葉 月     106句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
男らの口笛葉月の雨の中 中林明美 ヒッポ千番地 199905
目の前の仕事余して葉月かな 稲畑汀子 ホトトギス 199909
クッキーのナッツ噛みあて葉月尽 鷹羽狩行 199910
葉月尽ころころ丸き羊の子 長谷川通子 俳句通信 199910
快速うみかぜ葉月とはぐれけり 田中亜美 海程 199912
文月より葉月へ縷々と水流れ 森洋子 199912
吾には吾の君には君の葉月かな 内野聖子 船団 199912
豊かなる雲を母とし葉月富士 華明日香 銀化 200012
エンタシス葉月の蝶がおちている 中林明美 船団 200103
北アルプスの葉月の水に想う君 甲田夏湖 船団 200105
葉月葉の日これよりは雨の日 阿部完市 海程 200112
大の字に寝まる葉月の土の上 佐藤恭子 ホトトギス 200201
戦争てふ言葉に軋みゐる葉月 本村照香 ホトトギス 200201
葉月人うつむくしごと野に多き 後藤洋子 ホトトギス 200201
山襞は葉月の雲の湧くところ 佐藤恭子 ホトトギス 200201
二股は木にも川にも風葉月 佐藤恭子 ホトトギス 200201
草樹打つ葉月の雨を四阿に 大和勲 ホトトギス 200201
葉月の空を崩折れし摩天楼 本村照香 ホトトギス 200201
観覧車月に触れゆく葉月かな 石田風子 ホトトギス 200201
風の声聞こえて来たる葉月かな 湖東紀子 ホトトギス 200201
温暖化なりし葉月に耐へてをり 石田風子 ホトトギス 200201
総仕上げ近き葉月のビルの階 岡田榮二 ホトトギス 200201
透きとほりたくて葉月の風めぐる 後藤洋子 ホトトギス 200201
伝言板葉月八日に待つ小島 川島ひとみ 船団 200201
ビル葉月たまには窓を開け閉める 岡田榮二 ホトトギス 200201
闇深し葉月の雨に鳴く鴉 大和勲 ホトトギス 200201
葉月来る土人形のやさしき目 田中敬子 百鳥 200212
人を見て馬の嘶く葉月かな 山口マサエ 雲の峰 200310
奥琵琶の波平らなる葉月かな 渡辺周子 雲の峰 200310
水音をこぼし葉月の庵かな 田中清子 遠嶺 200312
木々の皆疲れてをりし葉月かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
補陀落の海の蒼さも葉月かな 熊岡俊子 雨月 200411
梶の葉に盛る吉兆の葉月膳 水谷芳子 雨月 200411
ねむる間に葉月の過ぎる真夜の月 渡邉友七 あを 200511
三輪車上手に乗れて葉月かな 豊田博子 築港 200511
バーベルのうっすら白く葉月尽 村田とくみ ぐろっけ 200512
消息の届かぬままや葉月来る 稲畑汀子 ホトトギス 200609
無憂華の台しみじみ葉月なり 谷村幸子 200610
亡き友の声の残れる葉月かな 村越化石 200611
横罫の上を風ゆく葉月かな 中原幸子 以上、西陣から 200705
もちあるく葉月なか日の籠枕 松崎豊 200706
住み慣れし町の賑はひ葉月来る 福地初江 200710
鎮魂の日を重ねつつ葉月過ぐ 中沢三省 風土 200711
ナイターにうつつを抜かし葉月果つ 久保晴子 雨月 200712
世界平和なほなほ遠し葉月尽 竹内悦子 200811
糸巻の糸口探る葉月尽 辻佳子 馬醉木 200811
ゴーギャンの朱き絵と在り葉月尽 勝見玲子 200811
心打つ言の葉月を仰ぎつつ 川口襄 遠嶺 201001
一つ終へ一つはじまる旅葉月 稲畑汀子 ホトトギス 201009
葉月ぐもりや武蔵国府のうまし蕎麦 千田百里 201010
拝むことばかり多くて葉月なり 須賀敏子 あをかき 201010
日曜に葉月はじまる熟寝かな 川端俊雄 火星 201011
さざ波に魞の傾く葉月かな 雨宮桂子 風土 201011
リヤカーの手入れ丹念葉月かな 宮田香 201011
考ふより葉月花屋へ参るべし 大橋敦子 雨月 201109
夢二画く女気怠げ葉月来る 丹生をだまき 京鹿子 201110
濡れ髪を透かす葉月の夜風かな 藤原若菜 春燈 201112
葉月はや風にうつろひ見えそめて 井上浩一郎 ホトトギス 201202
椀洗ふ水なまぬるき葉月かな 小林愛子 辻楽師 201206
陰ふかく心地よき道葉月かな 長崎桂子 あを 201210
江戸川の土手に葉月の魚暦 成宮紀代子 201211
的を射る手応へは無し葉月尽 三橋早苗 ぐろっけ 201212
里眠る葉月の空の紺に澄み 宮崎きみ枝 201212
山畳み戻る夕暮れ葉月尽 柳本渓光 ろんど 201301
ふと掛ける石の温もり葉月かな 柴田靖子 201301
筑波嶺や葉月の日の斑たゆたう 千田敬て 201310
沼の色まづ画布に置く葉月旅 遠山みち子 201311
揉んでゐて水匂ひだす葉月かな 佐藤喜孝 あを 201311
京菓子の名に惹かれ買ふ葉月かな 塩田博久 風土 201311
見事なる葉月に映える吾妻山 佐藤健伍 201311
蟷螂も目まひ催す葉月かな 古沢幸次 ろんど 201312
亡き人に花入れ送る葉月かな 藤波松山 京鹿子 201312
葉月満月ナース手をおくほがみかな 西田孝 ろんど 201411

 通子さんを偲ぶ

幽界の便りはいまだ葉月尽

北村淳子 ろんど 201412
自転車を止めて葉月の立ち話 中村あいこ 船団 201505
洞窟にワインの眠る葉月かな 内藤静 風土 201512
遠くより葉月の波のうねり来る 内藤静 風土 201512
山脈の際立ちて濃き葉月かな 溝内健乃 雨月 201512
葉月行く履きぐせ遺る男下駄 布川孝子 京鹿子 201601
やうやくに葉月の心ととのへり 稲畑汀子 ホトトギス 201609
あれこれと知らずにすぎて葉月かな 犬塚芳子 201611
宵の風背筋ひやりの葉月かな 長崎桂子 あを 201610
あれこれと知らずにすぎて葉月かな 犬塚芳子 201611
葉月潮船よりでかい波が来る 能美昌二郎 201612
雲切れて葉月の沼の白光す 甲州千草 201710
人も木も息深くなる葉月尽 岩月優美子 201711
屈強な漁師の腕葉月潮 能村研三 201711
葉月潮沖に動かぬ漁の火 片桐紀美子 風土 201801
二三日忽ち過ぎぬ葉月かな 稲畑汀子 ホトトギス 201809
飴色に澄みて葉月のまむし酒 石川桂郎 風土 201907
幾重にも桧山を越えて紀伊葉月 岩崎藍 末黒野 201911
土笛をぼーぼーぼーと吹き葉月 つはこ江津 船団 201912
纜に時淀ませて葉月潮 佐藤千恵 京鹿子 202001
アトリエの風入れ替へて葉月くる 木暮陶句郎 ホトトギス 202002
気にかかる講話近づく葉月かな 稲畑汀子 ホトトギス 202009
「夢」の額飾り葉月の美容院 菅澤陽子 春燈 202009
ポジティブな船の名前や葉月潮 能村研三 202010
化粧待つ支度ととのふ葉月富士 長岡千波 202012
葉月潮満ちて島影遠くなり 久保寺眞佐子 末黒野 202012
潮騒は葉月の楽か一遍忌 千田百里 202110
身ほとりの忌日の多き葉月かな 犬嶋テル子 春燈 202111
軽やかに荷船過ぎゆく葉月潮 安立公彦 春燈 202112
葉月潮まどろみへ来る月の舟 阪倉孝子 202112
補陀落へゆかむ葉月の潮分けて 辻本俊子 京鹿子 202209
道後駅行き最終電車青葉月 山田六甲 六花 202206
軽やかに荷船過ぎゆく葉月潮 安立公彦 春燈 202212

 

2023年10月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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