木瓜の花 (草木瓜)      158句

出女の出がはり時や木瓜の花   露川

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木瓜朱し生きてゐるわとひとりごち 竹市悠紗 京鹿子 199809
無頼もて木瓜の帰つてきたりけり 峯尾文世 銀化 199901
濤音のしきりと木瓜に朱をそそぐ 神蔵器 199905
白木瓜や奥行きくらき京町家 藤岡紫水 京鹿子 200001
木瓜咲いて御機嫌ななめの雨が降る わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
計画のはかどる一日木瓜の花 稲畑汀子 ホトトギス 200004
さりげなく更紗木瓜咲く垣のあり 阿部ひろし 酸漿 200004
木瓜咲けり目白ばかりが食べに来る 城戸愛子 酸漿 200005
気付かずに小さき道の野木瓜かな 豊田作二 遠嶺 200005
籬より人のささやき木瓜の花 穴澤光江 遠嶺 200005
石垣の途切れしところ木瓜の花 松崎鉄之介 200005
曇日の火の気恋しや木瓜の花 久保田美代子 酸漿 200006
いよよ棘鋭しいよよ真赤木瓜 長谷川杜人 200007
木瓜の緋に陽の濃くなりし誕生日 宮下本平 200007
木瓜の花ゆつたり坐る茶の師匠 芝宮須磨子 あを 200105
木瓜一輪師の挿す壺におさまれり 小滝奈津江 酸漿 200105
棘のある木瓜に緋色の花ざかり 嵯峨根鈴子 火星 200107
丸法華めける谷中や木瓜の花 松崎鉄之介 200204
ちらちらと垣根がわりの更紗木瓜 馬場喜代 酸漿 200205
木瓜咲くやこの家も媼独り住む 馬場喜代 酸漿 200205
木瓜の花戦火に追はれし日の記憶 鎌倉喜久恵 あを 200206
木瓜咲くや子の絵手紙を読み返す 石山民谷 遠嶺 200208
聴かぬふり上手な妻や木瓜の花 小西明彦 200302
草木瓜や老眼鏡を見失ふ 芝尚子 あを 200304
古里といふ駅に降りたつ木瓜の花 須賀敏子 あを 200305
寿命にも付録まだある木瓜の花 谷村比呂未 銀化 200305
刺秘むる木瓜一輪のしたたかさ 小澤菜美 200306
更紗木瓜ほつほつ心療内科かな 瀬戸悠 風土 200306
諳じるほどの繰り言木瓜赤し 苑実耶 200308
裏口は開けしままなり木瓜の花 高倉恵美子 200308
更紗木瓜歯切れの悪き色加減 香釈好以 八千草 200310
草木瓜を次々咲かせ来る句座 稲畑廣太郎 ホトトギス 200404
度忘れも度重なれり木瓜の花 谷寿枝 酸漿 200404
毎年の木瓜や今年の昨日今日 宮津昭彦 200405
更沙木瓜拙継ぎくれる子もなかり 伊丹さち子 馬醉木 200405
まろやかな日差しを受けて更紗木瓜 岡村容子 築港 200406
緋の木瓜や赤子火のつく如く泣き 安達実生子 馬醉木 200406
住む人の替りてゐたり更紗木瓜 小松鈴子 酸漿 200406
頑な枝ぶり木瓜は朱を零し 山田暢子 風土 200407
草木瓜や浜までつづく道普請 吉田明子 200407
木瓜紅し海見るための石の椅子 西村梛子 馬醉木 200505
へその緒をつけし仔牛や木瓜の花 若月栄枝 万象 200505
待つ人の来ない来る来い木瓜の花 山口和生 帆船 200506
更紗木瓜卒業の子らを見送れり 広瀬敏子 酸漿 200506
木瓜咲くや術後四年の六十路坂 坪田秀邑 河鹿 200507
木瓜の花男勝りの尼僧かな 尾堂Y 河鹿 200508
草木瓜の緋色際立つ野川べり 壇原さち子 酸漿 200508
尺鮒の魚拓かかげて木瓜の鉢 瀧春一 菜園 200509
海潮音木瓜の紅白冴え分る 瀧春一 菜園 200509
木瓜暮れてひととき海は聲をのむ 瀧春一 菜園 200509
草木瓜と松の實生と朝日影 瀧春一 菜園 200509
ふと八十二歳が怖く木瓜の花 嶋田一歩 ホトトギス 200510
喪帰りの供華の紅濃き木瓜活ける 四宮一子 200605
木瓜蕾むただ遠来の白さもて 井上信子 200606
すこやかな犬と子供ら木瓜の花 竹内弘子 あを 200606
棘いくつ剪る手拒める木瓜の花 和田一 雨月 200607
木瓜の花頼まれごとはメモにして 松本文一郎 六花 200607
風止んで緋木瓜の色の褪せにけり 廣畑育子 200705
睦み合ひ莟はぐくむ更紗木瓜 大塚民枝 酸漿 200705
絵手紙の木瓜ひとつづつ咲き初めし 丸山照子 火星 200705
拙守らむ木瓜の朱点ず又点ず 伊丹さち子 馬醉木 200706
木瓜咲いて急勾配の坂をゆく 池田光子 200706
木瓜の花たましひのなき小犬の瞳 鴨下昭 200706
見るたびに誉むる人あり更紗木瓜 小牧喜美子 遠嶺 200706
何事も丸くおさめて木瓜の花 齋部干里 ぐろっけ 200706
尻高に猫のくぐりし木瓜の花 戸栗末廣 火星 200706
木瓜咲くや山火の跡の峠路に 瀧春一 200706
屈託のなき風うけて木瓜は朱に 藤岡紫水 京鹿子 200707
すんなりと駐車出来しと木瓜の花 稲畑汀子 ホトトギス 200804
楊貴妃は五頭身なり更紗木瓜 柳川晋 200805
あとさきに風の来てゐる木瓜の花 犬塚芳子 200805
通学路一軒置きに木瓜咲かす 松崎鉄之介 200805
木瓜は朱に認知症めく老ふたり 田中芳夫 200806
切株や草木瓜の朱のあやなせり 森理和 あをかき 200806
濠の雨更紗緋木瓜咲きてをり 庄司久美子 200807
ひつそりと木瓜の花咲き五日なり 石川元子 酸漿 200903
庫裡までの砂利音高し木瓜の花 伊勢きみこ 火星 200905
木瓜咲くや一白は吾が生まれ星 水野恒彦 200906
落語家の艶めく仕草更紗木瓜 長谷川いづみ 炎環 200906
草木瓜の花に夕暮ありにけり 天野美登里 やぶれ傘 200906
自由とはかく伸びること野の緋木瓜 岩本紀子 200907
岸の辺の段違い垣木瓜の花 渡邉孝彦 やぶれ傘 200907
木瓜の花切り詰めありし枝先に 松尾緑富 ホトトギス 200909
豆腐屋の遠ざかり行く木瓜の花 松尾緑富 ホトトギス 200909
何となく外出億劫木瓜の花 松尾緑富 ホトトギス 200909
顔知らぬ祖父の植ゑたる更紗木瓜 宮崎高根 201005
寒暖の差のはげしさや木瓜の花 小野口正江 末黒野 201006
七重の塔の跡なし木瓜の花 大坪景章 万象 201006
面を打つ木屑のとべり木瓜の花 山田春生 万象 201006
草木瓜の花をちこちや山の雨 高木千鶴子 酸漿 201006
日おもての木瓜のいみじきまくれなゐ 西田美ち ろんど 201006
廃屋となりし社殿や木瓜の花 内田俊弘 201007
草木瓜の竹の根縫ひて咲くがあり 渡辺玄子 酸漿 201007
人の来る嬉しき日なり木瓜真赤 黒澤登美枝 201104
一便を待つ木瓜のただ白かりし 井上信子 201105
老らくのすぐ湧くなみだ木瓜の花 平野伸子 馬醉木 201107
乱心の白き原子炉木瓜の白 鴨下昭 201107
鉢植の枝整ひし木瓜の花 小浦遊月 酸漿 201107
木瓜咲ける垣根づたひの家路かな 松元末則 酸漿 201107
手の届くところの木瓜を愛でゐたり 小形さとる 201107
木瓜の花咲きて梅林静かなり 田島昭久 かさね 201203
木瓜咲いて女ばかりのダンス会 松下八重美 夢見の鐘 201203
木瓜の花君には棘がよく似合ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
まだ咲かぬ梅の廻りを木瓜の花 田島昭久 かさね 201204
炉煙舎の垣はんなりと更紗木瓜 戸田澄子 末黒野 201206
更紗木瓜フルブロッサムとなりてをり 佐藤喜仙 かさね 201305
夢見つつ木瓜の蕾と生きる日々 増田甚平 ろんど 201305
木瓜咲くやあたまのネジを巻きなほす 上原重一 201305
木瓜の花ペットボトルの水ひかり 丑久保勲 やぶれ傘 201305
紅をひく未だ老いられず木瓜の花 三浦澄江 ぐろっけ 201307
陸奥の桜桃木瓜揃ひ咲き 粟倉昌子 201307
お手玉の一人遊びや木瓜の花 岡野ひろ子 201307
陸奥の桜桃木瓜揃ひ咲き 粟倉昌子 201307
紅をひく未だ老いられず木瓜の花 三浦澄江 ぐろっけ 201307
木瓜咲いてゐしこと知らぬ主かな 稲畑汀子 ホトトギス 201404
茅屋の長者心地に木瓜の花 中島芳郎 201406
姥口を手にしてゐたり木瓜の花 瀬川公馨 201407
木瓜まっ赤初心な忘るべからずと 定梶じょう あを 201505
地境の塀貧しくて木瓜ま白 井上信子 201505
木瓜白く全開にして家古るぶ 井上信子 201505
作務衣着て作務衣干しをり木瓜の花 藤井美晴 やぶれ傘 201505
木瓜の朱のふはりふくらむ誕生日 和田政子 201506
一窓にいつも川あり木瓜の庭 飯田ひでを 201506
夕焼けの雲見る心地更紗木瓜 斉藤裕子 あを 201506
枝埋もるまで撓わに咲けり更紗木瓜 斉藤裕子 あを 201506
小公園訪ふ人あらず更紗木瓜 小川玉泉 末黒野 201506
草木瓜や妊婦拝む寺の庭 松本三千夫 末黒野 201506
ゆつくりと時の流れし木瓜の花 寺田すず江 201507
木瓜咲くや二人暮らしのおらが春 安野眞澄 201507
暮れ方の白の極まる木瓜の花 井上信子 201604
白木瓜の蕾ぞつくり忌日来る 数長藤代 201606
草木瓜の花にひととき昼の雨 藤井美晴 やぶれ傘 201607
ゆるがせにできぬ約あり木瓜の花 松田泰子 末黒野 201607
日溜りにひっそりと咲き木瓜の花 秋川泉 あを 201704
山門の左右に盛る木瓜の花 福島吉美 万象 201707
夕暮の庭の花木瓜ほの白く 亀岡睦子 やぶれ傘 201806
叱られてゐるやう一花木瓜赤く 定梶じょう あを 201805
夕鴉屋敷の奥の緋木瓜かな 廣畑育子 六花 201807
公園のをとこは孤独木瓜の花 松尾龍之介 201807
木瓜の花寡黙一念通すかな 中川のぼる 201902
物置の脇にリヤカー木瓜の花 丑久保勲 やぶれ傘 201903
鈍色の心を赤く木瓜の花 江島照美 201905
日溜りに人目を奪ふ木瓜の花 善野行 六花 201906
にはとりのくぐもる声や木瓜の花 浅嶋肇 やぶれ傘 201908
私の俺が酔ひだす木瓜の花 木村嘉男 202003
資料館となりし豪邸木瓜の花 湯本実 やぶれ傘 202006
通学路に学童見えず木瓜の花 森美佐子 やぶれ傘 202006
名を恥づる如きの深紅木瓜の花 大霜朔朗 末黒野 202008
花木瓜を殊に見よとて苑の主 中根美保 風土 202105
思ひ出の森繁久彌木瓜の花 田中藤穂 あを 202105
木瓜咲いて観音様に目が三つ 内藤静 風土 202106
マンションか介護施設か木瓜咲いて 林いずみ 風土 202106
何とはなく墓のことなど木瓜の花 佐俣まさを 春燈 202106
木瓜の花久闊を叙す書の同志 伊藤隆 202110
木瓜咲いて通院の足よろめけり 岡田史女 末黒野 202205
木瓜生ける使ひ古しの花鋏 小巻若葉 やぶれ傘 202206
控へ目な満開であり木瓜の花 谷口摩耶 202206
花柄のエプロン欲る児木瓜の花 平野秀子 やぶれ傘 202207

2023年4月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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