青 麦     179句

青麦も空もみどりや時鳥  浪化

作品
作者
掲載誌
掲載年月
疾風雲野末は澄みて麦青む 水原秋櫻子 馬醉木 194600
石鹸玉幾畝ゆけり麦青む 水原秋櫻子 馬醉木 194600
青麦の風が煽れるシャツの裾 山田美保 199811
イタリアの踵岬まで麦青む 品川鈴子 ぐろっけ 199903
死衣に経書かるることの麦青む 柳生正名 海程 199907
青麦の中をずんずん父の来る 金國久子 青葉潮 199907
遙か来て遙かを思ふ青麦野 藤岡紫水 京鹿子 199907
魯の国をおほふ黄土に麦青む 松崎鉄之介 199907
百姓の血筋の吾に麦青む 高野素十 初鴉 200001
遥か来て遥かを思ふ青麦野 藤岡紫水 京鹿子 200001
麦青む大きな雲の連なれり 環順子 遠嶺 200005
雨粒の光の中に麦青む 正木光子 いろり 200006
青麦の中きみとなら潜めさう 小澤克己 遠嶺 200007
北への旅麦は黄ばみつ青みつゝ 阿部寒林 200010
十勝野や青さの残る麦の秋 鷹羽狩行 200010
サーカスの子等いまいづこ麦青む 伊藤鯰子 ぐろっけ 200010
麦青む山野もみどり増やしつつ 鈴木多枝子 あを 200102
青麦や里への道をいく曲り 山田京子 俳句通信 200104
青麦や勤勉実直硬骨漢 大久保白村 円虹 200104
麦青しつひにこの径還らざり 渡辺友七 あを 200106
麦青む彼方王家の谷靄ふ 阿部州子 円虹 200106
少年より犬は年上麦青む 森景ともね 船団 200107
耕人の動かざりけり麦青む 安原楢子 200107
風紋の途切れ弘法麦青む 上田希実 遠嶺 200107
麦青し陽はぎんがぎが猫のひげ 河原珠美 海程 200107
麦青む個室のやうな解剖図 矢野千佳子 京鹿子 200110
青麦や背広姿のぎごちなき 山田禮子 遠嶺 200206
父の忌のこゑ空に消え麦青む 中道錦子 200206
酒倉を出れば筑紫野麦青む 政木紫野 馬醉木 200206
山までの視野まつ平麦青む 浅井千代子 200208
犇いてゐて青麦の几帳面 岡本眸 200209
口笛は風のともだち麦青む 小澤克己 遠嶺 200210
吹き上ぐる湖の風あり麦青む 中川悦子 酸漿 200304
青麦は畑にとどまり遍路杖 宮坂静生 200305
青麦や平群に残るくどの神 中御門あや 雲の峯 200306
木の家にちちははがゐて麦青む 長坂ヤス子 酸漿 200306
麦青む湖風に根元まで応へ 豊田都峰 京鹿子 200306
麦青む田のあれば田の神座る 十川たかし 200306
麦青し子の頭の走るかくれんぼ 藤野力 馬醉木 200306
青麦を活け春窮の世は遠し 園多佳女 雨月 200308
熟れやうと熟れやうと麦まだ青く 十川たかし 200312
要害の猪囲の中麦青む 阿部悦子 酸漿 200404
昨日より今日の日ざしや麦青む 宮崎やすお 栴檀 200405
麦青むはや三回忌五郎丸 松本硯友 帆船 200405
風わたる天地の間麦青む 市堀玉宗 栴檀 200406
青麦を見て結納の使者を待つ 中村克久 雲の峰 200406
青麦や風の香立ちて草千里 鏡山千恵子 帆船 200406
麦青む学芸会は立木役 小島輝和 帆船 200406
青麦や遊び仲間に山羊のゐて 飛山ますみ 遠嶺 200407
青麦に風やはらかく人逝けり 田代ヨシ 河鹿 200407
麦青めどアウシュヴィッツの木々黒し 宇田紀代 200407
合併を控へし町や麦青む 立脇操 雲の峰 200407
青青と麦の立穂のやはらかし 大山里 200408
いつの間にとれし補助輪麦青む 岡田滋夫 雲の峰 200408
麦青む中山道を真ん中に 鳴海清美 六花 200408
麦青む褒められてよりまつしぐら 大野里詩 帆船 200409
父母のなき故里山河麦青む 岡久枝 酸漿 200505
麦青む筑後の筑後平野かな 山田六甲 六花 200505
抽んでて青麦の穂が花の籠 大橋敦子 雨月 200506
青麦や忸怩たること多かりき 市川英一 遠嶺 200506
青麦に動きて大き雲の影 糸井芳子 200506
故郷に初恋のあり麦青む 岩垣子鹿 ホトトギス 200507
出勤の背筋真直麦青む 佐々木薫 帆船 200507
麦青む山水いよよ逸るなり 高橋さえ子 200507
青麦を挿し枕頭の日を癒やす 竹貫示虹 京鹿子 200508
青麦や骨から延びる男の子 田渕昌子 京鹿子 200508
青麥に海のにほひを感じゐる 瀧春一 菜園 200509
青麥におほかたは赫き土のひかり 瀧春一 菜園 200509
磯の岩臥せるほとりも麥青し 瀧春一 菜園 200509
真直ぐな退屈な道麦青む 高橋あゆみ 200510
いくさなき豊葦原の麦青む 戸村よねこ 遠き海 200602
青刈の麦の匂ひの真昼かな 水野加代 万象 200603
麦青む午後の足つぼマッサージ 山田六甲 六花 200603
青麦に穂ののぞきをり搭尾口 村上みきお 万象 200606
人の世は眞直ぐでない麦青む 芝宮須磨子 あを 200606
したたかに青麦吹かれ上州路 広瀬敏子 酸漿 200606
麦の青茶の間は母を中心に 鈴木多枝子 あを 200606
砂除けの麥わら黄なる麥青む 瀧春一 常念 200606
巻き返し狙ふ人生麦青む 木原紀幸 河鹿 200608
青麦の風の畝間を若き雉子 長沢ふさ 万象合同句集 200703
地球儀のまん中に立ち麦青む 関口幹雄 遠嶺 200705
後ろ手にポルカで踏みし麦の青 市橋章子 ぐろっけ 200706
青麦の穂がさはさはと風を生む 上原重一 200706
麥青みひとりのわれを行かしむる 瀧春一 200706
青麦や次第にかろき足になり 加藤みき 200707
青麦の風のさざ波虚空かな 岩月優美子 200707
青麦の五陵原貫く隴海線 松崎鉄之介 200707
麦の穂の青吹く風とゐたりけり 石脇みはる 200707
青年の笑窪かがやく麦の秋 相沢有理子 風土 200708
麦青む胸よりずばり勝負球 大曽根育代 遠嶺 200708
雪残る越後の里に麦青む 赤座典子 あを 200806
麦青む退職者居る家の畑 鍋田もと枝 200806
ローカル線で駅弁の旅麦青む 森下康子 200807
青麦をなびかす風を眺めをり 河野千恵子 酸漿 200808
青麦や風の大小見てゐたり 竹内文子 遠嶺 200808
見習ひの返事真つ直ぐ麦青む 高橋スミ子 万象 200809
畦に置く百葉箱や麦青む 北島和奘 風土 200901
湖風に麦青みけり近江郷 塩路隆子 200904
青麦やきりりと王義之の書体 近藤喜子 200907
雪消えし麦青々と立ち上る 鈴木幾子 酸漿 201004
青麥の広がり伊勢の土のいろ 市橋敬子 201005
はらからのことのしきりに麦青む 鈴木隆子 201006
青麦や息み伸びする赤ん坊 森理和 あを 201006
青麦の穂先に少女ふれゆきぬ 早崎泰江 あを 201006
青麦の海へうねりて遠津波 和田照海 京鹿子 201006
男子みな坊主頭や麦青む 鈴木浩子 201007
膕に麦の青さが染みてくる 本多俊子 201007
濃淡の風見せ麦の青みたり 岩崎スミ子 末黒野 201007
小麦畑果てなく青き国土かな 伊藤一枝 酸漿 201101
パン食のこの国にして麦青し 伊藤一枝 酸漿 201101
邪馬台国ここぞと麦の青みをり 村高卯 201106
麦青む渡良瀬川の扇状地 大木茂 万象 201106
荒畑の真中に麦の青み初む 久保村淑子 万象 201106
空に鳥地に満目の麦青む 尾野奈津子 春燈 201107
黒ぼくの開墾畑や麦青む 神田美穂子 万象 201107
麦青み野川の色の変りけり 白石正躬 やぶれ傘 201108
活けられし青麦の穂や珈琲の香 伊庭玲子 201205
麦の風吸ひたる髪の青みて来し 山田六甲 六花 201205
塗り立ての百葉箱や麦青む 堀田順子 馬醉木 201205
地平まで広がる沃野麦青む 松村光典 やぶれ傘 201206
青麦を活け人の世を無二無三 小谷延子 万象 201206
どこまでも青麦畑風満てり 上田玲子 201206
麦青む夜をひたひたと波の音 藤井君江 馬醉木 201206
麦青む畦ごとに日をたくはへて 安武晨子 201206
麦青む宙のひかりを撒きしごと 片岡久美子 201207
麦の穂の出揃ふ畑や風青き 塩路隆子 201208
畑の麦青し姉川戦あと 北崎展江 くりから 201209
前山の段々畑麦青む 廣瀬雅男 やぶれ傘 201305
青麦の青を濃くしてしもつけ野 内海良太 万象 201305
御食国若狭の麦の青むなり 岩木茂 風土 201306
念仏の里へ新道麦青む 浜福惠 風土 201306
をりをりの風あしろうて麦青む 松木ひろ ろんど 201306
青々とじゆうたんのごと麦畑 池田光子 201307
つんつんと落柿舎のまへ麦青む 今井妙子 雨月 201405
麦青む雨後の輪中のことさらに 石井耿太 火星 201405
利かぬ気の口一文字麦青む 白井友梨 馬醉木 201406
青麦やここより列車手で開けて 浅田光代 風土 201407
子にもある譲れぬ主張麦青む 河口仁志 201407
肥沃なる越前の畑麦青む 塩路隆子 201407
麦青む嬥歌の里の小雨やみ 水野節子 雨月 201407
青麦の葉波の果の近江富士 杉山瑞恵 雨月 201408
青麦の風に靡ける丈となり 田中佐知子 風土 201411
青麦に踏まれたる跡なかりけり 加藤みき 201505
青麦を活ける背すぢを伸ばしけり 近藤紀子 201505
青麦や森蘭丸の舞ひ姿 加藤みき 201506
青麦や性善説を信じをり 近藤喜子 201506
青麦や九十歳の絵に力 安居正浩 201506
青麦の中を一筋古墳道 柴田志津子 201607
青麦のカーテンコールめく起立 加藤峰子 201705
青麦や大地に疾き雲の影 今瀬一博 201705
分校は児童三人麦青む 荻野周子 雨月 201707
先生を呼び捨ての吾子麦青む 稗田寿明 201707
麦青む道々加古の堤まで 善野烺 六花 201707
蕉翁の句碑の片方や麦青む 岡田史女 末黒野 201806
電柱の影青麦を突き抜けて 渡邉孝彦 やぶれ傘 201807
供華となす青のみづみづしき麦穂 溝内健乃 雨月 201808
西国や青みし麦の上に灘 柴田佐知子 201809
麦の芽の二寸のびたる青さかな 堺昌子 末黒野 201903
青麦や蕉翁句碑に頭垂れ 内田梢 末黒野 201904
麦青み大地の起伏顕るる 斉藤マキ子 末黒野 201906
青麦や空の真中にちぎれ雲 廣瀬雅男 やぶれ傘 201907
一畑の風さらさらと麦青む 大川暉美 末黒野 201907
麦青む沖に手漕ぎの舟の見ゆ 林未生 201910
麦青む果は雲なき播磨富士 山田六甲 六花 202003
稲美野や見渡す限り麦青む 永田万年青 六花 202006
青麦をゆすりて風が吹き抜けて 白石正躬 やぶれ傘 202007
谷の日を返して麦の青みけり 升田ヤス子 六花 202007
麦青し空につながる風つよく 石原健二 やぶれ傘 202007
密密と育つ青麦風に付く 平嶋共代 202104
麦青む吾ふるさとを振り向かず 山田六甲 六花 202104
麦青む乳張るころの疼きもて 井原美鳥 202105
麦青む見沼たんぼのひとところ 森美佐子 やぶれ傘 202105
麦青しひたすら道を柳川へ 泉一九 やぶれ傘 202108
直線の道青麦の風に沿ふ 山下美典 ホトトギス 202110
風通る青麦の中村の中 江見巌 六花 202308
青麦やはや園児らの背丈ほど 大坂正 末黒野 202304
青麦の一直線の若さかな 梅田武 末黒野 202306
一せいに吹き倒れ青麦跳ねあがる 高島茂    

 

2024年3月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。