大文字    196句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大文字筆勢繋ぎゆく速さ 山田弘子 「春節」 199503
贈られし大文字焼の炭かをる 能村登四郎 199809
ことごとくうしろ姿や大文字 亀丸公俊 銀化 199910
火勢いま闇を濃くして大文字 小松志づ子 199911
大文字見ると約して果さずに 宮津昭彦 199911
大文字の点火に星も黙しけり 粟津松彩子 ホトトギス 199912
千二百年猫の手借りた大文字 尾上有紀子 わがまま 200002
大文字の涼しく燃えて了へにけり 深澤鱶 ヒッポ千番地 200004
消えてなほ心くすぶる大文字 富村波聴 六花 200007
大文字内蔵助殿如何見し 高木伸宜 ヒッポ千番地 200009
湯上りの人が隣に大文字 鬼頭桐葉 春蘭 200010
大文字の消えゆくところ見ざりけり 大橋敦子 雨月 200010
一度だけ見し大文字眼に描き 能村登四郎 200011
大文字仰ぎてその夜京泊り 木村杏子 雨月 200011
大文字や四角く暗き御所あたり 大山文子 火星 200011
大文字古都をふまへて立てりけり 粟津松彩子 ホトトギス 200012
左大文字の筆勢左利き 粟津松彩子 ホトトギス 200012
大文字風に筆勢生まれけり 三村純也 ホトトギス 200101
墓地の真ん中大文字のよく見ゆる 久保田雪枝 雨月 200110
大文字の大の要の崩る見ゆ 今井妙子 雨月 200111
鴨川の風のささなみ大文字 今井妙子 雨月 200111
大文字衆のたしかに動きをり 桑田眞佐子 火星 200111
大文字消え果て人の影動く 今井妙子 雨月 200111
顔あはすなごみの刻や大文字 渡辺純 京鹿子 200112
病む窓に字画全き大文字 渡辺純 京鹿子 200112
弘法の一筆ならん大文字 粟津松彩子 ホトトギス 200112
消えがてはにじみがちなる大文字 荻江寿友 ホトトギス 200201
大文字くつきり八十八夜かな 大山文子 火星 200209
大文字待つ裏山の樹々黒し 徳永真弓 百鳥 200211
大文字焼の山とや稲架襖 雲所誠子 帆船 200212
うつたての炎烈しき大文字 島玲子 風土 200301
大文字の火床しらじら着ぶくれて 浜口高子 火星 200302
大文字の火に衆生界鎮もれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
大文字人といふ字に消えゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
大文字鎌倉五山には虚子が 稲畑廣太郎 ホトトギス 200308
満天に星一つなし大文字 塩川雄三 築港 200310
かにかくと騒ぐ形や大文字 黒川悦子 円虹 200310
見霽かす京の夜空や大文字 黒川悦子 円虹 200310
大文字消えて街の火復活す 塩川雄三 築港 200310
半分はビルに隠るる大文字 黒川悦子 円虹 200310
鴨川の流れゆるやか大文字 塩川雄三 築港 200310
混雑もビルの屋上大文字 黒川悦子 円虹 200310
大文字舞子の待つは人力車 黒田咲子 200311
色変へぬ赤松ケ枝に大文字 山田六甲 六花 200311
根かぎり生きし証しの大文字 平野官爾 風土 200311
一天に大手拡げて大文字 粟津松彩子 ホトトギス 200312
大文字消えたるあとの煙草盆 吉田島江 火星 200312
大文字より力あり左大 粟津松彩子 ホトトギス 200312
亡き人とともに泣きたり大文字 徳田干鶴子 馬醉木 200401
十二月草大文字の東山 岩崎憲二 京鹿子 200403
正面に霞し山や大文字 北嶋美都里 200407
大文字果てたる闇の底知れず 塩川雄三 築港 200410
溺愛のペンの大文字夜の秋 湯橋喜美 200410
大文字拝む大の字凝視して 塩川雄三 築港 200410
闇に泛く大文字の火父恋ほし 水谷芳子 雨月 200411
大文字逆縁の火となりて燃ゆ 粟津松彩子 ホトトギス 200412
大文字消えたる山の闇の濃し 荻江寿友 ホトトギス 200501
大文字沈黙の時流れをり 高橋将夫 200510
消えかけてまた燃え上がる大文字 塩川雄三 築港 200510
うすれゆく火の美しき大文字 池田加代子 風土 200511
大文字消え果てわれを取り戻す 安達風越 雨月 200601
大文字を仰ぎ吉田に厄落す 三輪温子 雨月 200605
円相の山は西向く大文字 鈴鹿仁 京鹿子 200609
大文字一字の着火遅れをり 田中藤穂 あを 200610
大文字わが風景の真ん中に 豊田都峰 京鹿子 200610
吊灯籠広縁に待つ大文字 坂井和子 酸漿 200610
大文字の伸びて全し感嘆詞 泉田秋硯 200611
大文字闇に覚えの声とあふ 山岡季郷 馬醉木 200611
火の描ける闇の大文字南無阿弥陀 泉田秋硯 200611
大文字うしろの声を聞いてゐる 丸山照子 火星 200611
筆太に燃えて歪みし大文字 秋場貞枝 春燈 200612
大文字意味に溢れし古都の闇 稲岡長 ホトトギス 200612
大文字や洛中洛外ほとけの徒 秋場貞枝 春燈 200612
記号とは斯く意味に満ち大文字 稲岡長 ホトトギス 200612
大文字消ゆ遠景は羅紗の闇 丸井巴水 京鹿子 200612
京の夜をここに集めて大文字 稲畑汀子 ホトトギス 200708
大文字生活の端に置く雅 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
大文字京を離れし人のこと 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
火立ちゐる二十五の火や大文字 大橋敦子 雨月 200710
熾(さか)る炎より残る火美しき大文字 秋葉雅治 200710
百八つの火の書き上げし大文字 中村悦子 200710
大文字の消え残る火の星のごと 大橋敦子 雨月 200710
大文字の大の要の火の力 大橋敦子 雨月 200710
大文字の跡をのこせし晩夏の山 早崎泰江 あを 200710
大文字燃え盛る画惨みけり 宮津昭彦 200710
大文字消えゆきみ魂遥けくす 手島伸子 雨月 200711
大文字火の移りたるまなこかな 浅田光代 風土 200711
新盆の母を送れり大文字 木上よし 200711
居間の灯を消してテレビの大文字 塩田博久 風土 200711
繊月の金色かかげ大文字 手島伸子 雨月 200711
大文字残して消ゆるわが思ひ 谷岡尚美 200712
頬杖の視線に燃ゆる大文字 寺本妙子 200802
大文字の火の妙法へとびうつる 竹下陶子 ホトトギス 200803
大文字の五山をつつむ星座かな 竹下陶子 ホトトギス 200806
大文字一の消ゆるは人となり 石寒太 炎環 200810
筆順に従ふ点火大文字 高木典子 雨月 200811
大文字闇に滲むや雨あがり 七種年男 200811
山の端の円かに消ゆる大文字 川口襄 遠嶺 200812
大文字の渇筆つなぐ炎かな 長谷英夫 馬醉木 200812
真向ひは大文字山みなし栗 村上留美子 火星 200812
斜に見て大文字山笑ひをり 松井倫子 火星 200906
大文字戦死の兄へ護摩木焚く 鈴木良戈 200911
ここからは少し遠しや大文字 北岸邸子 春燈 200911
あのビルがなければいいな大文字 伊藤憲子 200911
大文字の弾けし火勢合掌す 鈴木良戈 200911
大文字爪先だちて拝みけり 鈴木良戈 200911
大文字夫と見し夜もかへらざり 堀百合子 200911
東山闇ぬばたまに大文字 稲岡長 ホトトギス 200912
山ひとつ半紙に見立て大文字 雨宮しをん 200912
消えはててのちまなうらに大文字 木村茂登子 あを 201010
点々の炎繋がり大文字 石川かおり 201010
大文字火の終わりには音もなし 鈴木てるみ ぐろっけ 201010
大文字終の鳥居の燃え始む 藤見佳楠子 201010
大文字果てて残りし七日月 橋添やよひ 風土 201011
大文字の大の張り付く真闇かな 徳井節子 馬醉木 201011
ドラマなら密会のシーン大文字 井上美智子 201011
残像のなほ眼裏に大文字 宮田香 201011
密教の遺せしものに大文字 橋添やよひ 風土 201011
十三代目継がざりし悔大文字 水谷芳子 雨月 201011
燃えつくす後の虚しさ大文字 宇治重郎 201011
大文字の護摩木は楷書一行に 橋添やよひ 風土 201011
大文字炎の筆のさばきかな 西垣順子 201011
大文字消えて此の世の動きだす 川崎かずえ ろんど 201012
「爺ちゃんは、お空ね。」と指す大文字 和田照子 201109
千の瞳の祈りの中の大文字 木村ふく 馬醉木 201110
北山の白煙けぶる大文字 和田郁子 201110
大文字の三画点り手を合はす 前川ユキ子 201110
運筆の炎走りて大文字 村上悦子 雨月 201111
ブラックペッパー舌にひりひり大文字 村上倫子 201111
風向の変はりたるらし大文字 山本浪子 風土 201111
節電の屋内逃れ大文字 谷口俊郎 201111
大文字果つや高まる水の音 山本浪子 風土 201111
大文字一劃づつの炎上す 久保東海司 201112
大文字山近々と梅雨あがる 岩下芳子 201209
大文字山を遠くにお風入れ 西畑敦子 火星 201210
大文字のさまに寝ねたり生身魂 栗栖恵通子 201211
大文字五躰崩して乗り出せり 前田美恵子 201211
大文字消えてあの世の闇になる 安居正浩 201211
大文字の消えゆく火々に寄す情 久保田雪枝 雨月 201212
京に生れ京に死すひと大文字 谷岡尚美 201311
大文字も小文字も混じる秋メニュー 中山静枝 201311
大文字魂すでに天にあり 川山根征子 201311
京の闇しみじみとあり大文字 岩村惠子 ホトトギス 201401
大文字果てし余情の山の影 安原葉 ホトトギス 201401
大文字終へたる闇のゆるびけり 岩村惠子 ホトトギス 201401
で、どうするの横顔に聞く大文字 南北佳昭 船団 201403
大の字の消ゆる筆順大文字 稲畑汀子 ホトトギス 201408
鴨川の濁り猛るも大文字 内藤静 風土 201411
人波にもまれ父負ふ大文字 宇野慂子 万象 201411
赤赤と燃ゆる哀しび大文字 竹中一花 201411
大文字吾に魂ふたつかな 宮崎左智子 201411
大文字ゆるる炎に祈り込め 飯田美千子 201411
バルテュスの少女さておき大文字 火箱ひろ 船団 201502
大文字欠けゆくまでの静寂かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
大文字要の一火消ゆるまで 塩貝朱千 京鹿子 201510
大文字を待つ薄墨の東山 樺山翠 雨月 201511
しびしびと遣らずの雨の大文字 橋添やよひ 風土 201512
火床にと点火送り火大文字 黒澤佳子 あを 201610
大文字や幽玄の世に誘はれて 奈辺慶子 雨月 201610
火が風を風が火を呼び大文字 室伏みどり 雨月 201611
大文字何かがひとつ終りけり 岸洋子 201611
西方へ雲は流るる大文字 有松洋子 201611
青丹よし高円山の大文字 竪山道助 風土 201611
赤々とこの世の闇に大文字 中村洋子 風土 201611
大文字の第一画に火の手揚ぐ 田村すゝむ 風土 201611
大文字見むとや京へ走り旅 田中珠生 馬酔木 201611
山肌を火の粉のめぐる大文字 村上典子 201612
大文字火は風を呼び雨を呼び 山西商平 ホトトギス 201612
父の歳越して傘寿や大文字 神田惣介 京鹿子 201612
ゴシックの形に左大文字 つじあきこ 201612
いとし子と手取りおろがむ大文字 芦田しずく 京鹿子 201701
ところどころ渇筆雨の大文字 後藤比奈夫 ホトトギス 201704
快晴の果てなる雪の大文字 橋添やよひ 風土 201705
万緑の中に鎮まる大文字 延川五十昭 六花 201708
大文字果つるマニキュア乾ききる 辻水音 201712
大文字山の頂に立ち秋惜しむ 懸林喜代次 春燈 201802
鳶の輪に眠りし山の大文字 松本鷹根 京鹿子 201803
橋の上から送信済みの大文字 つじあきこ 船団 201805
咽喉越しのぶぶ漬急げ大文字 竹中一花 201811
大文字賀茂の河原に寝そべって 明星舞美 船団 201812
大文字の点火に動く人の影 野上あつ子 雨月 201901
縁小春特大文字のひこの文 辻田玲子 雨月 201902
こほろぎの経松虫の鈴大文字 山田六甲 六花 201909
大文字火床への道沢ほたる 岡本尚子 風土 201909
共に見し人思ひ出す大文字 阪上多恵子 雨月 201911
めらめらと仏ありけり大文字 永田万年青 六花 201911
右払ひ長く伸びゐる大文字 永田万年青 六花 201911
大文字闇に妖しく炎立つ 永田万年青 六花 201911
大文字我に子のあり孫は無し 赤松赤彦 六花 201911
大文字寄墓は背を寄せ合うて 升田ヤス子 六花 201911
大文字山の深さを思ひけり 赤松赤彦 六花 201911
里の灯の仄かにありぬ大文字 升田ヤス子 六花 201912
上弦の月や大文字消えかかる 松本善一 やぶれ傘 202002
大の字のやさしき左大文字 乳原孝 船団 202003
火の消えし闇去りがたき大文字 橋添やよひ 風土 202012
御明かしの色かはりゆく大文字 太田慶子 春燈 202111

 

2022年8月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。