春の空(春空 春天)      191句

いつくしむごと覆ほへり春の空    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春の空仕事に倦めば庭に出る 稲畑汀子 ホトトギス 199903
春の空見上げ心に通ふもの 稲畑汀子 ホトトギス 199903
浮雲を抜けてゆく雲春の空 稲畑汀子 ホトトギス 199903
又踏んでみたき大地に春の空 稲畑汀子 ホトトギス 199903
飛行雲いつしか紛れ春の空 黒川南無観 円虹 199906
鉛筆のかな文字淡し春の空 穴澤光江 花菜風 199907
わが立ちて壺のごとしや春の空 鷹羽狩行 200004
記念館型整ひて春の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 200004
春の空引き寄せ稲城駅に佇つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200004
ルート又見付けし稲城春の空 稲畑廣太郎 ホトトギス 200004
広く濃く春の空稲城野大地 稲畑廣太郎 ホトトギス 200004
寝返って啄木のそら春の空 塩見恵介 虹の種 200005
春の空暗くこの世を祝いおり 岩田ひろあき 船団 200009
遠き世の塔あそばせて春の空 鷹羽狩行 200105
春の空縦に使へり観覧車 佐藤真次 200105
宮参り柏手韻く春の空 塩野きみ 遠嶺 200105
あたらしく貫く道や春の空 杉浦富士子 遠嶺 200106
大塔の木の間隠れに春の空 中島陽華 200106
うわのそら試されている春の空 葉月ひさ子 船団 200106
十ほどの春の空なる三面鏡 伊藤翠 船団 200109
呼気吸気おのづから息春の空 岡井省二 200201
春の空下町の音弾きをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200204
大岩の今に落ちさう春の空 板倉勉 六花 200204
暮れなづむ夕べの色や春の空 夏目満子 酸漿 200205
菓子店のバニラの香り春の空 清水晃子 遠嶺 200206
トランポリン春の空へと子を抛る 隅田享子 200207
スキップを踏んでもみむか春の空 鳴海清美 六花 200207
再建の大佛仰ぐ春の空 長谷川としゑ ぐろっけ 200207
草鞋屋のわらぢ釣りをり春の空 井上菜摘子 京鹿子 200208
春の空下町変りゆく早さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200304
長城の見ゆるかぎりを春の空 田中重子 雲の峰 200304
春の空よろこんでゐる赤ン坊 佐藤喜孝 青寫眞 200304
春の空丘あり海あり軍隊あり 佐藤喜孝 青寫眞 200304
夢でいい君と住みたい春の空 松田克行 帆船 200305
星が出揃ひて濁りし春の空 鷹羽狩行 200305
落慶の散華の舞へる春の空 杉本美智江 雨月 200306
竹とんぼ消えてしまつた春の空 木内美保子 六花 200307
パタパタとヘリコプターや春の空 浜崎壬午 円虹 200307
ふりかぶる春の空あり榧大樹 高橋邦夫 風土 200307
ふじつぼや吾に凹みて春の天 岡井省二 省二全句集 200312
仰ぎゐる面面や春の空 中野京子 200405
病棟の玻璃戸は開かず春の空 二村蘭秋 雨月 200405
看護婦に送られ仰ぐ春の空 二村蘭秋 雨月 200405
目に見えぬものを懼るる春の空 田中藤穂 あを 200405
屋根越ゆる乳歯の行方春の空 森下康子 200406
家族ありて夕餉のしたく春の空 林裕美子 六花 200407
ペンギンの並びて仰ぐ春の空 片山由美子 200503
しゆわしゆわと春の空ゆく大鴉 植松美根子 200505
ガレ展を出て大江戸の春の空 青木久子 遠嶺 200506
曼荼羅をめくればそこに春の空 高橋将夫 200506
春の空鳥に時間を盗まれし 林裕美子 六花 200506
岐路に立つ背の大きくて春の空 林裕美子 六花 200506
春天やいつも誰かが何かして 高橋将夫 星の渦 200507
ペガソスの泉の色よ春の空 近藤喜子 200507
春の空草に寝転び眺めおり わかやぎすずめ 六花 200606
それぞれに月も陽もあり春の空 田尻勝子 六花 200606
黄のべール失せたる春の空青し 大橋晄 雨月 200707
ガウディの作りかけなる春の空 中野京子 翁草 200710
女講釈甲高き声春の空 羽賀恭子 200805
春の空剥ぎ取るやうに象の鼻 齊藤實 200805
春の空キャンバスとして飛行雲 山崎泰世 200806
大の字にゐて春の空歩みけり 近藤公子 200806
良きことに国境は無し春の空 伊吹之博 京鹿子 200807
雲ふたつ来てひとつ去る春の空 布川直幸 200905
寄生木の数へて七つ春の空 山路紀子 風土 200905
飛行機雲の先端確と春の空 奈佐幸子 200906
のんちやんはどの雲に乗る春の空 竹内慶子 春燈 200906
少年のシュートそれたる春の空 黒澤登美枝 200906
凭れたる突堤温し春の空 吉沢陽子 200906
竹揺れて弧を描きをり春の空 山崎里美 200907
変遷の世を見て春の空仰ぐ 佐藤健伍 200907
春の空に見事英知のドツキング 北村香朗 京鹿子 200907
限りなき人智の果ての春の空 北村香朗 京鹿子 200907
仰臥せる窓いつぱいに春の空 山田をがたま 京鹿子 200907
春の空うすべに色を溶かしたる 稲岡長 ホトトギス 200909
決断の時は春天仰ぐなり 高橋将夫 201004
沼杉の気根によきによき春の空 岩下芳子 201005
春の空光りのなかの飛行船 吉弘恭子 あを 201005
春空に吸はるる若き海女の笛 前川美智子 末黒野 201006
産声に調べありけり春の天 谷岡尚美 201006
春の空より霹靂の訃報かな 稲岡長 ホトトギス 201007
山鳩の声いづこより春の空 高野幸次 201007
病衣着て暫し仰ぐや春の空 渡邉紅華 酸奬 201008
馬の眼に沈んでゐたる春の空 十川たかし 201105
突然に春の空白地震止まず 能村研三 201105
鈴鴨の鈴の音聴かん春の空 松岡水学 ぐろっけ 201105
思案して傘持って出る春の空 鎌倉喜久恵 あを 201105
春の空痛し大津波の襲ふ 田中藤穂 あを 201105
うす雲を呼ぶこと好きな春の空 橋本くに彦 ホトトギス 201106

 悼 冨松寛子さん

省二師の句座にぎはへる春の天

延広禎一 201106
生涯にこんな大事故春の空 佐藤健伍 201107
手を合わす無事の朝夕春の空 谷村幸子 201107
重たげな麒麟の瞼春の空 恒成久美子 ぐろっけ 201108
地を割つて春の空へと地震走る 布川直幸 201203
春空に輪をなしゐたる煙かな 松下八重美 夢見の鐘 201203
榧の木の斜めに春の空分かつ 篠田純子 あを 201204
ひと声を鴨春空になげかける 吉弘恭子 あを 201204
ロケットの様にアンテナ春の空 坂根宏子 201205
立春の空へと機種を上げにけり 平居澪子 六花 201205
早春の空へさし入る野の煙 白石正躬 やぶれ傘 201206
銀嶺の果てなく走る春の空 梶浦玲良子 六花 201207
飛行機雲の直線延びる小春空 石川寿夫 ろんど 201302
シャガールの山羊浮くやうな春の空に 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
真下から梯子伸びをり春の天 山田六甲 六花 201304
立春の空へ弁慶飛び立てり 渡部法子 201304
春空へ紙の飛行機病室から 長瀬節子 ぐろっけ 201304
韋駄天の走り出すかに春の空 谷岡尚美 201306
春空へ帆を張る声や日本丸 持田信子 春燈 201307
春の空廃材燃やす湯屋煙 四葉允子 ぐろっけ 201307
立春の空がわくわく浜広し 羽賀恭子 201404
春空に在るけもの道ヘリコプター 篠田純子 あを 201404
鵯にひもじき春の空ばかり 山田六甲 六花 201404
春空や投網のごとき雲流る 吉弘恭子 あを 201405
ハングライダーと鴉一羽の春の空 有賀昌子 やぶれ傘 201407
画用紙を線路はみだし春天へ 有松洋子 緑光 201411
春天や影濃くなれば人旅へ 堀内一郎 堀内一郎集 201412
春の空都庁圧されてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
春の空そんな泣かへんでもええやん 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
咲くものの色皆春の空に溶け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
日日痩する白き月浮く春の空 伴秋草 末黒野 201505
春の空刷毛に払ひしほどの雲 宮本俊子 雨月 201506
新記録達成の日や春の空 伊吹之博 京鹿子 201506
早春の空のなかなる鳶かな 白石正躬 やぶれ傘 201506
海鳥の翼のびやか春の空 飛田典子 末黒野 201506
春の空鳥影だんだん小さくなる 大山夏子 201508
春空の片頬に触れ観覧車 安居正浩 201604
浅春の空テニスボールの音軽く 佐藤まさ子 春燈 201605
悠悠とパイプをくはふ春の空 中堀倫子 201606
春の空ビルの真上に昼の月 濱野新 やぶれ傘 201606
春の空ゆらし緋鯉の浮きあがる 田中道江 万象 201606
春天を越えむと銀翼高度上ぐ 有松洋子 201607
これも春空じんめりとどんよりと 松村光典 やぶれ傘 201608
釈超空歌碑に鹿笛響く春の空 安永圭子 風土 201608
はんなりとやっぱりはんなり春の空 伊藤ふみ 船団 201612
早春の空に声あり大欅 松本鷹根 京鹿子 201704
幾たびも立春の空仰ぎ見る 岡田正義 雨月 201705
春天の洞にけぶれる潮仏 布施政子 馬醉木 201707
宇宙までとろけさうけふの春空 有松洋子 201707
晴れ晴れと水神祭の春の空 大内佐奈枝 万象 201707
空振りの釣竿突く春の空 橋本くに彦 ホトトギス 201708
春の空映す水面に魚の口 青木朋子 201707
逆上がり春野の空の裏返る 鈴木一広 201804
雲影のひとつ無き空春立てり 鈴鹿呂仁 京鹿子 201804
春の空仰ぎ大地を踏みしむる 稲畑汀子 ホトトギス 201804
雲いつも東へ流れ春の空 稲畑汀子 ホトトギス 201804
春の空日帰りの旅一とまたぎ 稲畑汀子 ホトトギス 201804
白雲を食べてしまひし春の空 岩下芳子 201805
雲一つ無き空に浮く春の月 出口誠 六花 201805
窓からの青空清し春近し 水谷直子 京鹿子 201805
窓一杯の青空よ春となり 水谷直子 京鹿子 201805
春めきて日向の空の明るさよ 礒貝尚孝 201805
街春めくパステル調の空の下 浅井青二 雨月 201806
春の空竜の形に雲動く 須賀敏子 あを 201805
悲しみが片づいてゆく春の空 火箱ひろ 201806
春禽は光のつぶて空真青 森清信子 末黒野 201806
透きとほる真青なる空春立てり 太田チヱ子 末黒野 201806
弧は孤なりレインボーブリッジ春空に 森なほ子 あを 201806
抱かれて仔犬の仰ぐ春の空 中根美保 風土 201807
春の空廻航終へし明治丸 木村瑞枝 やぶれ傘 201808
「いいね」なら親指たてる春の空 柴崎和男 やぶれ傘 201808
愁いなき泰山木や春の空 江口九星 201902
それぞれに課題乗り切り春の空 吉宇田麻衣 201902
春天に待ち人ありて行きにけり 加藤みき 201903
水の春空より雀こぼれ来る 岩木茂 風土 201905
病窓に見ゆ浅春の空と雲 片岡良子 雨月 201905
待春の空いつぱいに枝ひろげ 和田華凛 ホトトギス 201906
万巻の書があるあるぞ春の空 瀬川公馨 201906
雲流るビルの揺れをり春の空 中西厚子 201906
春の空人影濃くなり薄くなり つじあきこ 201906
春の空カラス雀も番かな 佐藤恭子 あを 201906
水掻きはオレンジ色や春の空 辻水音 201907
韃靼の砂や飛び来る春の空 小田嶋野笛 末黒野 201908
春空にロケット間直ぐ国守る 長崎桂子 あを 202004
雲間より覗きはじめる春の空 松村光典 やぶれ傘 202005
サイレンの鳴りたる方に春の空 きくちきみえ やぶれ傘 202005
春空よ数字としての死者の数 みぎわせり 船団 202006
春空に鳶は草書でラブレター 宮本幸子 京鹿子 202006
鎖樋春天より落つ涙かな 田尻勝子 六花 202007
大都会ビルが切り取る春の空 小河原清江 梛の木 202007
浮雲は流れて春の空残る 湖東紀子 ホトトギス 202008
立春の空瑠璃色に明け初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
高齢者外に出るなと春の空 今井弘雄 春燈 202105
立春の空そこぬけとなりにけり 森清堯 末黒野 202105
手焼煎餅の香のふくるるや春の空 木村あさ子 202105
雨を呼ぶ暮春の空や彩かさね 安立公彦 春燈 202107
膝小僧抱へてしばし春の空 小巻若菜 やぶれ傘 202108
群青に白を混ぜたる春の空 出利葉孝 202108
春の空切り取つてゐる摩天楼 稲畑廣太郎 ホトトギス 202204
ジャングルジムのてつぺんに春の空 青谷小枝 やぶれ傘 202205
将棋負け濃い茶入れて春の空 江口九星 202206
弁天の島へ桟橋春の空 鈴木容子 202206
春の空棒高跳びのバー越しに 木村瑞枝 やぶれ傘 202208
飛行船のそろりそろりと春の空 玉川利江 末黒野 202208

2023年4月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。