花の雨 3     200句

新しき鍵で扉を開け花の雨   大山夏子   今日よりは

作品
作者
掲載誌
掲載年月
南朝の軸を与る花の雨 稲畑汀子 ホトトギス 201104
花の雨師の句碑訪うてみちのくに 大橋伊佐子 末黒野 201104
町中に河の濁りや花の雨 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
花の雨夜の音ぬすみ降りにけり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
嫁ぐ日を病む娘に問はる花の雨 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
バス停に橋の名つづく花の雨 佐藤喜孝 あを 201105
鍵盤に触れぬ歳月花の雨 コ田千鶴子 馬醉木 201106
怠けものの洗車介助や花の雨 上野昌子 春燈 201106
全盲の親友失せし花の雨 鈴木 石花 風土 201107
小町もかく眺めしならむ花の雨 丹生をだまき 京鹿子 201107
石段を登り切つたり花の雨 山本とく江 万象 201107
校門を降り昏めたる花の雨 椋本一子 雨月 201107
喪の家に傘を畳みし花の雨 雨村敏子 201107
貴賓室の天井高し花の雨 大地真理 201108
花の雨浴びてしばしの昼の夢 増田甚平 ろんど 201108
花の雨病棟の窓叩きけり 城戸緑 末黒野 201108
行列は取りやめの沙汰花の雨 浅井靑陽子 ホトトギス 201109
花の雨祈りのやうに降りにけり 岩岡中正 ホトトギス 201109
み吉野や百の雫の花の雨 佐土井智津子 ホトトギス 201109
廊踏めば往昔還る花の雨 皆川白陀 末黒野句集 201203
妻に傘さしかけゆくや花の雨 水原春郎 馬醉木 201205
花の雨相合傘の肩余る 近藤牧男 六月 201206
銭湯のもう開いてゐる花の雨 近藤牧男 六月 201206
読み返す遺句集「和紙」や花の雨 谷村幸子 201206
花の雨マナーモードのやうな日よ 小嶋洋子 201206
花の雨蛙のやうに甃 森理和 あを 201206
花の雨前歯小股に神楽坂 森理和 あを 201206
花の雨音のみひびく堂の内 木村茂登子 あを 201206
花の雨どんでんかへしと言ふ仕掛 長崎桂子 あを 201206
付下げの裾に触れたる花の雨 吉弘恭子 あを 201206
花の雨熊野の面の愁ひかな 南澤はるお 万華鏡 201206
おしやれして落花の雨となりにけり 中村風信子 馬醉木 201207
唇にひとひら花の雨ならむ 遊橋惠美 風土 201207
叱られて二階は広し花の雨 吉田葎 201207
シャボンの香ほの明るくて花の雨 中山純子 万象 201207
花の雨おもちやの電車動き出す 桑原逸子 201207
花の雨千両役者の有情かな 桑原逸子 201207
花の雨ゴリラ夫婦の黙つづく 三枝邦光 ぐろっけ 201207
花の雨夜半の煙と果つは私事 三枝邦光 ぐろっけ 201207
花の雨閑谷講堂ただ寂と 寺岡ひろし 雨月 201207
咲き残る枝垂れの花の雨雫 佐藤喜仙 かさね 201208
あらためて拝す勲章花の雨 日下コ一 ホトトギス 201208
テレビ塔俯瞰す北都花の雨 上家弘子 ろんど 201208
法衣また濡るるもご縁花の雨 安原葉 ホトトギス 201210
花の雨油塗れの油差 佐藤喜孝 あを 201303
花の雨直哉ゆかりの宿幽く 伊藤純子 201306
提灯の灯りに揺るる花の雨 丸山酔宵子 かさね 201306
花の雨濡るる墳墓に手を介はせ 槇野あさ子 風土 201306
美術館と学校隣る花の雨 杉浦典子 火星 201306
花の雨帽子このごろ被らざる 大西八洲雄 万象 201306
週末の予報気にせり花の雨 鈴木阿久 201306
花の雨午後の鏡の気うつかな 中野英伴 春燈 201307
荷風忌や相よき句碑に余花の雨 中村紀美子 春燈 201307
退屈といふは贅沢花の雨 織田喜美子 春燈 201307
仰ぎ見る坊ちやん時計花の雨 西川春子 春燈 201307
花の雨ただ静寂の高野みち 石橋邦子 春燈 201307
親離れためらふ沙羅の花の雨 吉田克美 ろんど 201310
禅林に鴉声のひとつ花の雨 森清信子 末黒野 201404
花の雨阪神電車で帰らう おーたえつこ 201406
花の雨天地がへしの土匂ひ 石川倜子 馬醉木 201406
昭和の歌百曲花の雨一と日 田中藤穂 あを 201406
還暦にみまかりし人花の雨 和田郁子 201406
玉砂利のいろを磨いて花の雨 礒貝尚孝 201406
川べりに志士の碑あまた花の雨 辻知代子 201406
年寄に禍福門なし花の雨 齋藤晴夫 春燈 201407
姉の忌明け間近紅涙花の雨 久保晴子 雨月 201407
花の雨人形町に迷ひけり 松橋利雄 春燈 201407
花の雨厨にひかる鍋薬缶 松本三千夫 末黒野 201407
花の雨雷一喝に始まりぬ 飛高隆夫 万象 201407
花の雨巫女がま白き紙折れる 山田美恵子 火星 201407
本殿の切妻屋根に花の雨 有賀昌子 やぶれ傘 201407
特攻の御霊鎮めか花の雨 竹内喜代子 雨月 201407
安心は不安の先に花の雨 鈴木初音 201407
昼の湯の老人ばかり花の雨 涼野海音 火星 201407
百歳の叔母逝く宵や花の雨 堺昌子 末黒野 201408
母の忌や逝きし日のごと花の雨 占部美弥子 末黒野 201408
花の雨日はありながら横なぐり 松田泰子 末黒野 201408
花の雨木喰さんの軒を借る 小川明美 万象 201408
花の雨昼は昼のこころにて 吉田香津代 201505
図書館の椅子譲られし花の雨 村上倫子 201506
空仰ぐ青銅裸像花の雨 高橋泰子 201506
花の雨供養の膳に猫がのり 秋川泉 あを 201506
ピザ窯に強き火残り花の雨 成宮紀代子 201506
医者へ行くための早起き花の雨 安居正浩 201506
伸びをして又眠る猫花の雨 大川ゆかり 201507
知事室の窓にカーテン花の雨 瀬島洒望 やぶれ傘 201507
花の雨沖の小島の模糊として 安斎久英 末黒野 201507
花の雨出店仲間の立ち話 外山節子 末黒野 201507
心また重しとおもふ花の雨 窪田佳津子 雨月 201507
花の雨上りし館に婚儀あり 玉置かよ子 雨月 201507
髪しとど濡れきて花の雨と知る 升田ヤス子 六花 201507
耳くすぐる京の言の葉花の雨 正谷民夫 末黒野 201508
花の雨キリンは立ちしまま憩ひ 中村三郎 京鹿子 201508
野仏の厚きまなぶた余花の雨 丸尾和子 雨月 201508

 虚子忌

年重ね無情の花の雨とこそ

稲畑汀子 ホトトギス 201604
窓ガラス曇らす煮炊き花の雨 布川直幸 201604
髪しとど濡れゐて花の雨と知る 升田ヤス子 玫瑰 201604
風花の雨戸開くれば舞ひに舞ふ 大橋晄 雨月 201605
めづらしき人の来りぬ花の雨 三上程子 春燈 201606
花の雨ひとりの箸をかへにけり 鷹崎由未子 春燈 201606
沫浴の雀よ余花の雨あがり 山田六甲 六花 201606
なめろうの薬味を叩く花の雨 小林愛子 万象 201607
灯の奥にもの影ゆるる花の雨 山本右近 万象 201607
番傘の屋号揺れゆく花の雨 中島芳郎 201607
白鷺の歩み試歩めく余花の雨 安居正浩 201607
鎌倉の五山けぶらす花の雨 青柳雅子 春燈 201607
塗り替ふる丹の橋の艶花の雨 中里よし子 春燈 201607
絶筆となれり君の句花の雨 小木曽文明 雨月 201607
西大路東大路も花の雨 井上菜摘子 京鹿子 201607
遊園地の子の聲濡らす花の雨 近藤紀子 201607
打ち臥せて幼の眠る花の雨 秋山信行 やぶれ傘 201608
橋くぐる水上バスや花の雨 長田厚子 末黒野 201608
紫の蛇の目傾げて花の雨 久留島規子 万象 201608
陵を鎮め名残の花の雨 吉田万喜子 雨月 201609
花の雨伝ひしあとや純子句碑 原田しずえ 万象 201610
待つことの増ゆる習ひや余花の雨 森川絢子 京鹿子 201701
花の雨気になるオランウータンと彼と 東英幸 船団 201701
下町を洗ひ清めて花の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
明るさを空に沈めて花の雨 今井肖子 ホトトギス 201704
胸像をぬらす日本の花の雨 水原秋櫻子 馬醉木 201704
花の雨音立てて出る缶コーヒー 松本三千夫 末黒野 201706
聖堂に真昼の暗み花の雨 佐藤保子 馬醉木 201707
吟行の一歩より濡る花の雨 田中臥石 末黒野 201707
千体の地蔵の寺や花の雨 太田良一 末黒野 201707
流れゆく刻の嵩増す花の雨 塩貝朱千 京鹿子 201707
鉛筆をゆつくり削る花の雨 田原陽子 201707
花の雨蝙蝠傘の黒すぎる 内海良太 万象 201707
花の雨美術館にはティツィアーノ 飛高隆夫 万象 201707
花の雨深川飯を食べたかり 原田しずえ 万象 201707
ベそかいて行くランドセル花の雨 岡崎春菜 万象 201708
聖堂に真昼の暗み花の雨 佐藤保子 馬醉木 201801
漱石のそれから花の雨となる 東英幸 船団 201802
花の雨崇廣堂の大屋根に 陽山道子 船団 201802
抜くと決め歯医者へ向かふ花の雨 須賀敏子 あを 201805
北枕西面に寝て花の雨 田中藤穂 あを 201805
地の罅に音なくしむる花の雨 栗原公子 201806
花の雨京王線の窓伝ふ はしもと風里 201806
道端のホイールキャップに花の雨 稗田寿明 201807
笑はせてはじまる法話余花の雨 熊川暁子 201808
余花の雨重ねし日々をいつくしみ 小林昌子 馬醉木 201808
追悼の旅の終りぬ花の雨 山田閨子 ホトトギス 201808
花の雨今日があとかたなく暮るる 児玉充代 201808
兄上より訃報の手紙花の雨 服部早苗 201809
全身で憎みぬ花の雨の照り 原ゆき 船団 201809
人悼む心に今日の花の雨 稲畑汀子 ホトトギス 201903
人悼む心に花の雨もよひ 稲畑汀子 ホトトギス 201903
百度石洗ひをりたる花の雨 山田六甲 六花 201905
花の雨霙まじりとなる夕べ 斉木永久 馬醉木 201907
搾乳管の騒立つ音や花の雨 渡会昌広 馬醉木 201907
花の雨米蔵小路昼灯し 大上充子 馬醉木 201907
いにしへの香りほのかに余花の雨 西本花音 春燈 201907
鉄瓶の蕎麦湯とろりと余花の雨 大沢美智子 201907
花の雨傘を差す人差さぬ人 廣瀬雅男 やぶれ傘 201907
お招きを受けたる御所の花の雨 三村純也 ホトトギス 201908
御代四代の母の文箱や余花の雨 平野加代子 春燈 201908
傘ささぬ人ある程の花の雨 武藤節子 やぶれ傘 201908
花の雨品詞分解から始め 近藤干雅 船団 201910
『春望』の朗読が好き花の雨 近藤干雅 船団 201910
田を売つて栄えゆく町余花の雨 兒玉充代 201911
花の雨誤植せしこと赦されて 山田六甲 六花 202005
信心を起こさば花の雨嵐 山田六甲 六花 202005
花の雨気ままに部屋の模様変へ 大日向幸江 あを 202006
外出のままならぬ日々花の雨 菅野日出子 末黒野 202007
お母さんへと書き出す手紙花の雨 豊谷ゆき江 春燈 202007
抽出しを片づけてをり花の雨 志方章子 六花 202007
疫病の無き世を願ふ花の雨 石橋邦子 春燈 202007
くぐもれる汽笛の遠く花の雨 山崎稔子 末黒野 202007
花の雨の二胡のカセット音低く 鈴木友子 末黒野 202007
余花の雨読後の余韻そつと閉づ 卜部黎子 春燈 202008
薬局の長き行列花の雨 本間せつ子 末黒野 202008
花の雨猫の香箱座りかな 青木朋子 202010
花の雨老いの言葉のかすれゆく 山本則男 202010
締め括る一文字探す花の雨 大日向幸江 あを 202104
花の雨傘寿のもとに集ふ「あを」 篠田純子 あを 202104
花の雨流るる酒船石の溝 平松うさぎ 202105
再開の動物園に花の雨 大日向幸江 あを 202105
花の雨黒塀続く武家屋敷 熊谷成子 202106
花の雨ついてぼるがのカウンター 林いずみ 風土 202106
忘却は老いへの恵み花の雨 齋藤晴夫 春燈 202106
花の雨まだ降り止まぬ夜の哀愁 塩貝朱千 京鹿子 202106
この歳で知ること多し余花の雨 三上程子 春燈 202107
花の雨社殿の奥の灯かな 近藤牧男 春燈 202107
鎌倉の市場休まず花の雨 吉澤恵美子 春燈 202107
山番の跼む三和土余花の雨 鈴鹿呂仁 京鹿子 202107
花の雨いのちの森に授乳室 井尻妙子 京鹿子 202107
ひとしきり吉野に銀の花の雨 和田華凛 ホトトギス 202108
客待ちの運転手らに花の雨 足立枝里 202110
花の雨ゆるりと時は流れをり 岡美智子 末黒野 202204
静かとは花の雨来る気配かな 七田文子 202205
花の雨片袖濡らす一人傘 伊吹之博 京鹿子 202205
花の雨小走りに行くヨガレッスン 秋川泉 あを 202205
戀塚の闇を解くも余花の雨 鈴鹿呂仁 京鹿子 202206
久に来し友よりの文花の雨 水谷はや子 202206
花の雨散るも残るも霧の中 本田豊明 202206
公卿小路大路のむかし花の雨 橋添やよひ 風土 202207
深更の軒端うつ音花の雨 岡野里子 やぶれ傘 202207
満開は傘も同じや花の雨 加藤直人 やぶれ傘 202207
余花の雨こころ静もる日となりぬ 七田文子 202207
花の雨 →4

2023年4月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。