青 簾     194句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青簾わづかばかりの意を通す 野口光枝 高籬 199812
爪立ちて蹠の白さ青すだれ 樋口英子 朝桜 199904
青簾一番客となりにけり 川口襄 遠嶺 199905
青簾寺の古聞きし窓 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
青簾隔てし葬の庭となり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
闇と灯を一枚に織り青簾 長山あや 円虹 199909
その奥に魚焼くにほひ青簾 伊藤希眸 京鹿子 199909
密会に物音は無し青簾 小澤克己 遠嶺 199909
青簾羽織で暮すお羽織屋 島崎房子 199910
巻きあげて平八茶屋の青簾 鈴木ゆき子 風土 199910
青すだれ舜輔大人の遺影笑み 秋葉雅治 199911
青簾かそけき風の項かな 宮澤さくら 遠嶺 199911
射して来し日もまたたのし青簾 大石登喜和 円虹 199911
青簾父の寡黙に及ばざり 中嶋隆 「覇王樹」 199912
青簾めぐらせ縞の世に棲まふ 塩路隆子 「精鋭選集」 200008
干菓子屋の竹の香りの青簾 梅谷昌弘 俳句通信 200009
青簾銚子ふれ合ふ音したり 高野清風 春耕 200010
漁火のまたたきの透く青簾 鈴木夢亭 春耕 200010
駒ケ根の風あふれゐる青簾 高野清風 春耕 200010
子規庵の雨まつすぐに青簾 谷さやン 船団 200101
胡弓の音月蝕の赤青簾 松村美智子 あを 200108
青簾畳の上で大の字に 栢森敏子 あを 200109
青簾かけてきき耳たてて居る 後藤志づ あを 200109
揺蕩ふや小舟の灯る青簾 篠田純子 あを 200109
隠れゐるものに惹かるる青簾 岡田千代子 200110
人寰を仄かに隔て青簾 阪本哲弘 200202
隔てつつ越といふこと青簾 亀丸公俊 銀化 200208
青簾倦くや小浅間大浅間 宮原みさを 花月亭 200208
魚へんのすし屋の湯呑青簾 木田千女 200208
別世界造りだしたる青簾 塩川雄三 築港 200208
ほとぼりを冷ましに出づる青簾 佐藤多恵子 銀化 200209
妻留守に独りの酒宴青簾 柘植征四郎 風土 200209
海が透く直哉旧居の青すだれ 村尾松籟 200209
瀬戸ものをひさぐ唐津屋青すだれ 林日圓 京鹿子 200210
青簾ひとの往き来の途切れけり 谷上佳那 百鳥 200210
折々の花ある庭や青簾 石城幸子 百鳥 200211
青簾猫を通して閉ぢにけり 中村房枝 六花 200307
川筋へ出てゆく角は青簾 豊田都峰 京鹿子 200308
開け放つ奈良間七尺青簾 山口たけし 雲の峯 200308
寿命てふはるかなるもの青簾 東亜未 あを 200309
方丈は女客らし青簾 和田照子 200310
青簾猫の目優しく見ゆるなり 西村咲子 六花 200310
青簾沖より晴れてきたりけり 岩渕彰 遠嶺 200310
青すだれ悋気諍ひつつぬけに 高千夏子 200310
子育てを終へし父母青簾 苑実耶 200310
青簾すこし風ある朝の茶事 秋千晴 200311
青簾巻くとき踵あらはなり 遠野萌 200311
青簾赤子に大き目がふたつ 秋岡朝子 200311
青簾さりげなく掛け句座となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200407
病みてまた旅の遠のく青すだれ 岡本眸 200408
青簾まだら乾きの夜の歩道 田中忠子 帆船 200408
青簾して軒低き何でも屋 木暮剛平 万象 200409
青簾大きく吊りて貴船かな 武田巨子 春燈 200409
川筋にふたり暮しの青すだれ 久保一岩 京鹿子 200409
青すだれ路地裏の声つつぬけに 藤沢園枝 帆船 200409
青簾アニメのやうな影動く 川崎光一郎 京鹿子 200409
姉の忌のすこし巻き上ぐ青簾 布施まさ子 風土 200409
青簾正座の父のあばら骨 角田悦子 草の花 200409
金婚の厨音する青簾 廣畑忠明 火星 200410
青すだれ母の孤獨を今に知る 大塚まや 京鹿子 200410
競ふこと身ほとりに失せ青簾 遠藤タミ子 京鹿子 200410
学ぶ灯を母がともせり青簾 柴田佐知子 200410
妻とゐて落ち着く夜の青すだれ 淵脇護 河鹿 200508
香をきく尼の茶室の青簾 安達加寿子 200508
母の気配する終の間の青簾 鈴木愛子 ぐろっけ 200509
青簾灯し透く闇黄泉めきて 鈴木愛子 ぐろっけ 200509
海に向く声を透かして青簾 赤松せつよ 築港 200509
中世のをとことをんな青簾 川崎洋吉 遠嶺 200510
人の住む気配のなくて青簾 鳴海清美 六花 200510
青簾きびしき祖母の声したる 小山國雄 百鳥 200511
古りし家の贅(ぜい)の時かな青簾 平野きぬ子 八千草 200602
足場ゆれ思はず掴む青簾 長崎桂子 あを 200609
人の世の利口さ加減青すだれ 鈴鹿仁 京鹿子 200609
青簾をりをり渉る鐘の音 高橋千美 京鹿子 200610
退屈なひと日の暮るる青簾 青山悠 200611
青簾越しに魔界へ誘はる 清水晃子 遠嶺 200611
この顔はつかひ古せり青簾 山元志津香 八千草 200612
葡萄蔓棚に溢れし青すだれ 森理和 あをかき 200612
世間をば傍目八目青簾 桑原泰子 八千草 200612
夕風や二人透きゐる青簾 田中藤穂 あを 200709
河童忌の小さな句座の青すだれ 藤井昌治 200709
白川の宵や立ち居の青簾 落合絹代 風土 200710
粗彫りの木屑とびたる青簾 井村和子 万象 200710
向ひ家の若き抱擁青すだれ 村田とくみ ぐろっけ 200712
割り箸を割りても四角青すだれ 宇都宮滴水 京鹿子 200807
考証は有職故実青すだれ 林日圓 京鹿子 200808
青簾飄と人来る気配して 浜福恵 風土 200809
青簾露地抜けるとき時計鳴り 中田みなみ 200809
浄瑠璃の地たりし社務所青すだれ 磯野しをり 雨月 200809
浄瑠璃の所作ごと洩るる青簾 山田ひさし 馬醉木 200809
青簾人にいささかディスタンス 白髭美佐子 200809
轆轤より立ち上がる象青簾 川口襄 遠嶺 200811
傘雨忌のあさき眠りや青すだれ 鈴木直充 素影 200811
わが家にわが子の世帯青簾 瀧春一 深林 200901
夕暮の山が来てゐる青簾 柴田佐知子 200908
灯ともせば亡き人のこゑ青簾 岡部名保子 馬醉木 200908
白髭の古書肆のあるじ青簾 宮田豊子 春燈 200909
千切りの風となりけり青簾 鈴木伸一 200909
青簾独りの暮しに風入るる 細江久美子 春燈 200911
心の端ちらと見らるる青簾 池本一軒 200912
夕風のまつはりそめし青簾 鷹羽狩行 201007
川筋の船宿どこも青簾 清水美子 春燈 201009
江戸ばやし洩れくる路地の青簾 山田春生 万象 201009
ころび寝の白き足裏や青簾 藤見佳楠子 201010
外界の紗をかけしさま青簾 太田寛郎 201011
高階に夕べの日差し青簾 川村亘子 末黒野 201104
捲き上げて海近うせり青簾 松井志津子 201108
あとがきを先に読みけり青簾 岡佳代子 201109
日は西に目隠し兼ぬる青簾 小川玉泉 末黒野 201110
筒抜けの般若心経青簾 松本恒子 ぐろっけ 201208
外に出でわが家眺むる青簾 柴田久子 風土 201209
ほとぼりさめ帰り来し子よ青簾 斉藤裕子 あを 201210
眠る児の手に人形や青簾 神田惣介 京鹿子 201210
少年野球の喚声とどく青簾 安田とし子 ぐろっけ 201211
棒読みの一日を終へる青簾 吉田悌子 京鹿子 201301
ちちははもはらからもゐて青簾 野村鞆枝 京鹿子 201310
訪れし家は不在や青簾 池谷鹿次 末黒野 201404
わが余生よしとすべきや青簾 久保東海司 201407
宗純の風狂果つる青簾 川井秀夫 ろんど 201410
自転車の軋み遠のく青簾 高野春子 京鹿子 201410
日裏より青空望む青簾 山田佳子 201410
夕仕度風に急かされ青簾 岡山敦子 京鹿子 201411
盆過ぎの母を浮かべし青簾 柴田佐知子 201411
子を叱る声筒抜けや青簾 塩野谷慎吾 201508
叔父叔母が来てゐるらしき青簾 森岡正作 201508
一軒家さびしくて吊る青簾 定梶じょう あを 201509
家中にコーヒー匂ふ青簾 丑久保勲 やぶれ傘 201509
本堂の開け放たるる青簾 五島富佐子 雨月 201602
糸車くるくる路地の青簾 荒井書子 馬醉木 201604
一の糸締めて正座や青簾 近藤暁代 馬醉木 201607
ゆつくりと雲流るるや青簾 小林文良 春燈 201609
寂聴の宇治十帖や青簾 石橋邦子 春燈 201609
住み飽きぬために買ひたる青簾 加藤峰子 201708
下敷きに半紙を合はす青簾 丑久保勲 やぶれ傘 201807
雲水と猫の影ゆく青簾 夏生一暁 馬醉木 201808
名水の豆腐の味や青簾 坂入妙香 春燈 201809
母の居る彼の世は近し青簾 曽根富久恵 201811
繋ぐもの継ぎゆくものや青簾 雨村敏子 201908
ひとり居の我が家が気楽青簾 金山雅江 春燈 201909
その先に箏曲流る青簾 田中信行 201909
聞きとれぬままに微笑む青簾 玉垣咲良 馬醉木 201910
夕さりの筬音もるる青簾 深川淑枝 201912
三味の音に崩るる灯り青簾 鈴鹿呂仁 京鹿子 202008
床の間のなき気楽さよ青簾 森清信子 露の堂 202008
いにしへのジャズを洩らしぬ青簾 亀井福恵 京鹿子 202009
湖焦がす落暉の波や青簾 石原孝人 京鹿子 202009
黙秘権使ひ果して青簾 杉井真由美 京鹿子 202010

 

2021年6月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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