畦 焼     142句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
舞鶴線行きも帰りも畦焼けり 松崎鉄之介 199805
畦焼の溝へ地蜘蛛這ひのぼる 江原正子 春耕 199904
畦焼くを見てをりおのれ濃くなりぬ 佐藤よしい 風土 199905
これといふ取柄もなくて畦を焼く 和田照海 京鹿子 199906
三角に畦焼けてゆく闇なりし 竹内悦子 199907
艶笑咄村縦よこに畦焼く火 武藤鉦二 海程 199911
このあたりなつかしければ畦を焼く 高野素十 初鴉 200001
畦焼の暮れて熾火の二つ三つ 浅川正 雲の峰 200003
ややありて父の畦焼く煙たつ 岡田万壽美 俳句通信 200004
畦焼きて野火止の水透きとほる 唐沢静男 春耕 200005
畦焼の焔ちよろちよろ鬼火めく 関ただお 200005
祖谷びとの雲けぶらせて畦を焼く 大森井栖女 馬醉木 200006
畦焼の火が延びて行き帯となる 栢森定男 あを 200103
畦焼の灰の浮きゐる川港 朝妻力 俳句通信 200103
畦焼や下校の子らが歌ひ過ぐ 杉江茂義 俳句通信 200104
畦を焼く肩幅広き男かな 阿部紀子 俳句通信 200104
堂塔を遠景として畦を焼く 山田由利枝 雨月 200105
菩提寺の鐘や一村畦を焼く 小宮山勇 遠嶺 200106
手賀沼に落つる夕日や畦を焼く 原茂美 俳句通信 200106
昨日わが踏みたる畦の焼かれをり 能村登四郎 羽化 200110
畦焼をみせてもらひに葉山まで 平田紀美子 風土 200201
畦を焼く煙が通しくれぬ径 稲畑汀子 ホトトギス 200202
畦焼の炎立ちては移り行く 栢森定男 あを 200202
那須の野や小雪の中に畦焼ける 阿部ひろし 酸漿 200202
畦を焼く沼へ絆の風走り 森田旅舟 200204
畦焼くや古刹の塔の煤けたり 坂下草風 春耕 200205
畦の上に畑焼きし炎をしをり 桑田眞佐子 火星 200205
二上の山をけぶらせ畦を焼く 田所洋子 雨月 200205
畦焼いて水騒がしくなりにけり 代田青鳥 風土 200205
よろこびを分つ妻なく畦を焼く 渡辺俊子 京鹿子 200206
畦焼の焔伸びくる鼬穴 鈴木夢亭 春耕 200206
焼き終へし畦に頭を出す蟇 藤野力 馬醉木 200206
暮れぎはの山脈蒼し畦を焼く 長沼冨久子 馬醉木 200206
畑を打つ畦に芥を焼く煙 渡辺貞子 春耕 200206
畦焼の走る炎を促ひ得ず 栢森定男 あを 200206
岩より湯山より水や畦を焼く 菅原康 風土 200207
畦焼の煙は太し火は愛し 林翔 200301
十字なすところ長居の畦焼く火 鷹羽狩行 200303
畦焼の縄編む如く火が走る 長尾あや 築港 200305
畦焼きし跡ざくざくと家郷かな 大串章 百鳥 200305
畦焼いて焦がす国府の礎石かな 岩木茂 風土 200305
畦焼きしあと焦げし鈴残りをり 谷上佳那 百鳥 200305
畦川に野焼の顔を流し来る 藤野力 馬醉木 200306
畦焼くやすぐ風神の怒り出し 鎌田亮 200306
畦焼いて戻れば珍ら客待てる 田中峰雪 雨月 200306
奥能登も畦焼く頃や時忠忌 朝妻力 雲の峰 200404
ふるさとや亡き兄の出て畦を焼く 神蔵器 風土 200404
畦焼の顔の小さくなる日暮れ 芝生南天 河鹿 200405
畦を焼くツバメ印の燐寸かな 田所敏子 帆船 200405
もつれつつ海へ一気に畦焼く火 小野恵美子 馬醉木 200405
握り飯片手に畦を焼きにけり 太田土男 百鳥 200405
畦焼く火盆地に力もどりたる 梶川智恵子 200406
畦焼くや真神の原の塞の神 村井美意子 草の花 200406
飛烏野にあそぶ籾焼く畦伝ひ 千田百里 200412
畦焼にかついで行けり竹箒 滝沢伊代次 万象 200502
畦焼の走り火土手へ驀地 山田六甲 六花 200503
臀筋の淋しき男畦を焼く 吉原理夫 対岸 200504
畦を焼く課外授業の一クラス 橋本恭二 雲の峰 200504
畦焼く火立ちて水面を見せにけり 今瀬剛一 対岸 200505
法話聞く畦焼く匂ひまとひつつ 小山漂葉 酸漿 200505
減反を思ひとどまり畦焼けり 小山漂葉 酸漿 200505
畦焼きの火の手を叩き島昏るる 淵脇護 河鹿 200506
畦焼いて一枚の田となりにけり 高木一 200506
夕焼雲さめて残りし畦火かな 平山勝子 河鹿 200506
焼き畦に土筆ずらりと踏みかぬる 坂元フミ子 河鹿 200507
畦焼いて雨情の村の辺かな 阿部ひろし 酸漿 200602
畦焼の燃えにくさうに燃えてをり 山田六甲 六花 200603
遠景に波頭走れり畦を焼く 定梶じょう あをかき 200604
畦を焼くけむりの中のみどりかな 中野八重子 火星 200605
畦焼きの煤けし顔がこちら向く 神長裕子 200606
幼ナ名に呼ばれし母郷畦を焼く 水野節子 雨月 200606
遠近に畦焼く煙真野御陵 海野みち子 万象 200606
畦を焼く太き眉根に言問ひぬ 千田百里 200704
きびきびと男まさりや畦を焼く 望月晴美 200704
高千穂を黄金走りや畦焼く炎 千田百里 200704
畦焼の煙を浴びて畦渡る 加山ひさ子 万象 200706
守り継ぐ田畑は重し畦を焼く 山田弘子 ホトトギス 200707
胸ポケットに畦焼の余韻なほ 吉田明子 200707
畦焼きのひろがりを見て歩を返す 加藤克 200803
畦を焼く棒もてときに禁めをり 高橋あさの 200804
畦を焼く草の匂ひの遠くより 綿谷美那 雨月 200804
畦焼く火煽りて夜行列車かな 廣瀬義一 雨月 200805
畦焼きて棚田の相の紛れなし 谷村祐治 雨月 200805
畦焼きて九十翁の声荒ぐ 細川コマヱ 雨月 200805
畦焼きの火を煽りつつ宥めつつ 山本漾子 雨月 200806
畦焼きし跡闇よりも濃くありぬ 岩崎慶子 200806
畦を焼く男会釈を返しけり 久世孝雄 やぶれ傘 200806
畦焼いて幽霊花を咲かせます 吉村摂護 200806
牛小屋は廃れしままや畦を焼く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
畦焼きの煙遁るる蝶のあり 井関祥子 酸漿 200904
畦焼いてしばらく波の傍(はた)にあり 小形さとる 200905
畦焼くや伊達領なりし米所 八木岡博江 酸漿 200906
畦焼きの烟りを残し日の暮るる 時田義勝 やぶれ傘 200906
畦焼のかつぎて行けり長き棒 滝沢伊代次 万象 201003
畦焼きのあとに芽を出す土筆かな 南奉栄蓮 風土 201005
路地路地に畦焼の灰降り来る 柳田和子 酸漿 201005
黙々とひとり棚田の畦を焼く 川端郷思 雨月 201005
畦焼きの夕日の中を帰りけり 中条さゆり 201010
畦焼にいぶされおはす道祖神 宮原悦子 雨月 201101
畦焼きの煙真直ぐ安土山 松田洋子 201105
火も見えて畦焼く煙立ちにけり 根橋宏次 やぶれ傘 201105
畦焼きの妻と娘の声交る 田中臥石 末黒野 201105
畦焼の火が引きたくて帰郷せり 佐藤山人 201205
畦焼くや小さき風にもほむら揺れ 西出しず子 雨月 201205
人影もなく畦焼の煙かな 久保村淑子 万象選集 201205
畦焼の火の残りゐる夕べかな 天野美登里 やぶれ傘 201206
畦焼いて未明の色の淡海かな 浅田光代 風土 201206
畦焼きの煙の機嫌の高さかな 布川直幸 201303
見馴れたる能勢の畦道焼かれをり 小原登志春 雨月 201305
畦焼くに少し早しと去る農夫 山本漾子 雨月 201305
畦焼いて比良の暮光に染まりをり 駒井でる太 馬醉木 201305
畦焼いて長き一本峡を断つ 生田恵美子 風土 201306
畦を焼くいのち吹き込む未来かな 鴨下昭 201306
桂郎の一と跳び川や畦を焼く 神蔵器 風土 201404
畦焼くや近江の空の水明り 齊藤いさを 馬醉木 201405
僧一人畦道歩く野焼かな 柴田久子 風土 201405
畦焼の声を掛け合ふ井堰口 田中臥石 末黒野 201505
畦焼の一日地蔵に水かけて 武政礼子 雨月 201506
鍬杖に老父見守る畦焼きを 関桂二 201508
畦焼の近し野川の濁りそめ 間宮あや子 馬醉木 201606
畦を焼く田の神さまの通り道 伊藤紫水 風土 201609
畦焼きて立ち去る老の会釈かな 山本漾子 雨月 201705
畦焼くに上手下手あり火を放つ 中川句寿夫 ここのもん 201705
畦焼いてその日の匂ひ妻にあり 中川句寿夫 ここのもん 201705
畦焼の消えてまた立つ炎かな 甕秀麿 201705
畦焼の煙をもろにくらひけり 根橋宏次 やぶれ傘 201705
畦焼の煙を割つて人影来 間島あきら 風土 201706
田の神を拝して畦を焼きはじむ 柴田佐知子 201709
畦曲り春の夕燒の水曲る 水原秋櫻子 馬醉木 201804
老農の鷹の目のごと畦を焼く 田中臥石 末黒野 201805
畦焼きの火を追うて風走りけり 住田千代子 六花 201806
丹沢の山並を背に畦焼く火 小嶋紘一 末黒野 201806
畦焼の跡がまだらに鳩が鳴く 大島英昭 やぶれ傘 201807
畦焼くと押部(おしべ)の谷に立つ煙 山田六甲 六花 201902
畦焼ける男体山を坐らせて 服部鹿頭矢 馬醉木 201904
畦焼きの煙平城宮趾へと 平居澪子 六花 201905
畦焼や休むことなき煽らるる 江見巌 六花 201906
畦焼くや確と抱き合ふ道祖神 能美昌二郎 202005
畦を焼きむすび三つの昼餉かな 金光浩彰 202104
畦を焼く火が鉄橋を煉らせる 森祐司 202110
畦焼く火消しても残る過疎の村 持田信子 春燈 202205
隣との境あきらか畦を焼く 中村瑞枝 202210

 

2023年3月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。