畦 塗     103句

絶壁に弓張の畦塗られけり    川端茅舍

作品
作者
掲載誌
掲載年月
畦塗りの一番星に終りけり 野口光枝 高籬 199812
畦塗つて星のしたたる土佐の国 鷹羽狩行 199904
畦塗るやもぐらの穴を踏みつけて 根本孝子 春耕 199905
大阿蘇の映る棚田の畦を塗る 松宮幹彦 俳句通信 199906
後退の仕方の妙や畦を塗る 能村研三 199907
海風や畦を塗る背をもどさるる 中田ゑみこ 馬醉木 199912
けばけばの泥の化粧や畦を塗る 大関靖博 200004
塗畦の黒枠のなか農夫かな 小林呼溪 200005
畦塗りの一部始終を見てをりぬ 代田青鳥 風土 200007
塗られたる畦あたらしき空を負ふ 小澤克己 遠嶺 200007
塗りたての畦大跨ぎにて越せり 清水公治 200101
畦塗りし畦より明けし因幡口 山尾玉藻 火星 200105
田の泥を鍬になだめて畦を塗る 乾フジ子 俳句通信 200106
塗りあげし畦の掌型へ夕日澄む 渡辺友七 あを 200106
校庭の際の際まで畦を塗る 萩谷幸子 雨月 200107
塗り了へし畦を鴉の歩みけり 安藤孝助 200107
押し戻す力の畦を塗つてをり 斎藤棹歌 200201
畦塗つて泥の香村にゆき渡り 磯田富久子 200206
畦塗や郵便夫きて立話 森園ムツ子 200207
田ごと畦塗つてこれより備後かな 松田通男 200208
泥水を塗り重ね畦仕上がりぬ 有吉桜雲 200209
畦を塗る牛臥の嶺を背にし 能村研三 200306
畦塗るや雲の触れゆく近江富士 山口たけし 雲の峯 200306
峡に生れ峡に死ぬ気の畦を塗る 淵脇護 河鹿 200406
忌の明けて畦を塗りをる日暮れどき 淵脇護 河鹿 200406
ほとほとと畦塗る音の暮れゆけり 森重夫 万象 200407
畦塗の湧き出づる水生温し 鈴木多枝子 あを 200407
左利き右利きとゐて畦を塗り 堀口睦子 草の花 200407
塗りし畦の罅深々と昼餉時 藤井智恵子 百鳥 200408
這ひあがる力残して畦を塗る 間宮陽夫 馬醉木 200408
塗り立ての畦すべり落つ子鴨かな 上岡三江 栴檀 200409
塗りし畦一滴も水洩らさざる 塩川雄三 築港 200505
畦を塗る完璧といふ水の堰 塩川雄三 築港 200505
たんぽぽや休耕田は畦塗らぬ 鈴木多枝子 あを 200506
一本のひかり曳きずり畦を塗る 鈴掛穂 200507
畦塗りて水音高き母郷かな 遠野萌 200507
畦塗りやちちははの顔映るまで 若井新一 200509
畦塗の帰る長靴籠に入れ 能村研三 研三句集 200512
畦塗つて湖国かがやくばかりなる 鷹羽狩行 200605
畦塗の鍬と手足のかがやけり 鈴木多枝子 あを 200606
塗り終へて辛夷明りの峡の畦 石川倜子 馬醉木 200607
畦塗つて一村涅槃月夜かな 神蔵器 風土 200607
塗り畦に馬鹿の大足跡乾く 泉田秋硯 200608
棚田畦塗つて一番星を出す 吉村摂護 200609
塗畦やこゝにも生ふる沼の蘆 瀧春一 200706
畦塗つてゐしがいつしか帰りけり 藤井昌治 200707
塗りてはや畦が雲噴く狭田棚田 渡邉友七 あを 200708
畦塗りの終の一打は平手打 河口仁志 200709
畦塗つてより雨がちとなる大地 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
畦塗りの影墓石にさしかかる 南うみを 風土 200806
畦塗りていよいよ水の国となる 濱上こういち 200807
畦塗の鍬日輪をはね返し 水谷靖 雨月 200807
塗畦のかがやく田とはなりにけり 滝沢伊代次 火星 200904
真つ当に生きて畦塗る老い力 遠藤真砂明 200906
塗りたての畦に夕日の吸はれけり 島田麻衣 炎環 200907
塗畦や禿頭の土乾きけり 米田正弘 200907
畦を塗る一鍬づつに水動き 広瀬峰雄 200908
余震なほ棚田の畦を塗り直し 渡部節郎 転舵の渦 200911
塗り了へし棚田の畦のうねりやう 矢野百合子 201006
塗り終へし畦にけものの足かたち 藤森すみれ 201007
畦塗るや若狭の雲を割る光 竹中一花 201106
畦塗つて空新しくなりにけり 間島あきら 風土 201107
塗りをへし畦をたたける驟雨かな 田所洋子 雨月 201109
艶もたぬ曲線はなし畦を塗る 工藤節朗 201201
畦塗つて湖の風光らする 山尾玉藻 火星 201204
千枚田畦塗るかたへ田植せる 井村和子 風花 201206
元就の郷鉄壁の畦を塗る 和田照海 京鹿子 201206
煩悩を泥に沈めて畦を塗る 鴨下昭 201206
塗畦の罅の走りに草覗く 吉野美智子 万象 201208
小山田の父祖の重ねし畦を塗る 齋藤晴夫 春燈 201209
畦塗りを一手に享けて卆寿なり 佐藤山人 201306
ここだわつて代田の畦を塗直す 山田六甲 六花 201306
畦塗つて明日を覗いてゐる水面 鴨下昭 201307
塗畦は天下一品お父ちゃん 斉藤裕子 あを 201307
畦塗つて遠山は日を輝かす 安立公彦 春燈 201406
畦塗りに女人高野の昼の鐘 服部鹿頭矢 馬醉木 201406
ゆつくりの畦塗り重機見て飽かず 岡野ひろ子 201407
千枚の一枚畦を塗り始む 間島あきら 風土 201408
千年の武蔵の棚田畦を塗る 齋藤晴夫 春燈 201408
黒光りする鍬の背や畦塗れる 河口知重 末黒野 201507
息抜きに海を見てをり畦塗りす 小林のり人 春燈 201508
畦塗の仕上げの夕日とどまらず 稲畑汀子 ホトトギス 201604
小さき田の畦ていねいに塗つてをり 今井肖子 ホトトギス 201605
畦塗つてゴシック文字の田となりぬ 西村将昭 201607
六株が一枚の田の畦を塗る 赤堀洋子 万象 201609
万緑の中や畦塗る水の音 善野烺 六花 201709
畦を塗る翁の確と鍬さばき 外山生子 末黒野 201804
畦塗りの済みて正装めくひかり 菅谷たけし 201807
海光の棚田千枚畦を塗る 石崎和夫 201807
塗畦の光れる道を渚まで 栗坪和子 201807
山間の畦塗の音響きけり 岡本秀子 201807
漆黒の額装のごと畦を塗る 稗田寿明 201807
花びらの吸ひつく畦を塗りにけり 南うみを 風土 201907
畦を塗る大江山嶺真向ひに 浜福恵 風土 201907
畦塗や鋤簾捌きに土光る 磯野青之里 六花 201908
畦塗って風新しく走りだす 定梶じょう あを 202006
父が塗る畦は万全日照り雨 辻水音 202006
機械にて畦は塗られて光る帯 石原健二 やぶれ傘 202007
畦塗りて人と逢はざる日の暮るる 石原孝人 京鹿子 202106
落款は鳥の足跡畦を塗る 鈴木和江 202107
今年またぐるり畦塗る棚田かな 石原孝人 京鹿子 202109
畦塗やあふれるほどの日が差して 北村操 202206
畦塗りて昨日を明日へ繋ぎけり 石原孝人 京鹿子 202207
畦塗も機械に託す齢かな 河野智子 202208
畦塗へ舗装工事の油煙飛ぶ 原友子 202302

 

2023年4月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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