ハンカチ(ハンケチ)       184句

たはむれにハンカチ振つて別れけり    星野立子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ハンケチに包みきれざるありがたう 奥田筆子 京鹿子 199901
縞馬に見惚れキリンへハンカチ振る 早坂澄子 199206
花嫁の父のハンカチ丸くなり 頓所友枝 199907
一枚のハンカチ汚すのみの旅 神蔵器 風土 199908
ハンカチを仰山入れし提げ鞄 木野本加寿江 火星 199908
思ひ出のうすきハンカチ秘めておく 久保田一豊 いろり 199908
ハンカチを振りサーカスの少女笑む 村田近子 遠嶺 199909
ハンカチも一日たてば皺だらけ 熊谷みどり いろり 199909
ハンカチは想ひ出だけが老いてゐし 松沢久子 いろり 199909
ハンカチの端を噛みをり酔芙蓉 神蔵器 風土 199911
ハンカチや昔の夢は四つ折りに 寺坂近子 風土 199911
白無地で通すハンカチ喜寿迎ふ 吉田すばる 京鹿子 199912
握りどほしのハンカチ小さし百日紅 石原照子 200002
お神田に近くハンカチ敷きゐたり 夏秋明子 ヒッポ千番地 200003
ハンカチといふたまてばこ桜貝 八染藍子 200006
はまなすやハンカチに敷く波の音 神蔵器 風土 200008
ハンカチの富本憲吉更沙かな 下山田美江 風土 200010
ハンカチーフ色とりどりに五六枚 大平保子 いろり 200010
忘れたいからハンカチを洗ひをり 後藤立夫 ホトトギス 200012
ハンカチの汚るるやうに百合了る 真保喜代子 200101
恋の句やハンカチーフの非定形 桐木榮子 船団 200102
ハンカチを洗う水玉溢れたり 佐渡美佐子 船団 200102
わたくしに汚れちまったハンカチよ 林朋子 船団 200102
わたしの香と違ふハンカチ熱湯責め 折原あきの 船団 200102
ハンカチ振る光りとなまで見送りし 渡邉友七 あを 200107
ハンカチの胸ポケットが印なり 大平保子 いろり 200108
ハンカチを振ることもなく老いにけり 佐野益子 百鳥 200109
ハンカチの胸に際立つ遺影かな 林翔 200109
ハンカチを返せず駅に来てしまふ 岡本久也 200109
ハンカチを胸ポケットに合言葉 大平保子 いろり 200109
ハンカチ振つてきたぎつねとの別れかな 川崎妙子 風土 200110
泣寝入り母のハンカチ握りしめ 浮田胤子 ぐろっけ 200110
使つてはたたむハンカチ青ぶだう 山田美保 200111
夏を買うハンカチーフの深き青 やのかよこ 船団 200112
唐辛子白ハンカチで包みけり 保田英太郎 風土 200201
ハンカチの四隅鋭く夏の海 蔵前幸子 船団 200201
ハンカチを結ぶショルダーバックかな 山田六甲 六花 200206
桐の花ハンカチーフを貰ひけり 天野きく江 200207
緑濃し今日のハンカチけふ洗ひ 岡本眸 200207
ハンカチを貼つて乾かす夜の窓 宮城白路 風土 200209
ハンカチにばら咲く「タオル美術館」 金澤明子 火星 200209
ほうたるの香のハンカチを畳みけり 戸田春月 火星 200209
ハンカチに包んでをりし黒真珠 谷口佳世子 200209
ハンカチを出せば夕暮広ごりぬ 篠原俊博 銀化 200209
幾重にも汗のハンカチたたみけり 後藤志づ あを 200209
藍染の絞りのハンカチーフかな 芝尚子 あを 200209
ブラウスもハンカチもほら海の色 北畠明子 ぐろっけ 200210
ハンケチの折目妻の座あやふかり 大村美知子 京鹿子 200210
水湧くやうにハンカチの花ひらく 高橋さえ子 200211
ハンカチを指に巻く癖春の雁 神蔵器 風土 200304
ハンカチーフ時にはあふぎ山路ゆく 稲畑汀子 ホトトギス 200307
口と手を浄むハンカチ月まゐり 丸山佳子 京鹿子 200307
ハンカチは持てど時計を忘れたり 伊藤白潮 200307
腐れ木にハンカチを敷き三姉妹 山田六甲 六花 200307
ハンカチの兎が解け仲直り 大場ひろみ 馬醉木 200309
ハンカチに怺へし言葉畳みけり 江木紀子 雨月 200310
ハンカチと双眼鏡を手放さず 田村園子 200311
今日のこと今日のハンカチ洗ひつつ 今井千鶴子 ホトトギス 200311
ハンカチで扇いで重い風たたす 森津三郎 京鹿子 200312
ハンカチの染みやオセロの涙かも 柴田久子 風土 200401
言ひかねて膝にハンカチたたみをり 清水節子 馬醉木 200408
小流れにハンカチ浸し旅恋へり 岡本眸 200408
ハンカチをひろげて貰ふ蝉の殻 菊地光子 200409
ハンカチは四角傷みを隠せない 直江裕子 京鹿子 200409
アイロンをかけるハンカチ夜の雨 沼口蓬風 河鹿 200410
ハンカチで盆中の富士包みたし 山本とみを 200410
しわくちやの自負とハンカチ握りしむ 直江裕子 京鹿子 200411
ハンカチの抽出し母の指輪あり 寺島順子 雨月 200412
下萌を覆ふハンカチ二枚かな 林昭太郎 200505
上陸すハンカチーフを握りしめ 伊藤白潮 200506
ポケットに鍵とハンカチ右左 稲畑汀子 ホトトギス 200507
裁量の範囲広がるハンカチーフ 高橋道子 200509
膝かくすハンカチーフは別にあり 吉田明子 200509
汕頭(スワトウ)のハンカチ出番婚の席 塩路隆子 200510
美人妻撮るにハンカチもてかくす 松崎鉄之介 200511
ハンカチが夫のいちにち知つてをり 野澤あき 火星 200511
ハンカチは真白がよろし女学生 小阪喜美子 二輪草 200606
ハンカチを畳みて鳰の浮巣まで 山尾玉藻 火星 200608
案の定ハンカチーフにできた皺 倉持梨恵 200609
ハンカチを叔父はとっさの蛍籠 村田とくみ ぐろっけ 200609
はにかみてハンカチを措く勝投手 田中芳夫 200611
「ハンカチ王子」と異名の投手優勝す 田中芳夫 200611
涼しげにハンカチたたみ王子行く 田中芳夫 200611
大判のハンカチを持つ泣かぬため 風間史子 200611
ハンカチのひやりと乾く冬田かな 篠藤千佳子 200702
畳みあるままにハンカチ使ひけり 大東由美子 火星 200708
神よりも夫に頼れりハンカチーフ 宮崎高根 200709
終演のわがハンカチにキスマーク 前川明子 200710
さんずいの染むハンカチを濯ぎをり 吉田明子 200710
ハンカチの皺を増やして黙しをり 田村園子 200710
女高生のハンカチコーナー多彩なる 高橋峰村 200710
しわしわの白ハンカチとなりにけり 木下もと子 200711
陳情の明日へハンカチ白くたヽむ 金井充 百日紅 200711
ハンカチに嚔をこらへ話し出す 滝沢伊代次 万象 200801
手弁当食ぶ竪穴にハンケチ敷き 品川鈴子 ぐろっけ 200807
真四角をよそほふハンカチと私 小嶋洋子 200807
目印は紅のハンカチ旅鞄 鈴木照子 200809
緊張のハンカチの雛ふやしをり 小林奈穂 200809
こだわりのハンカチ握り一人旅 明石文子 ぐろっけ 200810
遺跡へとハンカチ頸に驢馬の上 原田達夫 200901
握りしめるためのハンカチ歯科通ひ 松井志津子 200909
ハンカチを握りしめつつ写経の座 薗田智子 遠嶺 200910
折り畳む夫のハンカチ手アイロン 安本恵子 200911
商談の明日ヘハンカチ畳みけり 伊東和子 201009
手品師にあるハンカチの裏表 森岡正作 201009
少女の髪結ぶハンカチ空の色 鈴木浩子 201009
風少し麻のハンカチひろぐれば 天野美登里 やぶれ傘 201009
ハンカチを畳み重ねて子の遠し 浜口高子 火星 201010
幾度もハンカチを当てぼんの窪 森田尚宏 201011
首に巻く赤いハンカチ片結び 代田青鳥 風土 201012
枇杷は実に旅のハンケチ汚れけり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
地下を出てよりハンカチの離されず 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
禅寺の正座の膝のハンカチーフ 藤田素子 火星 201108
パイプオルガニストの黒きハンカチよ 本間瓦子 201108
姉の柩にハンカチ扇文添へて 近藤豊子 雨月 201110
ハンカチに消せぬ染みあり握りしめ コ田千鶴子 馬醉木 201207
ハンカチの角尖らせて拭く涙 平野みち代 201208
姉涙ハンカチ染める看取る汗 水野弘 ぐろっけ 201208
ハンカチの木の花絹の艶もてる 宮平静子 雨月 201208
このハンカチ悔いの涙は拭ふまじ 小張志げ 春燈 201210
ハンカチを振るはいささか恥しき 齋藤厚子 201210
膝の上ハンカチ広げ富むごとし 中山純子 万象 201210
ロボットが勝ちハンカチで眼尻ふく 品川鈴子 ぐろっけ 201211
切り株にハンカチ忘るもみじ狩 田中清秀 かさね 201301
まなうらの父を拭ひしハンカチーフ 坂口夫佐子 火星 201303
ハンカチを皺めて人に淡くをり 風間史子 201310
ハンカチとオペラグラスを順番に 高田令子 201310
ハンカチに愛別離苦の皺のこる 鳳蛮華 201310
ハンカチを振つて青空滲みけり 中野京子 201311
ハンカチーフ失意の胸にたたみけり 大橋伊佐子 末黒野 201311
一枚のハンカチに坐す老夫婦 出中裕一 201311
ハンカチをたたみ直して決めにけり 山田正子 201312
ハンカチを振つて六甲おろしかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201406
ハンカチはにぎりしむもの男かな 神蔵器 風土 201408
ハンカチを小さく使ひ通夜の客 谷田部栄 万象 201408
山内を巡りハンカチ働かす 宮崎高根 201410
ハンカチに緊張の皺のこりけり 楠原幹子 201410
アイロンをかけてハンカチ甦る 山本ひろ 雨月 201410
アイロンをかけハンカチの過去を消す 八木健 八木健俳句集 201509
ハンカチを振つて宇宙へ旅立つ日 高橋将夫 201509
大吊橋渡るハンカチごはごはす 細川洋子 201509
ハンカチに汗も涙も包みたり 卯辰美苗 万象 201510
ハンカチを口に泣いたり笑つたり 須藤常央 ホトトギス 201511
丁寧にハンカチ畳み意を通す 羽根嘉津 201512
ハンカチの今日一日を洗ひけり 金子正道 京鹿子 201512
ハンカチを拡げ下さる坐れとて 竹下陶子 ホトトギス 201601
母の汗ハンカチにあり逝きにけり 升田ヤス子 玫瑰 201604
ハンカチを出せば寄り来る鳥黄色 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
黄色なるハンカチ胸にかざりみる 山田六甲 六花 201608
ハンカチのベンガラ色に染まりけり 江見巌 六花 201608
目じるしに結ぶハンカチ旅鞄 奥田茶々 風土 201609
ハンカチのまこと四角に返さるる 松本美簾 馬醉木 201610
ハンカチを小さくたたみ初対面 山田正子 201610
お別れの涙のハンカチーフかな 本田保 春燈 201610
ハンカチを畳む共和国広場かな 中村洋子 風土 201610
漂白をせむ雑念もハンカチも 田村園子 201610
新涼やハンカチの耳折り揃へ 松本三千夫 末黒野 201611
ハンカチや隠しの多き紳士服 小田嶋野笛 末黒野 201611
ハンカチの持ち主を問ふ枯野かな 八木健 八木健俳句集 201509
ハンカチの四隅を合はせ恙なし 武藤節子 やぶれ傘 201612
ハンカチーフ四角に畳定位置に 長沼佐智 船団 201612
スワトウのハンカチ未だ出番なく 松井季湖 201709
汕頭(スワトウ)のハンカチふわと事実婚 火箱ひろ 201709
首に巻けば首の老いゆくハンカチーフ 中山皓雪 201709
ハンカチに残す旧都の苔湿り 田村園子 201709
骨灰の付きしハンカチそのままに 山田健太 風土 201710
人想ふ日はハンカチを真つ白に 塩貝朱千 京鹿子 201710
ハンカチの予備まで使ひきりし旅 三村純也 ホトトギス 201712
洗ひおく誰か忘れしハンカチも 三村純也 ホトトギス 201712
ハンカチにあの日かの日のありにけり 今橋眞理子 ホトトギス 201712
ハンケチを借りて縁のはじまりし 山田閏子 ホトトギス 201712
ハンカチを洗つて干して旅一と夜 今井千鶴子 ホトトギス 201712
無口にてハンカチーフはいつも白 大久保白村 ホトトギス 201712
弔辞受くるたびハンカチを握りしむ 秋千晴 201801
ハンカチの汚れぬ北海道の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201805
あたたかにハンカチ一枚だけ干さる 定梶じょう あを 201805
ハンカチとセットで熊野化粧筆 高橋将夫 201808
スワトウのハンカチ使ふ尼御前 中島昌子 201809
旅了る借りしハンカチそのままに 藤生不二男 六花 201809
ハンカチーフ差出され拭く涙かな 荒井ハルエ 春燈 201809
手洗いひのハンカチーフに手アイロン 林いづみ 風土 201810
ハンカチを探るそろそろ泣きさうで 青木朋子 201812
ハンカチを揃へて畳む小さな手 横山さくら 春燈 201907
貸したきにハンカチーフに染みひとつ 天谷翔子 202002
空色のハンカチ広げ涅槃西風 辻響子 202006
窓硝子マスクハンカチ干しにけり 大内幸子 六花 202007
ハンカチの花のひらりと夏に入る 住田千代子 六花 202009
裏切の記憶ハンカチ落しかな 柳川晋 202009
はつなつやハンカチの木の唄ひだす 吉清和代 202009
冷や汗も吸ひしハンカチ洗ひけり 青木朋子 202010
たくさんの涙を吸うたハンカチーフ はしもと風里 202011
ハンカチは薄紫や妣が染め 玉川利江 末黒野 202011
ハンカチを拾ひてよりの恋心 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
ハンカチを畳み思ひ出閉ぢ込める 稲畑廣太郎 ホトトギス 202107
襟挟むハンカチ白き奏者かな 能村研三 202109
ハンカチを感情線に握りしめ 神原三千世 京鹿子 202109
ハンカチでまづ眼鏡拭く映画館 伊藤薫 やぶれ傘 202110
ハンカチを振り残照をとどめたる 浜崎素粒子 ホトトギス 202112
ハンカチのかくあるべしと真四角に 塚原紀代子 風土 202201
若草にハンカチ敷いてくれしこと 重実ひとみ 春燈 202207
風はこぶハンカチの花揺れしばし 北野節子 末黒野 202209
ハンカチをささつと濯ぎ旅の空 深川峰子 202209
ハンカチのくたびれてをり遅延バス 大曲ゆき枝 末黒野 202211

 

2023年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。