青葡萄(青ぶどう・青ぶだう・あをぶだう)        154句

妻の指に全身躍る青葡萄   高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨音に言葉けされし青葡萄
水野あき子
遠嶺
199810
青葡萄笛吹川の水嵩む
皆川盤水
春耕
199909
青葡萄貴腐ともならで流離譚
中原道夫
銀化
199911
青ぶだう言葉はいつも貧しくて
岩岡中正
ホトトギス
200001
いのちとは透けてゐるもの青葡萄
岩岡中正
ホトトギス
200004
頬に痛き朝の日差や青葡萄
丹羽啓子
馬醉木
200010
雲上に十戸一寺や青葡萄
三嶋隆英
馬醉木
200010
雨粒のままに雨来て青葡萄
岡本眸
200011
青葡萄男ならば荒野をめざせ
塩見恵介
船団
200105
ここに胃があると疼くよ青ぶどう
ロツキイ
六花
200107
走り書きの返事のように青葡萄
室田洋子
海程
200108
青葡萄通ひ慣れたる坂なれど
石橋翠
いろり
200108
月蝕を解く青葡萄皿に盛り
田村みどり
京鹿子
200109
雨粒の光つてゐたる青葡萄
有本惠美子
200109
視力救はるゼリーに透ける青ぶだう
田所節子
200110
青ぶどう老眼鏡で読む絵本
佐伯のぶこ
船団
200110
側に居てと繰り返す歌青葡萄
関薫子
百鳥
200111
ひしひしと蝉声迫る青葡萄
永田二三子
酸漿
200111
青葡萄日毎に鳥の声ましぬ
中村静枝
酸漿
200111
山坂の行き止りなり青葡萄
浅生圭佑子
海程
200111
使つてはたたむハンカチ青ぶだう
山田美保
200111
いま生きている透き通る青葡萄
松山律子
六花
200206
青葡萄おのれ除けば平均値
槻木珠美
銀化
200208
或る愛の出口を探す青葡萄
後藤志づ
あを
200208
青葡萄甘くみられてしまひたる
高橋将夫
200209
目立屋の土間の明るし青葡萄
皆川盤水
春耕
200209
山風のときに高鳴り青葡萄
宮尾直美
200210
連山の夜明けのいぶき青葡萄
田中聡子
遠嶺
200308
青葡萄麓の灯またひとつ
稲辺美津
遠嶺
200309
星近き島より暮れる青葡萄
栗栖恵通子
200309
青葡萄犬に含めしことのあり
山荘慶子
あを
200309
身の丈にかなふ詩情や青葡萄
環順子
遠嶺
200310
青ぶだう詩集の中の銅版画
清水晃子
遠嶺
200310
青ぶだう一粒づつの和みかな
岡田千代子
200310
種飛ばし寮のはなしや青ぶだう
江坂衣代
百鳥
200310
東方は賢き方や青葡萄
柴田佐知子
200310
子と話し子が遠くなる青葡萄
前田永子
200310
青ぶだう晩学時に気弱なり
若林花枝
200311
青ぶだう一と日くもり日飢餓もなし
長屋璃子
火星
200312
濡れ髪のたしかな重さ青葡萄
橘沙希
月の雫
200404
青葡萄ロマネコンティの威厳かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200407
青葡萄富士を背に日を弾き
稲畑廣太郎
ホトトギス
200407
青ぶだう神学生の住まひをり
影山わこ
百鳥
200408
保育所に父母の集まり青葡萄
中島瑞枝
百鳥
200408
青葡萄寺も棚持つ葡萄郷
上石哲男
築港
200408
青葡萄すでに気分はブルゴーニュ
森理和
あを
200408
町なかの喫茶に育つ青ぶだう
安部里子
あを
200408
青葡萄娘は家を出ると云ふ
篠田純子
あを
200408
劣性遺伝証すメンデルの青ぶだう
小泉三枝
春燈
200410
七人の野球部員や青葡萄
須佐薫子
帆船
200410
ヨン様の潤みし瞳青葡萄
岡谷栄子
200411
街中に陣屋址あり青葡萄
仲山秋岳
万象
200411
古町や忌中の軒の青ぶだう
竹内弘子
あを
200411
青葡萄富士近付けて遠ざけて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200507
誉め言葉少し聞きたし青葡萄
小林朱夏
200508
青ぶだう最晩年の犬の眼に
竹内弘子
あを
200508
やはらかき風につつまれ青葡萄
豊田作二
遠嶺
200509
眠る息泣く息のあり青葡萄
片岡静子
200509
捨て票になるやも青葡萄仰ぐ
田中藤穂
あを
200509
老犬の見上げる庭の青葡萄
芝尚子
あを
200509
青葡萄棚の一隅朽ちしまま
鹿野佳子
200510
青葡萄屈託のなき乱反射
篠藤千佳子
200511
地中海を吹いてきし風青葡萄
五十嵐暢子
対岸
200511
青ぶだうの風絵硝子の窓開く
鈴木和香
栴檀
200601
青ぶだう明日がひとつの誕生日
片岡静子
200609
青葡萄の影揺れ水底めきにけり
鵜沢千恵子
200610
青葡萄に饒舌の蜂纒はれり
鵜沢千恵子
200610
山の上に親子の集ひ青葡萄
鈴木石花
風土
200610
遺言を書いておかうか青葡萄
川口襄
遠嶺
200611
甲州の風の洗礼青葡萄
木暮陶句郎
ホトトギス
200612
青葡萄垂れて八十八番所
高橋さえ子
200612
アルザスの村々包む青葡萄
梶井和呼
酸漿
200702
シュヴァイツァー生家の軒も青葡萄
梶井和呼
酸漿
200702
ぎつしりと詰まりし未来青葡萄
浜田はるみ
遠嶺
200709
青葡萄病めるときもさびしい時も
定梶じょう
あを
200709
山鳩の声が森より青葡萄
小林輝子
風土
200710
果樹園に過ぎし日の恋青葡萄
塩田博久
風土
200710
多弁なる人の手のなか青葡萄
黒澤登美枝
200711
秘め事のひとつの欲しき青葡萄
大西洵子
遠嶺
200711
粒ごとに陽の透き通る青葡萄
須藤トモ子
200712
知は力なり一房の青葡萄
東良子
首座星
200804
庭先に十個ほど垂る青葡萄
松崎鉄之介
200809
職退くと友より知らせ青ぶだう
上原重一
200810
医師確と告げたる二音青葡萄
古屋元
200810
山霧のいよいよ迫る青葡萄
小松渓水
酸漿
200810
青葡萄青い時間を揺るるかな
火箱游歩
船団
200901
老いてなほ依怙地直らぬ青ぶどう
鴨下昭
200907
木漏れ日にほぐれし硬さ青葡萄
黒澤登美枝
200908
茶屋町に人の往き来す青葡萄
伊藤敬子
200908
文字を置く一枡ごとや青葡萄
奥山絢子
風土
200910
工場より鉄打つひびきあをぶだう
大島英昭
やぶれ傘
200911
青葡萄まびいてよりの風の道
神山市美
やぶれ傘
200912
青葡萄甲斐の山並染め上げて
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
青葡萄結界として山険し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
山気込め霊気を秘めて青葡萄
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
つるに葉に滴の世界青ぶだう
森理和
あを
201008
青ぶどうゆすれば一つ零れ落つ
鎌倉喜久恵
あを
201008
青葡萄すでになみだの種はらむ
丸井巴水
京鹿子
201009
絵硝子を過ぎる人影青葡萄
安藤久美子
やぶれ傘
201010
青葡萄人恋ひそめし雨の坂
小田明美
春燈
201010
ふつふつと湧き出る怒り青葡萄
高橋泰子
201011
青ぶだう人影もなき農の道
小澤正信
201011
車庫の屋根覆ひ尽して青葡萄
田中春子
雨月
201101
葉の影の深きしづけさ青葡萄 早崎泰江 あを 201108
杖のさす斑明りの青葡萄 成田美代 201110
そのままにゐることならず青葡萄 森理和 あを 201110
バイク屋の軒先つたふ青葡萄 山荘慶子 あを 201110
青葡萄甲斐の遠嶺の暮れなづみ 村上光子 馬醉木 201111
ボルドーの昔日背負ひ青葡萄 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
一枝一房剪定の青葡萄 大日向幸江 あを 201208
騎虎のきほひある房残し青ぶだう 大日向幸江 あを 201208
青ぶだうすこし拗ねたる味したり 久染康子 201210
青葡萄シチリアの海遠かりし 岩月優美子 201210
青葡萄甲斐の稜線彩りて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
武田菱はためく棚の青葡萄 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
都議選は死票にならず青葡萄 森理和 あを 201308
ポケットにワインの小瓶青葡萄 鈴木照子 201310
少年の声は太らず青葡萄 岩月優美子 201310
坂の上の雲のくれなゐ青葡萄 間島あきら 風土 201311
矢印は山廬を指せり青ぶだう 林いづみ 風土 201408
大流星群の夜が明け青葡萄 定梶じょう あを 201408
語り出す華奢な背中や青葡萄 はしもと風里 201409
青葡萄しなのの山は雨を呼ぶ 宮内とし子 201409
青葡萄触れなば弾き返しくる 笹村政子 六花 201410
青ぶだう旧約聖書のインディア紙 塙誠一郎 201410
生さぬ子と遊ぶ父なり青葡萄 小林愛子 万象 201410
獣性のくち薔薇色に青葡萄 堀内一郎 堀内一郎集 201412
どこまでもどこまでも青ぶだう畑 槇野あさ子 風土 201501
子には子の惜む昭和や青葡萄 堀田順子 馬醉木 201508
障害の子等かがやけり青葡萄 山荘慶子 あを 201508
青葡萄まだ山霊のものなりし 近藤喜子 201509
笛吹川の夕日に照らふ青ぶだう 三澤治子 万象 201510
青葡萄学生服の三島の眼 古川夏子 201511
ヴィーナスの背中は広し青葡萄 吉田葎 201609
里山の雨を弾いて青葡萄 大日向幸江 あを 201609
青葡萄十五の不安いとほしく 岡田桃子 201610
百歳に大き夢あり青葡萄 間島あきら 風土 201610
青ぶだう斑に透けるガラス窓 大日向幸江 あを 201707
山へ向かふ道はゆるゆる青葡萄 奥田温子 やぶれ傘 201709
待つ人の必ずゐると青葡萄 石森理和 あを 201709
告発に卓のざわつく青葡萄 あさなが捷 201712
山の端に雲吹きたまる青葡萄 深川淑枝 201811
指先に老いのあつまる青葡萄 亀田虎童子 201910
不揃ひの未来びつしり青ぶだう 佐々木よし子 202001
青葡萄一つぶ一つぶ張り合へる 戸栗末廣 202002
青葡萄三瓶に生れしワイナリー 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
密いふ言葉をなぞり青葡萄 中野千代子 末黒野 202008
青葡萄品格ないと言われても たかはしすなお 202009
丸め持つ角川文庫青ぶだう 加賀荘介 202010
山彦は少年のこゑ青ぶだう 鷺山珀眉 京鹿子 202109
青葡萄日がな脚立に老の影 長尾タイ 末黒野 202109
垣超えてあまた垂れくる青葡萄 佐藤稲子 やぶれ傘 202110
喜寿にして新しき夢青葡萄 川高郷之助 202110
妹亡き窓に垂るるや青ぶだう 三代川玲子 春燈 202112

 

2023年7月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。