春の蚊     77句

目路よぎる春蚊を吹いて見たりけり(病中)  朴魯植  ホトトギス

作品
作者
掲載誌
掲載年月
カーテンに洗濯ばさみ春蚊出づ 奥田節子 火星 199806
春の蚊が読経のなかにまじりけり 横倉由紀 船団 199811
春の蚊のうすく舌打って壜の底 柿原金米 船団 199812
春の蚊のこゑ過ぎしやと思ひけり 鷹羽狩行 199904
春の蚊の浮きつ沈みつ着物ショー 浜口高子 火星 199906
春の蚊のうっすら人を恋うかたち 小枝恵美子 船団 199909
春の蚊か臥して読む灯を掠めしは 鷹羽狩行 200003
夕茜曼荼羅図より春蚊翔つ 西田美智子 200006
木魚からオーストラリアから春の蚊 あざ蓉子 船団 200008
ひと寝入りあとの春の蚊二度三度 関口ゆき あを 200105
奥院の朽ち樋の吐く春蚊かな 高重京子 200107
家居とは机居のこと春蚊出づ 鷹羽狩行 200205
春の蚊の寄るをゆるして選句かな 鷹羽狩行 200205
石清水八幡宮の春蚊かな 飯塚ゑ子 火星 200205
物乞ひの声にも似たる春蚊かな 後藤志づ あを 200206
春の蚊や茶漬かき込む一人の餉 村山方 築港 200207
春蚊打つ読書さへぎるものを打つ 喜多初枝 雨月 200207
春の蚊や亡母の居さうな納戸かな 小川文子 京鹿子 200208
夜更かしも癖となりけり春蚊出づ 川上昌子 200209
飴色の父の帽子や春蚊出づ 城孝子 火星 200306
春蚊いづ封書の厚さただならず 戸田和子 200307
春の蚊のこころざしなく飛びめぐる 左官治郎 200307
稿遅れおくれて春蚊出でにけり 岡本眸 200404
春の蚊の死にに生まれて来りけり 山田六甲 六花 200405
二階に稿書けば二階に春蚊くる 鷹羽狩行 200405
黒竹のひと揺れに生る春蚊かな 山尾玉藻 火星 200406
耳鳴りか叩きそこねし春の蚊か 林翔 200406
住み古りて春の蚊遺を焚きにけり 小柳順子 帆船 200406
和らうそくの影に入りたる春蚊かな 雨村敏子 200406
春の蚊に耳かたむけて微笑仏 谷山桃村 草の花 200406
春の蚊のひたすら宙を飛んでをり 山の狸 六花 200407
不動明王へろへろと春蚊吐く 近藤喜子 200407
春蚊打つまぐれの一打腕打ち 喜多初枝 雨月 200407
手の内にあるとも知らず春蚊鳴く 中谷喜美子 六花 200408
焼香の肩の春蚊に心揺る 禰寝瓶史 京鹿子 200408
厩あと春蚊のこゑのしてゐたり 酒本八重 里着 200506
春蚊打つ口裏合せ頷きぬ 松本文一郎 六花 200510
うたたねの夢のなかへと春蚊来ぬ 石橋万寿 200607
春の蚊のうつうつ来たり打ちそこね 奥山絢子 風土 200705
春の蚊を打つて近づく遺髪塚 吉田郁子 風土 200705
はりぼてのビリケンさんより春蚊生る 山田美恵子 火星 200705
内倉の闇より春蚊出でにけり 小林正史 200706
出湯もて春の蚊を打ち落としたり ことり 六花 200804
放哉の庵や春の蚊許されて 泉礼子 馬醉木 200807
春の蚊の身ごなし悪き親似かな 中島玉五郎 200903
通されし一間春の蚊鳴きゐたり 中田みなみ 200906
春の蚊に早くも点す蚊遣香 岩上定子 酸漿 201005
留守三日厨に出でし春蚊かな 伊勢きみこ 火星 201007
春蚊来る老いの手首の脈どころ 大坪景章 万象 201008
春の蚊が余震の中を飛んでゐる 篠田純子 あを 201105
三階迄飛び来し春蚊ほめてやる 折橋綾子 201107
老いたれば春の蚊逃がす迂闊かな 大松一枝 201107
春蚊打つ講堂に黙通しけり 伊藤希眸 京鹿子 201107
潮待ちの廓名残や春蚊鳴く 中田みなみ 201107
春蚊打ち子々孫々を減らしけり 中本吉信 201108
春の蚊の羽音かすかに夢幻能 高橋将夫 201207
春の蚊のいつのまにやらゐなくなり 高尾豊子 火星 201306
春蚊ふはりとセロテープ貼る途中 甲州千草 201306
昼ひとり春の蚊ほどの声の出で 浜口高子 火星 201306
ほどけたる春の蚊柱吾れに立つ 工藤ミネ子 風土 201407
春の蚊の生活の水に生れけり 稲岡長 ホトトギス 201408
てのひらに春蚊をいれる少しかたい 吉弘恭子 あを 201408
心底に小さき虚ろや春蚊出で 野坂民子 馬醉木 201506
人がゐて春の蚊の来る仏間かな 高橋将夫 201605
視力表の文字にまぎれて春蚊生る 熊川暁子 201607
春の蚊のはや参上や庭の隅 武田ナオミ 末黒野 201708
春の蚊の感違いしてここに居る 長沼佐智 船団 201802
春の蚊やキケンの規制線を越ゆ 辻水音 201806
漢字源部首人偏の項春蚊出づ 井原美鳥 201906
わたくしは今森にいる春蚊鳴く つじあきこ 201907
春の蚊の誰かを刺してきたやうな きくちきみえ やぶれ傘 201907
春の蚊の即かず離れず頸周り 甲州千草 202006
春の蚊に息をひそめて近付けり 横山さくら 春燈 202007
春の蚊のふはりふはりと地に近く 石原健二 やぶれ傘 202009
春の蚊に明け渡したる庭の木々 稲畑汀子 ホトトギス 202104
耳元にきて春の蚊のささやける 澤田明子 春燈 202107
春の蚊が首の周りをふはふはと 佐藤稲子 やぶれ傘 202208

 

2023年4月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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