春帽子     124句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
道草をして早春の帽子店 山田弘子 円虹 199805
飛びさうな帽子押さへて春野かな 小林伸江 遠嶺 199806
春北風や歩道に帽子飛ばしけり 牧岡万里子 春耕 199806
助手席に眠りこけたり春帽子 山田禮子 遠嶺 199906
雨上がる朝に集ふ春帽子 宮澤さくら 遠嶺 199907
まるめ置くコートの上の春帽子 西山美枝子 酸漿 200006
児に散歩せがまれてゐる春帽子 赤木真理 ぐろっけ 200009
春愁や帽子の効用教えます 中林明美 ヒッポ千番地 200010
春帽子辿る子午線海に入る 大井邦子 ぐろっけ 200106
折れたがる皺をなだめて春帽子 柳未央 いろり 200107
島唄のきこゆ首里城春帽子 大村真佐子 遠嶺 200110
春帽子フランス山に憂へけり 大串章 百鳥 200205
斜交いに映して選ぶ春帽子 北川キヨ子 200206
春帽子松花堂よりいで来たる 飯塚ゑ子 火星 200207
ジユーシーな言葉待つてる春帽子 松田都青 京鹿子 200208
五浦なる松に真向ふ春帽子 阿部正枝 絵具箱 200304
乱れたる髪を収めし春帽子 小林朱夏 200305
春帽子母の目の前飛んでゆく 山野洋子 百鳥 200306
飴色の父の帽子や春蚊出づ 城孝子 火星 200306
羽根挿して春の帽子となりにけり 平田倫子 百鳥 200306
遺品となる水木洋子の春帽子 能村研三 200306
春帽子すこし小意気に遠出かな 千坂美津恵 200308
春帽子少女となりて乗りし馬車 小林優子 酸漿 200401
木の影や昌平坂を春帽子 田中よしとも 酸漿 200404
野良猫にのど鳴らさるる春帽子 平野静 京鹿子 200405
春帽子政子の井戸を覗き去る 石原光徳 酸漿 200405
春愁や素顔をかくす深帽子 橋本靖子 200405
春帽子牛に見られて近づけり 大串章 百鳥 200406
飾るもの持たぬ男の春帽子 大貫鬼灯 帆船 200406
春帽子いざ遊ばむと夫の買ふ 山田美恵子 火星 200406
風にとぶ帽子見てをり春の鹿 鍬形幸子 百鳥 200407
パドックの駿馬を選ぶ春帽子 藤見佳楠子 200407
春帽子微風捉える羽根飾り 中田寿子 ぐろっけ 200407
小雨中帽子かぶりて春菜引く 永田あき 酸漿 200504
飛ばされし帽子に募る春疾風 河合佳代子 栴檀 200505
松の根につまづくなかれ春帽子 本田俊子 200506
春一番駅のホームに帽子追ふ 横田晶子 風土 200506
遺影にはピンク華やか春帽子 山崎泰世 200506
春帽子取りて格子の納経所 田中敬子 百鳥 200507
飾るものなくて男の春帽子 三浦澄江 ぐろっけ 200507
ちよつと邪魔隣のお洒落な春帽子 楠原幹子 白卓布 200602
春帽子ふはりと前に立ちにけり 大串章 百鳥 200604
この先はゲーテの小径春帽子 島元文 遠嶺 200605
待合せ帽子売場に春を待つ 小黒加支 酸漿 200605
上着ぬぎ帽子をとりて春の風 河井富美子 ぐろっけ 200606
佳き句得てふくらむ手帳春帽子 塩田京子 遠嶺 200606
春一番飛ばさる帽子フランス製 秋田直己 ぐろっけ 200607
春光や帽子を脱いで野道行く 筒井八重子 六花 200607
きびきびと銀座の路地を春帽子 環順子 夢帽子 200608
飾り羽に風の喝采春帽子 秋葉雅治 200705
磯風に向かひし佳人春帽子 宮崎見昭 遠嶺 200705
わがままを許してくれる春帽子 倉持梨恵 200706
舟べりをこする水路や春帽子 布川直幸 200707
美しき人の毛糸の春帽子 加藤みき 200707
春帽子置く言ひ出せぬこともおく 掛井広通 200801
城山へ春の帽子を横かぶり 宮島宏子 200805
逆らへば帽子持去る春の風 長崎桂子 あを 200805
海風に一瞬に飛ぶ春帽子 吉成美代子 あを 200805
瀬戸の海荒れてをりけり春帽子 中田禎子 200805
助手席に春の帽子の忘れらる 濱上こういち 200806
春帽子いなせな兄と師を慕ふ 松野睦子 遠嶺 200806
ももいろの土竜の子われ春帽子 本多俊子 200806
芦屋より乗りしマダムの春帽子 刈米育子 200806
ゆく春の沼べり帽子押へ詰め 田村園子 200807
闊歩するタカラジェンヌの春帽子 山下佳子 200807
近頃は忘れ癖つき春帽子 鈴木多枝子 あを 200808
春浅し帽子美人と言はれけり 堀内一郎 あを 200903
通学路見守る人や春帽子 早崎泰江 あを 200905
湖北より湖東へまはる春帽子 伊勢きみこ 火星 200905
ここちよく被れる春の帽子欲し 早崎泰江 あを 200905
シーソーの上になる子の春帽子 米山喜久子 200905
子規庵の鴨居に擦れる春帽子 小林玲子 ぐろっけ 200907
誘はれて春の帽子も取り出だし 浅井青陽子 ホトトギス 200909
お釣りほどの余生うるほす春帽子 秋葉雅治 201004
旅をせぬ春の帽子のりぼんかな 井上信子 201005
帽子買ふ春いっぱいのおしゃれ店 小林久子 201005
コンビニの外で紫煙の春帽子 和田森早苗 201005
トンネルの鏡に映る春帽子 西尾京子 酸漿 201006
地平まで跳んでみたくて春帽子 山中志津子 京鹿子 201007
春帽子試しては憂さ捨てにけり 卯木堯子 春燈 201007
迷ひつつ二つとも買ふ春帽子 山田春好 201008
向かう山見るしばらくの春帽子 西田美ち ろんど 201104
春北風帽子嫌ひを通しけり 能村研三 201104
無造作を得意としたる春帽子 森聖子 201105
人形の歩きたげなり春帽子 岡佳代子 201106
車椅子のひとりは母の春帽子 丸山照子 火星 201106
広縁に偲ぶ悌春帽子 山田佳乃 ホトトギス 201107

 悼

ダンディーな帽子溶けゆく春夕焼

小張志げ 春燈 201108
天袋より桃色の春帽子 谷田部栄 万象 201205
咲くやうな春の帽子でありにけり 近藤喜子 201207
作り笑みオーガンジーの春帽子 山口ひろよ 201302
紅ひきて恋知りそめし春帽子 白井友梨 馬醉木 201304
春疾風杖と帽子を抱きしむる 久米なるを 201306
一人旅始める女の春帽子 片山八重子 ぐろっけ 201307
春帽子なかの角ぐむ思ひかな 熊谷ふみを ろんど 201406
早春の帽子屋に置く丸鏡 平野みち代 201505
贈られて彼女手編みの春帽子 村上すみ子 201505
淡彩画友はチロルの春帽子 福永尚子 ろんど 201505
斜にかぶり気分一新春帽子 時澤藍 201506
ほんとうはみんな淋しい春帽子 片山煕子 京鹿子 201506
春疾風線路へ帽子飛ばされぬ 中村高也 末黒野 201506
ほんたうはみんな淋しい春帽子 片山煕子 京鹿子 201601
宮様の手話よどみなき春帽子 渡辺若菜 春燈 201604
石頭つつんでゐたる春帽子 中島昌子 201605
高橋で帽子押さへる春の風 丑久保勲 やぶれ傘 201605
陽だまりの椅子に似合ひの春帽子 安藤久美子 やぶれ傘 201606
晩年や羽化をはじめる春帽子 若森京子 船団 201701
買つてすぐかむつて歩む春帽子 柴田佐知子 201705
春一番芥と帽子に悲鳴とぶ 長崎桂子 あを 201705
被災地の若き語り部春帽子 七郎衛門吉保 あを 201705
ドガの絵や移り変りの春帽子 望月木綿子 201706
春帽子きめて歩みの歌ふごと 久保夢女 201706
女振り上つたつもり春帽子 高橋和女 風紋 201709
帽子買ふ春が来たからまた一つ 町山公孝 201806
春帽子小脇に祈りの長きこと 中島昌子 201905
マネキンのやうに被りぬ春帽子 田中臥石 末黒野 201906
乃木神杜へ乃木坂上る春帽子 湯本実 やぶれ傘 201908
明後日の指切りげんまん春帽子 つじあきこ 船団 201910
せせらぎの音はこまやか春帽子 河原敬子 201911
草原に島影速し春帽子 遠山のり子 202010
ワンピースのふたりのひとり春帽子 安藤久美子 やぶれ傘 202105
フェルメールのブルーに合はす春帽子 安田優歌 京鹿子 202107
海沿ひの迂路の旧道春帽子 太田良一 末黒野 202205
退院や抜け毛を隠す春帽子 苑実耶 202205

 

2023年2月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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