春の炉     88句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
きのふけふ笯を編む炉辺に春を待つ 安藤衛門 春耕 199904
春の炉を掻けばむかしの風の音 岡本眸 200007
春の炉に但馬へ帰る人と居る 小林あつ子 火星 200104
一ト雨の去りて春炉もよかりけり 栗林眞知子 円虹 200107
その中の桜榾とや春炉燃ゆ 栗林眞知子 円虹 200107
惜春の炉辺に一人の時間かな 栗林眞知子 円虹 200107
一人去り一人が守りてゐる春炉 栗林眞知子 円虹 200107
春の炉の一人一人の膝のまへ 岡井省二 200109
囲みたる春炉の椅子も大谷石 稲畑汀子 ホトトギス 200203
耳相の大き酒敵春の炉に 能村研三 200205
こきりこを打たせてもらふ春炉かな 杉浦典子 火星 200206
国なまり親しや春の炉を囲み 中島知恵子 雨月 200206
春炉燃し藤村童語語り継ぐ 椙山正彦 200206
春寒し渡舟待つ間の炉を囲む 大町あや子 春耕 200206
里人となりし心地の春囲炉裏 池田草曷 雨月 200206
春の炉に手の影つくる帰郷かな 佐藤よしい 風土 200207
春の炉に落ち着く暗さありし邸 辻口八重子 ホトトギス 200209
春の手炉心を埋めて余りあり 後藤比奈夫 ホトトギス 200209
奥飛騨や春の囲炉裏にきく民話 浅井美子 遠嶺 200305
春炉燃え掌にまろめ賞づ赤絵鉢 池田倶子 雨月 200306
春の炉の燻り梁の脂光る 金森教子 雨月 200306
春炉焚く御幸由来の老語り 塩路隆子 花衣 200307
また春炉恋しき夜となりにけり 河野美奇 ホトトギス 200308
春の炉や伸び縮みして魚籠の影 鷹羽狩行 200403
客人の去りて春炉の尉崩る 朝妻力 雲の峰 200405
音たてて櫟湯気吹く春炉かな 朝妻力 雲の峰 200405
俄嬶にて春の炉もままならず 朝妻力 雲の峰 200405
春遅し駅舎は村の囲炉裏端 森理和 あを 200406
駅員が春の囲炉裏へ太き薪 森理和 あを 200406
シャガールのバイリオン弾き春炉燃ゆ 粟津松彩子 ホトトギス 200407
兄送る炉鳴りに耐へて春の雲 近藤幸三郎 風土 200408
古民家の媼春炉を焚き燻す 守屋井蛙 酸漿 200408
春炉焚く鞍馬駅舎の天狗面 西村博子 馬醉木 200505
火のなくてなほ寄る春の炉端かな 八染藍子 200505
亡き人も来よ春の炉の語らひに 川崎俊子 馬醉木 200506
大春炉焚きて山家を守りゐたる 下平しづ子 雨月 200507
大春炉焚かれ掛軸開きかな 下平しづ子 雨月 200507
海抜千金剛山の春炉焚き 中島知恵子 雨月 200508
春炉消す客の所望でありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200603
玻璃の夜のしづかや春炉しづかなる 坊城俊樹 ホトトギス 200606
春炉焚く火棚に乾く串の鮒 海野みち子 万象 200606
春囲炉裏吊られて煤の水枕 内海良太 万象 200606
ゑぐきもの手皿に受くる春炉端 久染康子 200606
餺飩や春炉に大き自在鉤 守屋井蛙 酸漿 200607
春炉焚き四方山話きりもなし 荒木治代 ぐろっけ 200707
十五分ほどの訪問にも春炉 大久保白村 ホトトギス 200708
春炉焚き手斧仕上げの曲り梁 笹倉さえみ 雨月 200805
春の炉を焚いて一事を忘るるか 小澤克己 遠嶺 200806
もてなしの春炉あかあか自在鉤 羽賀恭子 200807
春の炉や地の物多き湯治宿 小倉陶女 春燈 200903
春の炉に請はるる大江鬼ばなし 塩路隆子 201004
よく笑ふ船頭囲む春炉かな 落合絹代 風土 201006
春炉焚く雲に濡れ来し巡礼に 薮脇晴美 馬醉木 201007
祖谷渓にすする蕎麦粥春の炉辺 塩路隆子 201104
古民家の昼ほのぐらき春炉かな 岡田史女 末黒野 201106
杣の家春炉の煙絶えざりき 郡山真帆 かさね 201205
薬売り春炉に薪を継がれゐて 田中佐知子 風土 201205
早春や炉煙浸むる太き梁 石黒興平 末黒野 201206
松根のくすぼる春炉囲みけり 荒井和昭 201305
春の炉の鏝を火色に製材所 荒井和昭 201305
春の炉のちろりに爆ぜし雑木かな 荒井和昭 201305
春炉焚く頬ふつくらと里童 村上絢子 馬醉木 201306
ぎいと鳴る春炉を入れし部屋のドア 稲畑汀子 ホトトギス 201402
根っからの光秀贔屓春炉の辺 塩路隆子 201405
あがりはな春炉のありて古時計 上原重一 201406
とろろ屋の八十畳敷や春囲炉裏 内海良太 万象 201407
春の炉にすぐ熱くなる貧しき掌 松田都青 京鹿子 201408
天井の煤竹光る春囲炉裏 鈴木セツ 201504
思ひ出は消ゆることなし春炉燃ゆ 稲畑汀子 ホトトギス 201603
語り部の眼鏡に燃.ゆる春炉かな 池田光子 風土 201605
炉辺の縁さすりて春を惜しみけり 宮坂恒子 201606
父の忌を修し春炉を焚くことに 下平しづ子 雨月 201606
香りよきものを燻べて春囲炉裏 内海良太 万象 201610
天棚の煤ぶくれなる春炉かな 石黒興平 末黒野 201706
未来てふ大吟醸ぞ春の炉は 山田六甲 六花 201707
釜の湯のゆるゆる煮ゆる春炉かな 坂本依誌子 春燈 201804
ふかふかの丸座布団の春炉かな 石黒興平 末黒野 201808
尊徳の世を照らしつつ春炉焚く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
春の炉とて有耶無耶きらふ首座嬶座 片桐てい女 春燈 201905
春の炉の大きな炭をつぎにけり 山田六甲 六花 201905
春の炉の味噌汁の炭つぎにけり 山田六甲 六花 201906
春の炉や月へ帰らぬ姫ここに 山田六甲 六花 201906
春煖炉相槌ばかり打つ歳に 大島寛治 雨月 201907
春暖炉囲む一会の旅の宿 石川倜子 馬醉木 202004
うら若き畳職人春炉閉づ 長尾タイ 末黒野 202006
春暖炉薪をたひらに焼べてあり 森田節子 風土 202205
春塵の炉煙舎雑筆椅子机 田中臥石 末黒野 202208
春炉見ゆる猟師小屋より話し声 河原敬子 202211

 

2023年2月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。