外 套 (オーバー)  101句

明日ありやあり外套のボロちぎる   秋元不死男  瘤

作品
作者
掲載誌
掲載年月
去らむと立てば外套長し墓の前 岡本眸 199904
赤いオーバーに夕暮れの紺深まりぬ 甲田夏湖 船団 199908
遠き街の灯へ外套を打ちて着る 丸山海道 海道全句集 199910
放浪記見る外套に膝包み 村井久美子 200002
オーバーを脱ぎて戻りし第九かな 笹村政子 六花 200003
店先に吊る質流れ長外套 品川鈴子 ぐろっけ 200003
古外套「おっ」と交わす挙手の礼 武田正子 ぐろっけ 200003
外套のガイド城主に似てゐたる 吉村玲子 円虹 200006
まで遠しなのに外套もて余す 保坂加津夫 いろり 200102
外套の下のきれいな体なり 加藤かな文 200103
外套も涛も巻き上げ日御碕 松本米子 あを 200103
外套の衿きつちりと神父老ゆ 丹羽啓子 馬醉木 200104
諳んじゐる詩やオーバーの襟の中 木船史舟 200104
外套の裏華やかに脱がれけり 達山丁字 200105
外套を脱ぎてより句座華やぎぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200112
又太りオーバーボタンはめられず 稲畑廣太郎 ホトトギス 200112
海鳴の近づくオーバーコートかな 山尾玉藻 火星 200112
外套やみな背に出でて為人ひととなり 鷹羽狩行 200201
パパと手をつなぎ赤いオーバーの子 江倉京子 あを 200202
外套に美濃の陶土を付けてきし 青山丈 200202
外套に幼抱き込む夜の道 林敬子 酸漿 200203
毛馬村に入る外套の襟立てて 蟇目良雨 春耕 200203
流星群観し満足にオーバー脱ぐ 嶋田摩耶子 ホトトギス 200204
外套を叩いて探す燐寸箱 阪野徹 200204
退院の春の外套うすみどり 田口俊子 200204
外套に顎埋め己れ信ずべく 木内憲子 200204
オーバーの襟立て孤独異国の夜 辰巳比呂史 200211
外套をかぼそき手にぞ預けける 林翔 200302
宿したる身を外套に包みくる 岡田万壽美 雲の峰 200302
オーバーコート女の髪の生き生きと 永田あき 酸漿 200302
外套やみちのくびとのみな屈背くぐせ 伊藤トキノ 200303
オーバーを拉致され友の家で酌む 宮入河童 200404
職退きし夫の外套重たかり 福井隆子 つぎつぎと 200405
外套を着しは昔の一の酉 橘澄男 山景 200408
外套ぬぐ心読まれているみたい 小林朱夏 200502
外套のままのブラックコーヒーかな 宮津昭彦 200503
外套の闇つややかにイエスの日 仲村青彦 200503
外套を膝に呼ばるるまでを待つ 竹山みや子 築港 200504
外套干す昨夜雨なりし人に逢ひし 岡本眸 200505
外套を負ひて炎夏の街をかへる 瀧春一 菜園 200509
外套を脱ぐ夫倒れぬのが不思議 大森慶子 母衣 200602
わが昔着し外套や子に似合ふ 島谷征良 風土 200603
外套を脱ぎて沁々わが家かな 中田みなみ 200603
オーバーのポケットのどこか電話鳴る 木船史舟 200604
春外套着ても曲線をとめの美 林翔 200605
外套を暖めて着てひとりかな 千葉栄子 200605
岩波ホール出で外套にこもりたる 古屋元 200605
外套の身に船の揺れこまかにあり 八田木枯 晩紅 200606
黒い外套紅いボタンに変へた幸 瀧春一 瓦礫 200606
オーバーを脱ぎし隣の男の香 園多佳女 雨月 200705
オーバーの襟立てて行く句作道 四條進 200801
外套の背中は閉ざしたる扉 古屋元 200802
外套の吾が影入れてアロエ撮る 松崎鉄之介 200802
外套の中弱虫の生きてゐる 藤井彰二 馬醉木 200803
外套を抱へのつぽの訪問者 高田令子 200804
外套をずん胴に着て才うすし 伊藤白潮 200901
入社試験へ吾が子アメリカの古外套 瀧春一 深林 200901
オーバーを買ひて寒き日来るを待つ 坂本知子 酸漿 200902
外套の襟立て微吟多喜二の忌 田中芳夫 200905
喝采を浴びオーバーの帰り来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201001
外套のぶんだけ君が遠くなり 横内かよこ ぐろっけ 201003
外套を脱ぎ歌麿の世に浸る 小山徳夫 遠嶺 201004
外套をまとひ己を消しにけり 鷹羽狩行 201012
外套の衿に潜みて衣装黒子 品川鈴子 ぐろっけ 201012
外套に期限切れなる整理券 吉田希望 201201
星空を来し外套を受けとりぬ 蘭定かず子 火星 201203
オーバーの襟立てひとり四高の門 大坪景章 万象 201203
外套のへべれけの形吊るされて 中島芳郎 201204
オーバーの反り身に仰ぐ塔五重 安田とし子 ぐろっけ 201303
詫び言を聴く外套を脱ぎながら 山田暢子 風土 201303
外套の下の喪服が深呼吸 梶浦玲良子 六花 201305
オーバーコート遠つ祖の土握りたる 小林成子 火星 201403
外套の父の齢をおもふか 辻美奈子な 201403
悲しさは心の奥に外套着る 原田小芝 春燈 201404
脱ぎかけの外套重し茜雲 大野芳久 やぶれ傘 201404
外套の内に鳩飼ひゐるごとし 平居澪子 六花 201405
外套や背けてならぬ負の歴史 安居正浩 201502
外套の衿立三て夫の銀座行 和田政子 201502
抱き寄するごと腕とほし古外套 原友子 201503
オーバーをたくし上げつつ登城せり 野中亮介 馬醉木 201501
六波羅の夜を来しオーバーコートかな 山尾玉藻 火星 201501
オーバーを脱いで外に出てしまひけり 稲畑汀子 ホトトギス 201601
外套の下は寝巻と知れぬやう 小山陽子 やぶれ傘 201601
羽振りよき昔や古き毛外套 懸林喜代次 春燈 201604
外套の幸を占ふコイン投げ 田中佐知子 風土 201604
オーバーを預け夜会に紛れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
オーバーを脱ぐよりキリエエレイソン 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
曽祖父の着し外套は曽孫へと 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
オーバーを預け夜会に紛れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
外套といへばうしろ手の賢治かな 白水良子 201704
遺されし父の外套擦り切れて 高橋照子 雨月 201704
外套脱ぐ胸の積鬱もろともに 山口ひろよ 201705
外套の予備のボタンをただ触り 小山陽子 やぶれ傘 201711
「外套の重きは捨てよ」子に言はる 山田暢子 風土 201802
外套のままかまくらの客となる 森屋慶基 風土 201805
修司なき世に外套の襟立てて 森岡正作 201903
孔雀来る外套ぽんと脱いであり 中島陽華 201904
外套のまま奉祝の列に佇つ 堅山道助 風土 202011
外套のちから釦も昭和かな 辻美奈子 202201

 

2022年12月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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