チューリップ
チューリップ二本うさぎのお香典 黒田さつき 船団 199811
脇腹を伸ばす体操チューリップ 夏秋秋子 ヒッポ千番地 199905
複雑な事を易しくチューリップ 能城檀 船団 199909
チューリップ一片はづしそれに乗る 津田このみ 船団 199909
チューリップ色といふより光かな 稲岡長 ホトトギス 199910
チューリップ首をすくめて翔ぶつもり 小枝恵美子 ポケット 199911
お絵描きの初めは吾子のチューリップ 稲畑廣太郎 『廣太郎句集』 199912
咲く色を明かさぬ芽立チューリップ 稲畑汀子 ホトトギス 200003
チューリップ咲いてしまひし旅帰り 稲畑汀子 ホトトギス 200004
一片の戻らぬ夕べチューリップ 稲畑汀子 ホトトギス 200004
旅心しづめ家居のチューリップ 稲畑汀子 ホトトギス 200004
咲き崩れたるは日向のチューリップ 稲畑汀子 ホトトギス 200004
チューリップの一塊に突き当りたる 山尾玉藻 火星 200004
チューリップその生意気な顔が好き 松木知子 ヒッポ千番地 200004
足の向くまちかど図書館チューリップ 川井政子 風土 200005
チューリップ一花の重さ剪りにけり 今瀬剛一 200005
弾丸は蜂心臓はチューリップ 塩見恵介 虹の種 200005
金箔の一片重れてチューリップ 福場朋子 200006
チューリップ唇をひらけば詩生るる 小澤克己 遠嶺 200007
チューリップ見てより宇宙遊泳かな 小澤克己 遠嶺 200007
ことば飛ぶ空へ空へとチューリップ 小澤克己 遠嶺 200007
チューリップ不思議の国の出入り口 小澤克己 遠嶺 200007
誰もゐぬ古き館のチューリップ 小澤克己 遠嶺 200007
チューリップただいま恐竜通過中 小澤克己 遠嶺 200007
チューリップ親指姫を覗き見る 神山喜美代 遠嶺 200007
今日夫の掃除当番チューリップ 高村梢子 火星 200007
チューリップ合唱団の風揃ふ 山田弘子 円虹 200007
情人(いろ)には向かぬ歯並らびチューリップ 日不敬 船団 200009
開き切りチューリップとは思はれず 二瓶洋子 六花 200009
ものの芽の一つに並ぶチューリップ 小西昭夫 船団 200010
太陽の今日を掴んでチューリップ 嶋田一歩 ホトトギス 200011
首長のセーター着たるチューリップ 佐渡美佐子 船団 200105
チューリップこぼさぬ様に陽を包み 宮倉浅子 遠嶺 200105
鬱の日の眩しきまでにチューリップ 後藤志づ あを 200105
ゆらゆらと童女近づくチューリップ 中村裕子 200106
チューリップの葉の中に青蛙かな 小儀洋子 百鳥 200106
チューリップ結婚の日の決まりけり 郷田健郎 百鳥 200106
チューリップ口開け午後のわれ懈し 久保晴子 雨月 200107
チューリップ児の帰り待ち咲きにけり 林田加杜子 いろり 200107
チューリップたつぷり活け更年期 伊藤重美 俳句通信 200107
春の雪に腰まで埋めてチューリップ 池水雅子 200107
チューリップむく犬ふかふかに洗ふ 高橋とも子 200107
チューリップ赤の一列挙手の礼 大谷裕子 ホトトギス 200108
チューリップ白の一列タクト振る 大谷裕子 ホトトギス 200108
チューリップ黄の一列の行進す 大谷裕子 ホトトギス 200108
予定せぬ色混ざり咲くチューリップ 小川龍雄 ホトトギス 200108
チューリップ文字を描きし色は赤 小川龍雄 ホトトギス 200108
おませな娘口を閉ぢればチューリップ 石田風子 ホトトギス 200108
花嫁といつしかなる娘チューリップ 石田風子 ホトトギス 200108
意志のなく風に揺れゐるチューリップ 福山奏月 ホトトギス 200108
花時計十分毎にチューリップ 林克己 ホトトギス 200108
国境は村のはづれやチューリップ 児島倫子 ホトトギス 200108
地平まで続く起伏のチューリップ 児島倫子 ホトトギス 200108
ライン川見下してゐるチューリップ 児島倫子 ホトトギス 200108
エチュードを繰り返す窓チューリップ 天野さと子 ホトトギス 200108
よろこびを包みて夜のチューリップ 清水忠彦 ホトトギス 200108
雨の日は笑みももらさずチューリップ 清水忠彦 ホトトギス 200108
どの色も不機嫌雨のチューリップ 清水忠彦 ホトトギス 200108
朝の日を溢れこぼしてチューリップ 塙告冬 ホトトギス 200108
校門にチューリップの列子らを待つ 塙告冬 ホトトギス 200108
校庭に人なき午後のチューリップ 塙告冬 ホトトギス 200108
チューリップ一二に遊び五に勉強 依田明倫 ホトトギス 200108
ビートルズ歌ひさうこのチューリップ 依田明倫 ホトトギス 200108
球根が村を再生チューリップ 小西龍馬 ホトトギス 200108
チューリップ咲かせ北辺寄りし裔 小西龍馬 ホトトギス 200108
オホーツクを借景に村チューリップ 小西龍馬 ホトトギス 200108
チューリップ赤き貴婦人なよなよと 高橋玲女 ホトトギス 200108
チューリップ女の孤独かこち佇つ 高橋玲女 ホトトギス 200108
今日の日をまあるく閉ぢてチューリップ 菊池共子 円虹 200108
チューリップ大きく息を吐きにけり 小西昭夫 船団 200109
チューリップに内緒の話したくって 柳浩子 船団 200110
ひと筆描き成らぬ新種のチューリップ 岡野峯代 ぐろっけ 200110
チューリップ背中合わせでする会話 甲田夏湖 船団 200111
チューリップ五本並んでいるリズム 富沢秀雄 船団 200111
チューリップつぼむや蕊はその中に 辻桃子 俳句つれづれ 200112
どうすンのンアリバイの無いチューリップ 津田このみ 船団 200201
チューリップ植ゑゐる夫の誕生日 府川房江 遠嶺 200202
チューリップ遺愛の庭でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200204
チューリップ丈の低きが強さうに 朝妻力 雲の峰 200204
鉛筆で書く音静かチューリップ 星野立子 ぐろっけ 200204
チューリップ見て朝霞なほ深し 水原秋桜子 ぐろっけ 200204
チューリップ喜びだけを持っている 細見綾子 ぐろっけ 200204
チューリップ赤きを挿して乙女妻 石塚友二 ぐろっけ 200204
チューリップの色溶け入りてねむき眼よ 草間時彦 ぐろっけ 200204
チューリップの花には株儒が棲むと思ふ 松本たかし ぐろっけ 200204
しろじろとチューリップの星消灯後 城尾れい子 200205
下手もある失敗もあるチューリップ 松村美智子 あを 200205
チューリップ咲かせ積木の家なりし 松野幸子 六花合同句集 200205
チューリップ畑カリヨンの鳴り渡る 松尾規子 200206
チューリップ頭の重き兄の鉢 吉田政江 200206
花びらに弛みなかりしチューリップ 吉田明 200206
入園の二人子に咲くチューリップ 阿部文子 酸漿 200206
遊んでゐるやうな昼月チューリップ 野路斉子 六花 200206
先生は縄跳びが下手チューリップ 藏本博美 ぐろっけ 200206
昼からはカルメンとなるチューリップ 次井義泰 200207
幼ナは目閉づるが笑みやチューリップ 竹内喜代子 雨月 200207
チューリップの一重八重あり海の風 松下八重美 200207
チューリップほんにあの子は一本気 北畠明子 ぐろっけ 200207
はじめてのクレヨン赤いチューリップ 師岡洋子 ぐろっけ 200207
補助輪のゴロゴロ迫るチューリップ 堀井乃武子 ぐろっけ 200207
チューリップ黄色は歌ひ赤笑ひ 加藤あけみ 円虹 200208
チューリップ畑迷路にてわれアリスなり 近藤きくえ 200209
土曜日も学校休みチューリップ 青山丈 200209
三角は思案のかたちチューリップ 川上昌子 200209
チューリップ一片欠くは淫らとも 川上昌子 200209
秘密聞きのがさぬ構ヘチューリップ 小澤克己 遠嶺 200210
地平線まで続きをりチューリップ 阿部悦子 酸漿 200211
チューリップ咲かせ積木の家なりし 松野幸子 六花句集 200302
チューリップろくろ首して帰港待つ 品川鈴子 ぐろっけ 200303
チューリップもつとも雨に乱れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200304
口つぐみをりぬ花屋のチューリップ 大橋敦子 雨月 200304
チューリップ二十本挿す壺の口 今井妙子 雨月 200304
チューリップ口おもおもと開きけり 宮津昭彦 200305
チューリップ三十すべて芽の出づる 杉本美智江 雨月 200305
チューリップ園に流るるオルゴール 中里カヨ 酸漿 200306
卒園子より三十本余チューリップ 出口賀律子 雨月 200306
気位の白チューリップ総崩れ 坂井法 200307
国語好き引算苦手チューリップ 中村恵美 円虹 200307
子を想ふ親の気持やチューリップ 松田克行 帆船 200307
チューリップ美女に挟まれ履く木靴 中里カヨ 酸漿 200307
家族なんて言葉は嫌ひチューリップ 宇野友梨 200307
インフォラーターチューリップの花街飾る 田中敏文 ぐろっけ 200307
単色の一茎一花チューリップ 庄中健吉 200308
チューリップなかに秘めらる物語 木根渕成子 遠嶺 200308
家よりも大きく画いてチューリップ 近藤真夫 遠嶺 200308
チューリップ赤白黄でなき色も 藤森万里子 百鳥 200308
朝まだき貝になってるチューリップ 物江晴子 八千草 200310
青空の戻つてをりぬチューリップ 稲畑汀子 ホトトギス 200404
目は圓く鼻は三角チューリップ 佐藤喜孝 あを 200404
方舟に積まれし白きチューリップ 谷口佳世子 200405
あけつぴろげに蕊見せしチューリップ 戸栗末廣 火星 200406
画用紙をはみ出してゐるチューリップ 岩下芳子 200406
チューリップ庭は絵本の一ページ 山荘慶子 あを 200406
想像を越える答へやチューリップ 小野さとし 対岸 200406
ささやいてをり稠密のチューリップ 小澤克己 遠嶺 200406
出迎へはあまたの赤のチューリップ 石脇みはる 200407
写メールに嬰の笑顔とチューリップ 隅田享子 200407
表札がローマ字の家チューリップ 塩路五郎 200407
通されし部屋より百のチューリップ 亀ヶ谷照子 遠嶺 200407
一心不乱開きすぎたるチューリップ 木村みかん 200407
チューリップ畑のそばで木靴売れり 宮城菊子 200408
赤ちゃんの口の如くにチューリップ 芳賀桃主 ぐろっけ 200409
夫葬う朝や真白きチューリップ 西島みね子 八千草 200412
チューリップ買いそになったと男の子 斉藤裕子 あを 200503
チューリップいぢけ芽出づる誕生日 品川鈴子 ぐろっけ 200503
チューリップ赤い靴はく男の子 三井公子 酸漿 200504
恵那山に二筋の雪チューリップ 五十嵐暢子 対岸 200505
チューリップ屋根に咲かせて舟に住む 鈴木千恵子 万象 200505
チューリップ言葉遊びを楽しめり 石山惠子 遠嶺 200506
チューリップほぐれて人を迎へけり 片山茂子 遠嶺 200506
清明の窓に切絵のチューリップ 篠田たもつ 対岸 200506
チューリップ満開百の筆かわく 増淵三良 百鳥 200506
チューリップ蘂挙ぐ天の園丁へ 品川鈴子 ぐろっけ 200506
チューリップ孫せがみ乗る車椅子 四葉允子 ぐろっけ 200506
手力や祈るかたちにチューリップ 中村恭子 200507
腕まくりしてチューリップの写真撮る 倉持梨恵 200507
チューリップ芯から笑い声のする 山本歌子 ぐろっけ 200507
朱に混じり紅くなりけりチューリップ 今瀬剛一 対岸 200507
親指姫のかくれてゐさうチューリップ 島村ひろ子 対岸 200507
うたひだす玩具のマーチチューリップ 東野鈴子 雨月 200507
チューリップ覗く本音を聞くごとく 藤井智恵子 百鳥 200507
チューリップ電話の好きな一年生 瀬崎憲子 百鳥 200507
今日は赤昨日は黄色チューリップ 中野哲子 六花 200507
立ち初めし嬰に喝采チューリップ 筏愛子 200508
弟に姉が馬乗りチューリップ 八木蝉息 200508
秘め事をふと漏らしけりチューリップ 霧野萬地郎 200508
くくられて客待ち顔のチューリップ 真木早苗 八千草 200509
メルヘンの一国なしてチューリップ 粟津松彩子 ホトトギス 200510
チューリップ茎やはらぎてゆれてあり 粟津松彩子 ホトトギス 200510
百万本のチューリップフェア砺波晴れ 芦川まり 八千草 200511
チューリップ捨身となりし開きやう 中田みなみ 200603
チューリップ見頃はいづれ雨の午後 稲畑汀子 ホトトギス 200604

2005/04/04作製

2005/04/04 追加

俳の歳時記