杏の花   135句

花杏旅の時間は先へひらけ  森澄雄
作品
作者
掲載誌
掲載年月
杏咲く家と少しは知られけり 小谷部東吾 199902
花杏都心を遠きものとして 稲畑廣太郎 ホトトギス 199903
ふるさとのあの径杏咲きしかも 小宮山勇 青胡桃 199905
この園の望郷の歌杏咲く 山田夏子 雨月 199906
花あんずかがやき流る千曲川 岡村美恵子 春耕 199907
傘寿にて登る長城花杏 松崎鉄之介 199907
鋳物師屋いもじや町散るを急げる花杏 小堀真由美 199907
人様の軒下杏の花盛り 河西志帆 京鹿子 200001
花杏病む人にして髪ゆたか 田中藤穂 水瓶座 200002
結界の奥に一本杏咲く 島田和子 風土 200006
少年をめぐる清流花杏子 松林尚志 海程 200007
老いてなほ兵の面影花杏 松崎鉄之介 200007
大和人の集落なれや花杏 辻享子 六花 200007
花杏行方定まる鯉の髭 土肥屯蕪里 俳句通信 200007
花杏飛んで池石の首飾り 土肥屯蕪里 俳句通信 200007
水底に沈む村里花あんず 辻享子 ヒッポ千番地 200009
村ぢゆうの神かくしかも花杏 清水公治 200101
火事あとを日だまり育つ花あんず 峯尾文世 銀化 200105
花杏けふあたらしき日のさせる 阿部ひろし 酸漿 200105
歌垣の端に風あり花あんず 小澤克己 遠嶺 200106
恋文のやうなメールを花杏 環順子 遠嶺 200106
遠雪嶺信濃の里は花杏 中川濱子 ぐろっけ 200106
日さす枝日のささぬ枝杏咲く 阿部ひろし 酸漿 200204
朝の窓網カーテンに杏咲く 阿部ひろし 酸漿 200204
杏咲く空近しとも遠しとも 阿部ひろし 酸漿 200204
庭はいま杏の花の夕あかり 阿部ひろし 酸漿 200204
花のいろ空に溶けつつ杏咲く 阿部ひろし 酸漿 200205
花杏愛のかたちに車椅子 山田弘子 円虹 200206
花杏雛の鼓動をてのひらに 村上留美子 火星 200206
杏咲きサンドイッチの手籠かな 松下八重美 200207
花あんず鍛冶屋は村を打つてをり 井上菜摘子 京鹿子 200208
居酒屋の暖簾をくぐる杏花村 西本春水 あを 200305
仏きて現に会へる花杏 十川たかし 200306
花あんず目を逸らしたるとき紅し 大久保廣子 火星 200306
花杏天まで枝を伸ばしきる 岡村容子 築港 200306
杏咲くサンローランの色のせて 柴田近江 200307
巴旦杏花の白さに雨上る 田家展子 酸漿 200307
読めぬ字にいつときの恥花杏 内山まり子 風土 200307
のど鳴らし仔牛乳呑む花杏 増田松枝 馬醉木 200308
杏咲く遠嶺は靄に泛びゐて 平井あい子 馬醉木 200312
散りいそぐ杏の花に泣く乙女 大堀鶴侶 雨月 200406
杏咲きはるかなるもの呼びさます 川上恵子 雨月 200406
花杏地平の瘤の烽火台 松崎鉄之介 200406
父の遺品おほかた夫へ杏咲く 荒井千佐代 200406
花杏のこりも亦けぶるなり ほんだゆき 馬醉木 200406
朝の日にひろごる灘や花杏 山本輝明 馬醉木 200407
寺苑より南都一望杏咲く 林範昭 築港 200407
誕生寺守る比丘尼と花あんず 河合佳代子 栴檀 200407
山越えて伊豆に来れり花杏 兼子栄子 酸漿 200409
花杏ガラス戸棚に遺稿あり 上野澄江 百鳥 200506
杏の花揺らすアルプスよりの風 三関浩舟 栴檀 200506
雪富士を借景の庭杏咲く 宮城島たか子 200506
花あんず風邪癒えて髪すこし伸び 田中藤穂 あを 200506
桃あんず並びて咲けり濃く淡く 鎌倉喜久恵 あを 200506
飯食べて句誌を直ぐ読む花杏 長志げを 遠嶺 200507
花杏村に一軒レストラン 南浦輝子 火星 200507
あんずジャム試食杏の花の下 村上葉子 百鳥 200507
すぐ寝つく老いたる兄と花杏 市場基巳 200508
花杏眼下の町を包みけり 竹内文子 遠嶺 200508
杏の花白き麓は日の出前 瀧春一 常念 200606
杏咲く里に櫟の山赭し 瀧春一 常念 200606
花杏午の太陽うるみけり 神長裕子 200606
農鳥岳のうとりに鳥形現るる花あんず 大沢美智子 200607
桃の花杏の花や観世音 雨村敏子 200705
また一人親友が消ゆ花杏 柳生千枝子 火星 200705
やうやうに白む山ぎは花杏 定梶じょう あを 200705
待ちあはす橋のたもとの花杏 岡和絵 火星 200706
文革をのがれし五塔寺杏咲く 柏原章子 200707
梅の花追ひて杏の咲きにけり 原田敦子 酸漿 200805
花もも杏そして満寿夫のエロス 北川英子 200806
花杏千曲川は曲ることに倦み 森岡正作 200806
朝日射す杏の花の雨雫 大西裕 酸漿 200806
二日ほどのずれで逝きたし花杏 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
真つ青な空のひろごり花杏 穴澤光江 遠嶺 200807
あんず咲く信濃を訪はむ師碑訪はむ 千田百里 200807
二次会の店は韓風杏咲く 坂根宏子 200906
ものごころつきたる歩幅花あんず 小形さとる 200906
花杏仏足石を明るうす 犬塚芳子 200906
ふと降りてみたき駅あり花杏 遠藤和彦 遠嶺 200907
娶らばや吾妹よ千代よ花杏 佐藤喜仙 壁炉 200911

 悼藤野寿子

花あんず永別をまだ諾へず

田中藤穂 あを 201005
栄転と云へど遠しや花杏 杉本綾 201006
一樹ただうすもも色に花あんず 新実貞子 201006
暁の杏の花を見に通ふ 谷村幸子 201006
杏咲く普段着のまま街へ出づ 竹内慶子 春燈 201006
立つ風に花びら散らす杏かな 池田いつ子 酸漿 201006
住み古りし家にそひ立つ花杏 満川房子 酸漿 201006
咲き満ちて杏早くも散り急ぐ 満川房子 酸漿 201006
飯綱山も戸隠山も晴れ花あんず 山田春生 万象 201007
みどりごの恥ぢらひ初めて花杏 荒井千佐代 201105
信心も中途半端なり花杏 久津見風牛 201107
花杏一本なれど庭栄ゆる 橋本修平 かさね 201206
燧灘ひかへなだるる杏花村 和田照海 京鹿子 201207
放し飼ふ鶏の遠出やあんず咲く 和田照海 京鹿子 201207
花あんず昼餉のこゑの届く間 和田照海 京鹿子 201207
燧灘に月競り上げて杏花村 和田照海 京鹿子 201207
花杏散り敷き昨夜の雨上がる 吉田きみえ 末黒野 201207
あけぼのの山ぎは白み花杏 定梶じょう あを 201306
花杏ふところ深き峡の空 福地弘子 馬醉木 201307
歯が痛み杏の花のまつ盛り 田中藤穂 あを 201405
朗読の賢治の童話杏咲く 岩上行雄 末黒野 201407
病身の母の遠慮や花杏 亀井紀子 201408
牛吠えて杏の里は花盛り 佐藤三男 万象 201408
残り香をたたむ夕日の花杏 藤井杏愛 京鹿子 201501
咲きみちて杏もの憂き夕曇 田中藤穂 あを 201505
道の辺に見えゐて遠き杏花村 茂木なつ 春燈 201506
花あんず卵とる手をつつかれし 柴田佐知子 201603
杏咲く宇治は茶どころ窯どころ 玉置かよ子 雨月 201606
生れてすぐ立ち上がる牛花杏 宮内とし子 201607
おほかたは吉日の旅花あんず 中島陽華 201610
古着買ふの電話うるさし花杏 田中藤穂 あを 201704
食卓に書を読む日々や花杏 荒井千佐代 201705
母の忌の供花とし庭の花杏 吉田きみえ 末黒野 201707
杏咲く空新しき峡の朝 江見悦子 万象 201708
杏咲く安曇野の峰まだ白し 窪みち子 201708
猫とほり花杏散り眠い午后 田中藤穂 あを 201805
雨戸繰る今朝ほころびし花杏 田中藤穂 あを 201905
杏花村噴煙を負へりやすらかに 水原秋櫻子 馬醉木 201905
牧師館の窓ゆく雲や花杏 鈴木幾久 馬醉木 201907
喪の家の夜明けてきたる花杏 笹村政子 六花 202006
銀杏の花いつも気付かず墓地の道 田中藤穂 あを 202007
いつ散りし杏の花や父の忌過ぐ 安立公彦 春燈 202007
何もかも変りし故郷花杏 平野無石 202009
花杏咲きみちしまま未だ散らず 田中藤穂 あを 202105
故郷は杏の花に埋もれけり 森一枝 末黒野 202107
盆地といふ大きな絵皿杏咲く 直江裕子 京鹿子 202111
花杏恋の思ひ出遠くして 沼田巴字 京鹿子 202203
花杏子雨に濡れたる苔へ散る 藤井美晴 やぶれ傘 202205
四囲ほのと夕映まとふ花杏 安立公彦 春燈 202206
花杏わが身いつまで病みゐるや 安立公彦 春燈 202206
しやんしやんと立ち働きて花杏 秋川泉 あを 202206
束の間を華やぐ古木花杏 末黒野 末黒野 202208
ダライラマ故事茫々の杏花村 塙誠一郎 家系図 202211

2023年4月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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