斑 雪(はだれ・はだら)    190句

水の背のひたゆき斑雪昏れてをり   高島茂   鯨座

作品
作者
掲載誌
掲載年月
斑雪踏むときポケットベルの鳴る 保坂加津夫 会者定離 199900
蒼天に千切り絵のごと斑雪山 村瀬初実 春耕 199907
水音の絶えず斑雪の千枚田 高崎武義 200003
斑雪野の誘導灯のちかちかす 木野本加寿江 火星 200005
斑雪富士疾風ぼこりに汚れけり 川村紫陽 200005
斑雪移ろうてゆく雲の影 二瓶洋子 六花 200005
大老の袴濡らすかはだれ雲 水谷契江 六花 200006
海猫啼いて飛び交ふ岩に斑雪 栢森定男 あを 200101
斑雪刻がかいけつしてくれる 柳未央 いろり 200102
山の月斑雪を照らし育ちけり 宮津昭彦 200103
括る柴中より拔いて斑雪野へ 中原道夫 銀化 200104
対岸の斑雪も探す遠眼鏡 伊藤稔代 200105
斑雪あかずの木戸のありにけり 花島陽子 遠嶺 200105
斑雪野やかて飯の糅増されて 武田菜美 銀化 200105
斑雪嶺と湖を左右に首廻す 品川鈴子 ぐろっけ 200105
由起夫なら肉崩れちふはだれ雪 駒寄あつし 銀化 200106
わたつみののみこんでをる斑雪 森猿彦 200107
赤々と杉の葉交る斑雪かな 加瀬美代子 200202
鶏を叱りし声の斑雪村 山尾玉藻 火星 200203
斑雪野の端の公衆電話鳴る 山尾玉藻 火星 200204
はだれ雪出作小屋の影なりに 池田光 200205
終点の駅の斑雪へ着きにけり ほりもとちか 円虹 200205
横向きに寝て斑雪野を遠くせり 村越化石 200205
山斑雪解くる音みな明るくて 土肥屯蕪里 雲の峰 200205
庭山の浮根古りたりはだれ雪 桑田眞佐子 火星 200206
はだれ雪肥料袋の口開いて 大東由美子 火星 200207
チアノーゼ擴ごる死は既に斑雪 中原道夫 銀化 200302
佳き人の道ひろいくるはだら雪 鎌倉喜久恵 あを 200304
灯台の玉虫色やはだら雪 吉田順子 帆船 200401
はだら雪日に日に細り紙を干す 岡崎桂子 対岸 200505
倒木に届く日差しやはだら雪 近藤幸三郎 風土 200606
嶺の雪はだらになりつ干蕨 瀧春一 200706
はだら雪嶺に対ひて嶺に問ふ 川口襄 遠嶺 200807
竹人形みんな伏目に斑雪 野坂民子 馬醉木 200304
公園の子らが踏みゆく斑雪 水上秀一 雲の峰 200304
笠鉾の斑雪畑の中をゆく 西山美枝子 酸漿 200305
遠くゆく花笠鉾や斑雪山 西山美枝子 酸漿 200305
節分草斑雪のごとく咲きゐたり 田口俊子 200305
斑雪嶺へ牛百頭の放たるる 宮坂恒子 200305
斑雪敷くこの大いなる谷を見よ 有働亨 馬醉木 200306
折り返す轍の深み斑雪山 おかたかお 200306
遠つ嶺に蝶翔ぶごとき斑雪 峰幸子 200306
汚れ濃くためて斑雪の痩せゆけり 浅川正 雲の峯 200306
伐採の音響きゐる斑雪山 二瓶洋子 六花 200307
斑雪嶺や風やはらかき岩畳 大谷茂 遠嶺 200307
夕映の橅の新樹やはだれ敷き 平井あい子 馬醉木 200312
奥の院法華の峰の斑雪 岩瀬満里子 草の花 200403
はだれ野をかんてきの火の通りけり 浜口高子 火星 200405
はだれ野のふくらんでゐる鹿の胴 城孝子 火星 200405
その上に斑雪山あり謡かな 水野恒彦 200405
鴉ゆく斑雪に朝日射しにけり 長村雄作 栴檀 200405
山風の削ぎ残したる斑雪かな 伊藤敬子 遠嶺 200406
斑雪山移ろうてゆく雲の影 二瓶洋子 六花 200407
一心に何か摘む背の斑雪山 宮川迫夫 遠嶺 200407
化粧水をたたく正面はだれ富士 柴田由乃 風土 200504
斑雪嶺の翳り際立つ河童橋 渡辺嘉幸 帆船 200504
斑雪茎四五寸に折れてをり 佐々木国広 築港 200504
斑雪野を抜け若州の女関 浜福恵 風土 200505
斑雪嶺も湖も夕日に染まりけり 豊岡美千江 築港 200505
斑雪野に置かれて農機黄なりけり 岡本眸 200505
はだれ野や朝の列車の影長き 内藤紀子 遠嶺 200506
里人の会釈のよかり斑雪踏む 酒本八重 里着 200506
紅猿子連立ち飛べり斑雪山 久保田ヤスエ 酸漿 200506
斑雪集めて作る黒だるま 西塚成代 六花 200506
斑雪敷きたる墓地の花咲くごと 川越勢津子 200506
ペンションの硝子に写る斑雪山 森山のりこ あを 200507
斑雪嶺の午後を翳らす隠れ里 長沼三津夫 200507
集落の斑雪ごもりに子さへ見ず 長沼三津夫 200507
ポケットの両手がさみし斑雪山 松岡隆子 200507
山雀の声の澄みをり斑雪渓 内藤順子 酸漿 200604
丹波路や雉子のつまづく斑雪 須永トシ 栴檀 200604
水送る若狭の社斑雪 沢田清子 200606
八一の書見し眼に越の斑雪照る 木下ふみ子 馬醉木 200606
斑雪野の一条の道郵便車 村田菊子 遠嶺 200606
昨日より今日黒々と斑雪の野 松原智津子 万象 200606
斑雪野の明るさに踏む己が影 高橋さえ子 200606
花林糖ごろりと甘し斑雪 山元志津香 八千草 200607
はだれ野に鉢の箱積む会津口 佐藤雄二 万象句集 200703
蒼穹や筑波女峰に斑雪ふみ 小林碧郎 馬醉木 200705
鉄骨の積み晒されて斑雪 中野さき江 春燈 200705
斑雪嶺を日照雨きららに滝なせり 長沼三津夫 200706
斑雪嶺の返す怒濤の遠こだま 長沼三津夫 200706
かげろふや佐保路にであふ人はだれ 豊田都峰 京鹿子 200708
斑雪嶺の駒は四つ足揃へけり 諸岡孝子 春燈 200801
まじはらぬ径ふたつや斑雪 島谷征良 風土 200803
林道を抜ければ吾田斑雪 山田六甲 六花 200803
熊よけの鈴降りてくる斑雪 内山花葉 200803
斑雪だんだんに山深くなる 椋本一子 雨月 200804
洩れ日さす樹林耀く斑雪 中田たかし 酸漿 200804
はだれ雪二輌でんしやの曲がりくる 奥田茶々 風土 200805
斑雪リボンの少女小走りに 木下もと子 200805
斑雪このまま昏れる日となりぬ 吉岡一三 200805
湯の川に卵沈める斑雪 河崎尚子 火星 200805
斑雪白布巻かれし墓一基 森茂子 火星 200805
斑雪跳んで過日をかをらせり 加藤京子 遠嶺 200806
菜園の斑雪に堆肥撒きにけり 安部康子 万象 200806
車窓より見ゆる山々の斑雪 梅田秀子 酸漿 200806
単線は木の間隠れに斑雪 瀬島洒望 やぶれ傘 200807
斑雪野の端清潔な厠置き 岡本眸 200812
山峡の養蜂箱に斑雪照る 和田和子 馬醉木 200904
斑雪山の深くにありし昼の燗 浜口高子 火星 200906
チェーンソーの音を谷間にはだれ山 渡部光徳 やぶれ傘 200907
斑雪山仰ぎては畑打ちゐたる ことり 六花 201003
寂然たり比叡のみ寺斑雪 伊藤敬子 201003
はだれ雪牛舎を出づるべこの角 加藤峰子 201004
斑雪嶺にまた新しき今朝の雪 青木陽子 酸漿 201004
斑雪池の緋鯉の透けて見ゆ 芝尚子 あを 201004
裏山のはだれ眩しむ尼僧なり 渡辺数子 火星 201005
斑雪なかば盲いてゐたりけり 瀬川公馨 201005
夜の灯に浮く教会や斑雪 環順子 遠嶺 201005
里山の斑雪に残る小さき跡 米田正弘 201006
斑雪雑木の梢むらさきに 三浦百合子 201006
はだれ嶺の滝や井上ひさし逝く 大島翠木 201007
霧消えて富士の斑雪の現はるる 稲畑汀子 ホトトギス 201007
斑雪山登りて一番札所かな 内藤恵子 万象 201008
武蔵野の夜空は大き斑雪 萩原渓人 やぶれ傘 201008
対向車待つホームにも斑雪 武田ともこ ぐろっけ 201102
斑雪山林相すでに見えて来し 能村研三 201103
梅一輪煙管はだれの発明か 小堀寛 京鹿子 201104
はだれ雪宗祇の汲みし連歌井戸 野口喜久子 ぐろっけ 201105
日当りてわれにかへりし斑雪 中野京子 201105
少年の弁当ひらく駅斑雪 鴨下昭 201105
四方いまだ斑雪嶺囲み着任す 秋葉雅治 201105
斑雪野に鉄道ファンのシャッター音 福本郁子 火星 201105
斑雪鳥のすがたを見失ふ 井関祥子 酸漿 201105
斑雪山氷室残れる天城越 伊藤いな栄 酸漿 201105
畑一枚漢詩に見ゆるはだれ雪 飯島風花 201106
斑雪闇に溺れる津軽弁 鴨下昭 201106
丹沢の斑雪を染むる大落暉 菅野日出子 末黒野 201106
雑木山みな総立ちて斑雪 上辻蒼人 風土 201106

 東日本大震災

ハーモニカの男の子斑雪の津波跡

延広禎一 201107
点描画めく六甲の斑雪かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
伊勢丹は躊躇し雪ははだれ雪 坪内稔典 船団 201203
はだれ雪水際せせる鷺の足 酒井康司 末黒野句集 201203
斑雪さへも失せたる朝かな 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
ここまでと鉄路は尽きてはだれ雪 吉田啓悟 かさね 201205
出張を旅と思へり斑雪 吉田希望 201205
斑雪に雪見燈籠適ひたる 服部珠子 雨月 201205
瓦斯屋来てボンベ取り替ふ斑雪村 田中佐知子 風土 201205
利根川の中州に残る斑雪かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201205
野の色に譲り譲りてゆく斑雪 湯川雅 ホトトギス 201206
斑雪むくろの鼠尾の太き 藤井美晴 やぶれ傘 201206
嗽ぐ斑雪浅間のはればれと 福永みち子 馬醉木 201207
家々の斑雪の屋根と電柱と 渡邊孝彦 やぶれ傘 201209
分け入ればもはや斑雪と言へずなる 細野恵久 ぐろっけ 201303
鰐口を一打して辞す斑雪かな 野上杳 201304
はだれ雪にしき鯉紅深めたる 本多俊子 201305
近松の碑へと絡まり斑雪 伊東和子 201305
御食向かふ南アルプス斑雪かな 井上石動 あを 201305
北斎画と見紛ふ伊吹はだれ雪 中川すみ子 201306
妙高山豊作約す斑雪馬 山本達人 かさね 201306
杖に出て母の散歩や斑雪山 森屋慶基 風土 201306
寺縁起彫りし洪鐘斑雪山 池内結 ろんど 201306
根上りの松に斑雪のありにけり 有賀昌子 やぶれ傘 201306
十能の炎にはだれ野の闇うごく 浜口高子 火星 201405
花嫁の父と見てゐる斑雪山 大山文子 火星 201405
斑雪野に一歩踏み入る旅鞄 小林成子 火星 201405
はだれ野をつつつと行けり鳥の影 渡邊孝彦 やぶれ傘 201406
放牧の山麓とぎれ斑雪山 森田尚宏 201406
晩年や遠嶺の斑雪ただ白し 半田稜 ろんど 201406
斑雪三日湯治や「ろんど」読む 鎌田慶子 ろんど 201406
斑雪チェーン巻きたるバスの揺れ 小山陽子 やぶれ傘 201406
朝市の立つや斑雪の山の裾 森礼子 雨月 201408
紙の辞書捨てたる悔いや斑雪 笠井敦子 201405
鞍馬より吹かれ磧のはだれ雪 荒木甫 201405
二の鳥居まで続きをり斑雪 前田美恵子 201504
一巻をなほ読み終へずはだれ雪 安西信隆 201504
牛臭き野に光りたる斑雪 竹中一花 201505
稜線は刃のかたち斑雪 上野紫泉 京鹿子 201505
斑雪嶺の空の青さやデッキチェア 成田美代 201507
夜は星に解けゆくはだれ野の起伏 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
斑雪にも彩るといふ心 稲畑汀子 ホトトギス 201603
しばらくは誤解のままではだれ雪 鈴鹿呂仁 京鹿子 201604
はだれ野や鴉孤影を落しゆく 和田和子 馬醉木 201605
象潟の九十九島のはだら雪 阿部月山子 万象 201605
バイパスに切られたる畑はだら雪 秋山信行 やぶれ傘 201606
芝庭の斑雪啄む雀かな 斉藤マキ子 末黒野 201705
斑雪や青春切符ひた走る 井上静子 201706
斑雪広告ちらし踏まれる駅広場 佐々木あつ子 やぶれ傘 201806
足音も吸い込む砂丘の斑雪 松永啓子 船団 201809
斑雪ぐぐつとぐーぐー腹の虫 松本秀一 船団 201809
稜線の尖つてきたる斑雪山 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
急行の止まらぬ駅舎斑雪 大内幸子 六花 201905
二日灸据ゑをちこちの斑雪山 伊藤真代 201905
常念岳の斑雪まぶしむ早春賦 小森泰子 馬醉木 201906
溢れ出る富士の伏流はだれ雪 渡辺富士子 末黒野 202004
競ひ合ふ斑雪のかたち山の畑 石原健二 やぶれ傘 202007
はだれ野に泥の轍の深々と 南うみを 風土 202104
はだれ雪払ひ落として摘む春菜 大谷茂樹 京鹿子 202105
斑雪宗谷本線一輌で 須賀敏子 あを 202106
はだれ野に砲声響き富士孤高 稲畑廣太郎 ホトトギス 202201
斑雪野や双体神は抱擁す 田中佐知子 風土 202205

 

2023年2月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。