳶のめぐれる暮春かな 作山泰一 200107
春光のフェリーの水脈や鳶の笛 神山喜美代 遠嶺 200107
松原につづく風紋春の鳶 野口光江 遠嶺 200108
石柱は空腹ならむ春の鳶 岡井省二 200110
塔心礎に影を落して春の鳶 阪上多惠子 雨月 200201
立子忌や谷戸から谷戸へ春の鳶 伊藤妙 200204
鳶笛のうつつに春の天主たつ 武藤ともお 京鹿子 200206
春鳶のこゑ降る句碑が島の芯 植松安子 200206
鳶の笛不意に低くて春の潮 土肥屯蕪里 雲の峰 200206
等身の影を走らせ春の鳶 仲村青彦 200206
ふる里は変りて止まず春の鳶 鈴木多枝子 あを 200206
春の鳶海の名残りの崖の道 野口光江 遠嶺 200207
鳶の笛たしかに春を呼びおらん 宮原みさを 花月亭 200208
貌大き山野の鳶や竹の春 高橋さえ子 200304
さりげなく二の舞かはす春の鳶 小野寺節子 風土 200306
傘買ひて鳶舞ふ湖の春しぐれ 松本鷹根 京鹿子 200306
みづからの声を聴くかに春の鳶 椎名和代 200307
気の遠くなる高みへと春の鳶 近藤栄治 200404
下座せよと権現様の春の鳶 山田六甲 六花 200405
春北風や鴉が鳶を撃退す 川口崇子 万象 200408
辞本涯の碑に海凪ぎて春の鳶 有働亨 馬醉木 200503
貫之の風待港春の鳶 内海保子 万象 200505
万葉の島に春立つ鳶の笛 江崎成則 栴檀 200505
春の鳶伊丹に高く二つの輪 森津三郎 京鹿子 200506
鳶が餌を引き合ふ宙を春時雨 江崎和子 栴檀 200506
春の鳶遠心力を傾げつつ 曽根久順 200604
真つ白な襁褓が乾され春の鳶 佐藤つぎ女 対岸 200605
ゆつくりと身をさかさまに春の鳶 中村恭子 200606
鳶嬲るからす吹かれて春一番 坂根北陵 京鹿子 200607
燧灘祓うてゆけり春の鳶 山田六甲 六花 200704
一隅を照らす春寒鳶かな 米山喜久子 200704
海へ向く鳶押し戻す春疾風 浅野惠美子 酸漿 200705
残照に酔うて鳶舞ふ春隣 坪井洋子 200705
鳶の輪をさらつてゆきし春疾風 方近藤きくえ 200705
鳶の笛春の水面の風となり 北島和奘 風土 200705
春天に鳶あたらしき逢瀬あり 小澤克己 遠嶺 200705
海峡の空一点の春の鳶 峯桜子 遠嶺 200706
春の鳶龍太の視線より消ゆる 根岸善行 風土 200706
春疾風枝を咥へて鳶翔べり 大工原清明 万象 200707
春の鳶課外授業の声弾み 深津一葉 200708
立春の凪ぎゐる浜や鳶の笛 木暮剛平 万象 200805
標的は何ぞ頭上を春の鳶 岸はじめ ぐろっけ 200805
ひく波に阿波の砂音春の鳶 きくちきみえ やぶれ傘 200806
舟唄の棹を返せば春の鳶 中川雄作 遠嶺 200806
春昼や鳶は平らを保ちづめ 伊藤トキノ 200807
春疾風大きく羽を使ふ鳶 山田六甲 六花 200904
街空を悠々と舞ふ春の鳶 鎌倉喜久恵 あを 200904
疾風に流されずをり春の鳶 山田六甲 六花 200904
鳶の舞ふ磯馴の松や春を待ち 増田一代 200904
旋回の鳶春光の磯めぐる 大西八洲雄 万象 200905
春濤をはやす鳶の急降下 加藤峰子 200906
春荒の空が傾く鳶の輪 館容子 200906
春の鳶灯台守るごとく舞ふ 早崎泰江 あを 200906
鳶の輪の大きな空や春炬燵 片岡啓子 遠嶺 200906
一瞬の羽音掠めし春の鳶 浅野恵美子 酸漿 200906
春の鳶舞ふ頂の目の高さ 西山春文 200907
春の鳶浮桟橋の揺れにあり 大山文子 火星 200907
春の鳶つばさ使はず高みへと 笹下蟷螂子 200907
天守よりひよろりと出でし春の鳶 山本無蓋 200907
春潮と鳶を眼下に崖観音 渡部節郎 転舵の渦 200911
龍太忌やこゑあきらかに春の鳶 小川匠太郎 201002
夕空に声吸はれゆく春の鳶 府川昭子 春燈 201004
鳶舞ふや千の貝抱く春の湖 小田明美 春燈 201004
鳶声の立体交差春隣 田中貞雄 ろんど 201004
春の風邪癒ゆ鳶の輪の下に 高田令子 201005
退院を祝ぐか輪をかく春の鳶 西村梛子 馬醉木 201006
春の鳶極楽橋を渡りけり 池端英子 ろんど 201006
春の鳶円周率の無限なる 宮内とし子 201006
春の鳶ゆるり輪を描き漁港 坂根宏子 201006
春の鳶伊勢一湾を領しけり 井口淳子 201007
帆柱を止り木代り春の鳶 小川玉泉 末黒野 201007
遠山の春動きけり鳶の笛 青山正英 201007
魚捌く一部始終を春の鳶 瀬島洒望 やぶれ傘 201008
貝拾ふ童女に舞へり春の鳶 佐藤いね子 馬醉木 201012
円を描きいよよ数増す春の鳶 竹内涼子 末黒野 201104
喉の神祀る明神春の鳶 川越昭子 万象 201105
春立ちし窓辺横切る鳶の影 澤浦緑 ぐろっけ 201105
立春の上昇気流鳶舞へり 山下美典 ホトトギス 201106
晩春を影もてよぎる鳶のこゑ 服部早苗 201107
鳶鳴いて春まだ頼りなかりけり 岩岡中正 ホトトギス 201107
春の虹鳶はゆるりと弧を描き 有賀昌子 やぶれ傘 201108
春の海光る礁のうへに鳶 有賀昌子 やぶれ傘 201108
鳶の笛上国甲斐は春のなか 井上石動 あを 201204
鳶の輪の大きくて春遠からじ 松本三千夫 末黒野 201204
鳶の笛頻りに降りぬ島の春 嵐弥生 末黒野 201204
春立つや鳶職が空往き交ひて 田代貞枝 201205
父と子の諍ひ許せ春の鳶 石田康明 春燈 201205
一つ来てまた一つの輪春の鳶 森田尚宏 201205
みちのくや片雲つなぐ春の鳶 柴崎富子 春燈 201205
春潮の昂ぶる荒磯鳶の笛 中野久雄 末黒野 201206
はればれと春の信濃に鳶の声 白石正躬 やぶれ傘 201207
握手して見舞妻去ぬ春の鳶 酒井秀郎 返り花 201211
青空の展けてきたり春の鳶 笹村政子 六花 201305
鳶の群回りて春天曇りけり 田尻勝子 六花 201305
帰漁舟洗ふ下校子春の鳶 田下宮子 201306
春塵の届かぬ湖上鳶の舞 三枝邦光 ぐろっけ 201307
鳶の笛雲よりこぼれ名のみ春 竹貫示虹 京鹿子 201402
潮風に乗るまで重し春の鳶 吉田順子 201405
車座で弁当春の鳶寄れり 須賀敏子 あを 201405
ゆつくりとひとつところを春の鳶 根橋宏次 やぶれ傘 201405
春昼の空をひろげし鳶の笛 大内マキ子 万象 201407
目交ひを鳶の滑空春うらら 和泉道草 末黒野 201407
島裏の春陰払ふ鳶の笛 西川みほ 末黒野 201407
淺井あざい姫に笛たてまつる春の鳶 山田六甲 六花 201504
春の鳶輪の中に的しぼり切り 大畑善昭 201505
春の海大きくなりし鳶の輪 森理和 あを 201505
みづうみに沖のありけり春の鳶 藤生不二男 六花 201506
一湾の海をならして春の鳶 和田照海 京鹿子 201506
早春の空のなかなる鳶かな 白石正躬 やぶれ傘 201506
右回りばかりしてゐる春の鳶 きくちえみこ 港の鴉 201510
接岸の船よりロープ春の鳶 きくちえみこ 港の鴉 201510
海に向くベンチは白し春の鳶 きくちえみこ 港の鴉 201510
春の鳶若狭の国へはみ出しぬ 山田六甲 六花 201604
鳶は輪に鷺は沈思に春流す 松本鷹根 京鹿子 201605
ふはふはの春の雲より鳶のこゑ 廣瀬雅男 やぶれ傘 201605
鳶の輪のなかの一村春田打つ 阪上多恵子 雨月 201605
行く春の鳶や高みに輪を絞り 千田百里 201606
春の海鳶の先ゆく一丁櫓 鶴岡紀代 春燈 201606
岬鼻の風を操り春の鳶 萩庭一幹 馬醉木 201606
石切場跡はむき出し春の鳶 瀬島洒望 やぶれ傘 201607
潮曇りせる神鏡や春の鳶 深川淑枝 201607
鳶の輪のなほも高みへ春祭 森俊人 201610
鳶の笛空に流るる春の水 杉本薬王子 風土 201611
春探る鳶を見下ろす稲荷山 松本鷹根 京鹿子 201705
公案に合格春の鳶の円 有松洋子 201705
城址に春が来てゐる鳶の笛 戸栗末廣 201705
春の鳶羽を荒げて飛び発てり 永田万年青 六花 201705
春立つや背山へ鳶の急降下 吉田きみえ 末黒野 201705
神守の鳶のこゑ舞ふ春の潮 岡村清美 馬醉木 201712
大らかな旋回春呼ぶ鳶の笛 浅田セツ子 春燈 201804
春光に鳶あり映画記念館 平沢恵子 春燈 201805
鳶の輪大きく春の立つ日かな 渡辺やや 風土 201805
鳶の輪は村の大きさ春田打つ 市村明代 馬醉木 201905
鳶の春蒼天はなほ上にあり 岩崎俊 201905
一湾を迫り上がりたる春の鳶 和田照海 京鹿子 201906
行く春のうぶすなの空鳶の空 土井三乙 風土 201906
耳元に風切る羽音春の鳶 和田慈子 末黒野 201906
春の鳶杭一本に身をゆだね 安斎久英 末黒野 201908
春の鳶飛行機雲を追ひながら 安斎久英 末黒野 201908
風強し城の高さに春の鳶 山田六甲 六花 202003
群青の空ふんはりと春の鳶 堺昌子 末黒野 202006
春の鳶比叡の上を幾廻り 有松洋子 202007
佇まふ八重垣姫に春の鳶 赤座典子 あを 202104
葬送の曲に水尾あり春の鳶 原友子 202107
湘南の風引きしぼり春の鳶 斉藤マキ子 末黒野 202107
見上ぐるや早春の鳶ゆうゆうと 津野桂子 末黒野 202205
春の鳶ひかりの円を描きつつ 戸栗末廣空 202211
春の鳶真似て両手をひろげたり 松尾龍之介空 202211
くづるるといふ朝空を春の鳶 兒玉充代空 202211

 

2023年4月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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