羽子板・羽子      191句

羽子板やたゞに目出度裏表     嵐雪

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 「響」一五〇号を祝し

追羽子の響きに空のいよよ紺

鷹羽狩行 199901
羽子板に金糸銀糸の枷ありて 頓所敏雄 199903
青空へ羽子つく胸を反らしけり 田中みちよ 199905
裏絵よき羽子板とし秘蔵せり 能村登四郎 芒種 199911
懸り羽子雪もろともにけぶり落つ 大橋櫻坡子 雨月 200001
母の夢見むと羽子板枕頭に 村越化石 200003
羽子板は二重瞼に二〇〇〇年 水野範子 ぐろっけ 200003
床の間の天井が天飾羽子 松彩子 ホトトギス 200005
叫びたき思ひを羽子にたくしけり 吉野のぶ子 八重櫻 200008
今生の羽子を突かむと羽子に息 岡本眸 200101
羽子つきの終りのひとり遊びかな 岡本眸 200101
間をおいて音打ち返す羽子日和 鷹羽狩行 200102
遠嶺より高きに凧も追羽子も 鷹羽狩行 200102
雪が降る押し絵羽子板の紫 金子皆子 海程 200105
羽子板の板はみだして見得をきる 山下由理子 200111
羽子板を引退(おり)たき写楽なりしかな 小林一雨 銀化 200203
羽子ついて大海原をひるがへす 小澤克己 遠嶺 200204
羽子板に弾けて今も帰らざる 鶴目鯛遊子 六花 200204
羽子板の重さも知らず老いにけり 青山丈 200204
ふるさとの山の丸くて羽子日和 井口光雄 200205
手締めにも揺れ羽子板の髪飾り 杉良介 200212
月に拾はれしか峠の懸り羽子 山仲英子 200301
羽子板やだれも手にせず床の間に 金子八重子 酸漿 200303
羽子板や鴨居に古りし藤娘 小林巳禮 酸漿 200303
羽子板の裏絵の松も褪せにけり 林田江美 馬醉木 200304
羽子板や團十郎が見栄を切る 青木政江 酸漿 200304
追羽子のゆとりなき音かへし合ひ 藤井淑子 百鳥 200304
追羽子や雀あそべる鬼瓦 山崎ミチ子 帆船 200402
病院の塀が風除羽子日和 岡本眸 200402
百年を経れば魂持つ羽子板も 高橋道子 200403
特老のホーム羽子板・凧飾り 沼口蓬風 河鹿 200404
羽子をつく音の彼方にわれのをり 嶋崎茂子 百鳥 200404
かの懸り羽子も夜雨にしづくすや 八田木枯 「夜さり」 200409
落羽子のとみに吹かるるにはたづみ 八田木枯 晩紅 200412
童歌羽子板の絵のあの子欲し 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板に日の射す義経を買へり 今瀬剛一 対岸 200502
一つ売れ羽子板一つ分の隙 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板の外を流れて隅田川 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板の百枚に顔一つづつ 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板の真顔真顔を信じけり 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板を抱へ羽子板より匂ふ 今瀬剛一 対岸 200502
羽子板や昔少女の衿堅し 今瀬剛一 対岸 200502
追羽子や町に残りし農家にて 橋本貞二 酸漿 200503
みんな斜に構へ羽子板らの視線 北川英子 200503
羽子に息吹きかけてより突きはじむ 塩川雄三 築港 200503
海老蔵贔屓助六羽子板迷はず買ふ 梅原美子 200503
追羽子の音よくひびく良寛忌 中川晴美 雲の峰 200503
追羽子や五重塔の見ゆる路地 中御門あや 雲の峰 200503
二階から父の謡や羽子日和 堀一郎 雲の峰 200503
羽子板を抱く子は母に抱かれをり 鎌倉喜久恵 あを 200503
形見分けの中に羽子板と羽根 宮地れい子 春燈 200503
羽子板の団十郎に睨まるる 亀田やす子 万象 200504
羽子板の裏に木目の清しかり 佐川あけみ 対岸 200504
羽子板の押し絵の厚み子等育つ 佐川あけみ 対岸 200504
羽子つきの音久しきや蔵の町 片山茂子 遠嶺 200504
羽子板の役者に好みありにけり 片山茂子 遠嶺 200504
羽子突いてゐる駄菓子屋の路地の奥 三村純也 ホトトギス 200505
すきとほる高原の風羽子日和 有島夛美 河鹿 200505
羽子板やおもひの丈を青空へ 津田礼乃 遠嶺 200506
羽子板を突く音もなくなりし古都 粟津松彩子 ホトトギス 200507
旬日の羽子板しまふ姉いもと 宇都宮滴水 京鹿子 200602
羽子つきや攻める妹守る姉 志水美紀子 四葩 200603
羽子の音のたえて昭和は遠くなり 西氏宣子 遠嶺 200604
山見るはくう満ちみちて羽子をつく 本多俊子 200604
羽子板のふるびもよけれ四十年 細川コマヱ 雨月 200604
羽子板の裏絵は淡き波がしら 八田マサ子 馬醉木 200703
羽子板の裏のでこぼこ購入日 中山皓雪 200704
天心の羽子ゆるゆると落ち始む 土井田晩聖 万事 200711
羽子板を飛び出してゐる写楽貌 高橋将夫 200801
追羽子の十を数へてなほつづく 宮津昭彦 200801
初場所や綺麗所の帯に羽子 山田六甲 六花 200801
踊り子の旅先でつく羽子日和 山田六甲 六花 200801
声高に羽子追ひに子等興じをり ことり 六花 200801
ぼろぼろの羽子を上手につく子かな 富安風生 200801
ひとり抱きふたり遊ばせ羽子日和 西口万佐子 200801
街灯に当たりて羽子の舞ひ落つる 山田六甲 六花 200802
羽子板を仕舞ひ大人に戻りけり ことり 六花 200802
アンパンマンの羽子板の競り高値呼ぶ 星野淑子 200803
羽子つきの聞こえぬままに羽子日和 芝尚子 あを 200803
羽子板の子の去ぬ路地を抜けにけり 高橋澄子 200804
生垣の路地蘇る羽子の音 中田みなみ 200804
羽根を突く子などあらねど羽子日和 鈴木多枝子 あを 200804
羽子板は羽根の行方を知らぬなり 高橋将夫 200901
春著着て羽子突きむかしの姉妹 大橋敦子 雨月 200901
羽子板に無患子の傷数多なる 山田六甲 六花 200901
頬赤く染めつつ羽子を追へる子よ ことり 六花 200901
羽根突きの音は聞かれず犬吠ゆる 加藤克 200902
羽子板や大小並ぶ藤娘 舛田初惠 酸漿 200903
追羽根や祖母より連る数へ唄 中山皓雪 200904
羽子板の紅さしなほし飾りけり ことり 六花 201001
羽子板市江戸の名残の見栄を売る 上谷昌憲 201002
正月やかるたは凧は羽子板は 鷹羽狩行 201002
羽子板市背中に感じ居酒屋へ 森下賢一 春燈 201002
羽子板市売手は茶髪の黒絆天 藤野寿子 あを 201002
羽子板は今年の顔の遼と真央 西垣順子 201003
羽子板市あやしき路地のなほしづか 深澤鱶 火星 201003
足許に羽子板市の土鳩かな 大島英昭 やぶれ傘 201003
その昔羽根つきたりし天のいろ 伊藤敬子 201003
羽子板やあの頃いくさ始まりし 芝尚子 あを 201003
羽子日和昔の音の戻りけり 芝孝子 末黒野 201004
羽子板や目元すがしき汐汲女 青木政江 酸漿 201004
追羽根の音は何いろ空を舞ふ 中村江利子 京鹿子 201005
提灯の字の揚巻も飾羽子 後藤比奈夫 ホトトギス 201008
羽子板市むかし新門辰五郎 鈴木榮子 春燈 201102
羽子突きも独楽も見かけず筑紫さへ 山口博通 ぐろっけ 201102
羽子板の音懐かしや空青き 和田郁子 201103
追羽根の男だんだん本気なる 木村幸 201104
役者絵の羽子板照らすうす灯り 菅野日出子 末黒野 201104
お正月諭吉一葉羽根ついて 阿部綾子 ろんど 201104
母と子の羽子板同じ藤娘 田野倉和世 酸漿 201104
受診室写楽が睨む大羽子板 小菅美代子 ぐろっけ 201112
羽子板市その片隅に凧並ぶ 水原春郎 馬醉木 201202
追羽根や交りて若き父の声 ほんだゆき 馬醉木 201202
羽子板市今年の顔の楽しみに 鈴木撫足 春燈 201203
羽子板市客を見てゐる正座なる 大山文子 火星 201203
羽子板の押絵は売れず世相かな 後藤克彦 かさね 201203
羽子板の顔悉く横を向く 吉田葎 201204
羽子つきの子に手加減をされてをり 松山三千江 春燈 201204
羽子板市まづ弁慶の買はれけり 平野芳子 馬醉木 201204
奉納の大羽子板に獅子舞へり 林稲子 万象選集 201205
町の上に大き阿夫利嶺羽子日和 川崎成武 万象選集 201205
羽子板の羽子きりきりと青畳 好井真由子 万象選集 201205
助六の眦あをき羽子板や 瀬戸悠 風土 201205
追羽子や漸うやう音のつながりぬ 山内碧 201206
突く羽子の澄みし音聞く昼下がり 山内碧 201206
追羽子のカンといふ音また途切れ 青木朋子 201206
狐火が火元か羽子板市炎上 鳥居美智子 万華鏡 201206
助六の大羽子板を裏がへす 北崎展江 くりから 201209
羽子板に羽子の当たるも縁かな 高橋将夫 201301
羽子つきの数を数へる鬼瓦 高橋将夫 201301
熨斗つけて大羽子板の飾りあり 山田六甲 六花 201301
羽子板の団十郎は見得を切る 田下宮子 201303
床の間の箱入り羽子板娘の手恋ふ 松嶋一洋 201303
通院や妻は羽子板市の人 大坪景章 万象 201303
羽子日和ひねもす動く山羊の口 藤原千代子 万象 201303
東京へ出でて羽子板市に遭ふ 田中臥石 末黒野 201303
どの顔も勘三郎似羽子板市 三輪慶子 ぐろっけ 201303
羽子板市羽根のみさげて抜けにけり 三輪慶子 ぐろっけ 201303
助六の大羽子板を観音に 内藤静 風土 201304
羽子板と歌留多をならべ一人住み 菅野蒔子 末黒野 201304
羽子をつく真白き富士のありにけり 嶋田一歩 ホトトギス 201306
羽子板は羽根の行方を知つてをる 高橋将夫 如意宝珠 201306
羽子板市やはり灯ともし頃がよき 瀧春一 花石榴 201312
羽子板をはみ出してゐる写楽顔 高橋将夫 201401
白山を越ゆる高さ羽子をつく 高橋将夫 201401
羽子板に武者窓の日の入りきたる 山田六甲 六花 201402
羽子をつくときどき新幹線通る 嶋田一歩 ホトトギス 201405
見えてゐる富士より高く羽子をつく 嶋田一歩 ホトトギス 201405
枝先にとどまる羽子に羽子を打つ 山田六甲 六花 201501
城門に反る鯱や羽子日和 田中佐知子 風土 201504
羽子突きに仮退院の子もをりぬ 河口仁志 201603
をみならと暫し追羽子興じたり 大橋晄 雨月 201603
羽子の音の学校裏に響くかな 池田友之 夏雲 201603
飾られし羽子板空の恋しからん 大島節子 201604
影濃ゆし突く音なくとも羽子日和 佐藤喜孝 あを 201608
たらちねの母の羽子板飾かな 山田六甲 六花 201701
羽子板に羽根の当たるも縁かな 高橋将夫 蜷の道 201703
羽子の音聞かざる巷羽子日和 久保東海司 201704
半世紀経し羽子板にある淑気 森幸 雨月 201704
追羽子の音に昔を見てをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201710
羽子板の裏絵を見せて置かれゐる 大崎紀夫 やぶれ傘 201803
羽子の音聞かざる巷羽子日和 久保東海司 201804
羽子板市暮れて人出の華やかに 石黒興平 末黒野 201804
幸せの包み羽子板市の帰路 石黒興平 末黒野 201804
加ふるに富士聳えゐて羽子日和 嶋田一歩 ホトトギス 201806
羽子つきし青山通りなつかしや 犬嶋テル子 春燈 201903
そと払ひ押絵羽子板納めけり 平野秀子 末黒野 201905
羽子板に打ち傷それもおめでたし 山田六甲 六花 202101
見得姿の役者羽子板ロビー映ゆ 門伝史会 風土 202104
羽子板にやさしき窪みありにけり 升田ヤス子 六花 202104
松の枝に懸りし羽子を小さき手へ 住田千代子 六花 202104
羽根ついて負けず嫌ひの子が泣きぬ 山内碧 202107
羽根つきや負けん気強き同い年 青木朋子 202108
羽子板の菊五郎の目の艶気かな 森田節子 風土 202204

 

2023年1月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。