網 戸      164句

老人よどこも網戸にしてひとり   波多野爽波   舗道の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨を聴く網戸に山気入り来る 稲畑汀子 ホトトギス 199906
破れ網戸はためく中華街の路次 高村信子 春耕 199908
網戸して部屋新しくなりにけり 松本圭司 199909
網戸洗ひ透き来る風の昼寝かな 大橋晄 雨月 199909
網戸あけ又閉め月のまどかなる 林翔 199910
あをあをと網戸押しくる伊豆の山 八木下巌 199912
聖堂の網戸もれくる聖歌かな 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
六甲の風の入り来る網戸かな 稲畑汀子 ホトトギス 200006
網戸してこの世まつたくいぶし銀 村山秀雄 200008
張り替へし網戸に海の匂ひせり 石田邦子 遠嶺 200009
網戸中アイロン台の足三本 飯塚ゑ子 火星 200010
犬と来て男網戸を直して去る 津波古江津子 海程 200010
寝ころんで月蝕を観る網戸越し 足利ロ子 ぐろっけ 200010
網戸より天気這入つて来りけり 粟津松彩子 ホトトギス 200011
菜食や網戸の雨に灯が咲いて 岡本眸 200011
庭の風招く網戸や虚子旧居 稲畑汀子 ホトトギス 200105
雨の音捉へはじめし網戸かな 稲畑汀子 ホトトギス 200106
曲は今緩徐楽章網戸越し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200106
よき風を欲りて網戸を開けはなつ 中西道子 百鳥 200109
高階の網戸に遠き街の音 中西道子 百鳥 200109
網戸ごしの月もおもしろ開けてなほ 林翔 200109
森の家網戸に残る蝉の殻 長谷川登美 ぐろっけ 200111
片思いたとえば網戸越しの星 ゆにえす 船団 200112
網戸拭く無数に草の絮が付き 山口和子 ぐろっけ 200201
青網戸入れて咋日を遠くせる 鷹羽狩行 200206
機嫌よく網戸すべりぬ癒え初めし 千田百里 200208
しらじらと風が網戸を抜けて来る 筧節子 築港 200212
障子流ひ網戸洗ひて神無月 石川元子 酸漿 200301
一枚の網戸の風に稿まとめ 稲畑汀子 ホトトギス 200306
網戸して夜の山気をほしいまま 島谷征良 風土 200309
猫の爪音なく開きし網戸かな 奥田弦鬼 風土 200309
かなかなの一鳴網戸ふるはせて 中緒和子 酸漿 200310
灯を恋うて網戸を打てる蝉のあり 石川元子 酸漿 200311
網戸より人の生活の動きみゆ 多田節子 雨月 200311
唖蝉の網戸にすがりなにか待つ 道具永吉 対岸 200311
苦瓜や網戸にすがり育ちをり 山嵜ヤス子 酸漿 200401
みちのくの網戸の風に旅装解く 稲畑汀子 ホトトギス 200407
いちにちを降りつぐ雨を網戸越し 志水千代子 雲の峰 200408
六甲の風を誘ふ網戸かな 志水芳秀 雲の峰 200408
網戸入れ独りの煮炊きけぶらする 中尾杏子 200409
夫の忌や網戸の風に百合ひらく 村井洋子 酸漿 200409
かなぶんが四肢からませて網戸に絶ゆ 長崎桂子 あを 200409
蚊の腹をしげしげと見る網戸ごし 林翔 200508
籠の鳥鳴けり網戸を張り直す 浜明史 風土 200508
風青し洗ひ上げたる網戸より 中嶋昌子 春燈 200509
事務職も網戸作りや更衣 横山庄一 百鳥 200509
網戸越し猿の覗く昼下り 長島操 万象 200511
網戸より攻め入る如しくつわ虫 坂元フミ子 河鹿 200512
網戸つかみいきなり鳴ける夜蝉あり 乗光雅子 雨月 200512
網戸てふ結界ありて君と僕 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
猫が居て子がゐて網戸裏表 稲畑汀子 ホトトギス 200606
妻病みて網戸の毛虫怖がれり 今井梔子 200608
新しき網戸に浜の風しきり 荒木治代 ぐろっけ 200609
細やかに風の通へる網戸かな 中島静子 酸漿 200609
風死すや網戸ごしなる庭の草 KOKIA 六花 200609
客去りて網戸の風に切替ふる 舛田初惠 酸漿 200610
笊蕎麦に浅間の風を網戸越し 菅沼義忠 200611
網戸入るるや青々と夜の文目 辻直美 200611
網戸より山気とどむるすべのなし 稲畑汀子 ホトトギス 200707
マンションの八階網戸なき暮し 稲畑汀子 ホトトギス 200707
蛾眉の月西空に透く青網戸 藤岡紫水 京鹿子 200709
消灯になだれ網戸の月明り 根岸善行 風土 200709
網戸入れ少し変へたき暮し向 久保田嘉郎 酸漿 200709
蛾の掴む網戸震へてをりにけり 山田六甲 六花 200709
本尊に網戸二枚の真新し 大山文子 火星 200710
網戸はめ技こだはりの西陣織 林日圓 京鹿子 200806
風通す言霊通す網戸かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
張り替へて五月の透ける網戸かな 岡野ひろ子 200807
その先は三途の川原てふ網戸 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
束の間の休息網戸越しの夜 倉持梨恵 200809
べたべたと闇が張りつく網戸かな 高倉和子 200809
蚊の姥が足忘れゆく網戸かな 吉村摂護 200809
乱世は網戸の外にありにけり 竹下陶子 ホトトギス 200812
この風に網戸の欲しき泊りかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
青網戸開けほんたうの富士の風 浜口高子 火星 200909
網戸越し福祉の寄付を呼びかける 鈴木てるみ はらから 200911
出せばすぐ猫かけのぼる網戸かな 青木朋子 200911
網戸から内緒話の漏れ出づる 中島玉五郎 201007
明暗のさだかに網戸越しの庭 片山由美子 201008
拭き上げて網戸涼しくなりにけり ことり 六花 201008
森の闇押しくる網戸入れにけり 南うみを 風土 201009
目を凝らす網戸の外の世の中に 高倉和子 201009
網戸よりさやさやの風貰ひけり 清水侑久子 201010
田蛙の俄か網戸のほつれかな 浜口高子 火星 201010
飛来り網戸に蝉の当る音 池田いつ子 酸漿 201011
仏壇へまつすぐな風青網戸 細川洋子 201108
網戸越しつと見れば妻庭仕事 松岡三夫 201108
網戸より覗かれてゐるこの世かな 高倉和子 201109
さざめいて網戸をすける越の海 服部早苗 201109
網戸透く月満ちてをり仕舞風呂 鈴木礼子 末黒野 201110
転び寝や網戸を抜けて届く風 伴秋草 末黒野 201110
張り替へし網戸に蝉の腹動く 岩下芳子 201110
網戸開け放つあとさき考へず だいじみどり 201111
裏口の網戸を通る定期船 小林朱夏 201204
窓開く網戸に朝の潮雫 田中臥石 末黒野 201210
菜園を渡り来る風網戸越し 鈴木礼子 末黒野 201210
網戸先づ朝一番の風を入れ 宮崎正 ホトトギス 201211
風も声も庭と往き来の網戸かな 井上浩一郎 ホトトギス 201211
ひと声を網戸に落し夜の蝉 大川暉美 末黒野 201211
網戸立て囚はれ虫の気持ちかな 布川直幸 201307
網戸して隔てられたるこころもち 松田明子 201310
網戸一枚隔てて女は別の女 貝森光洋 六花 201311
網戸より三味の流るる夕べかな 樋口みのぶ 201312
向う三軒こゑが網戸を通りけり 西田孝 ろんど 201409
男子校の声の聞こゆる網戸かな 涼野海音 火星 201409
夜の五更風の湿りも網戸越し 藤岡紫水 京鹿子 201409
夕月や網戸をくぐる海の風 小川玉泉 末黒野 201410
訪問販売ことはつてゐる網戸越し 柴田志津子 201411
うす日さす網戸の中は仁王像 箕輪カオル 201508
網戸して夜の気配を聞いてゐる 安居正浩 201508
貧しき餉に網戸の風といふ馳走 大村仍子 雨月 201509
朝凪の海透く網戸潮雫 田中臥石 末黒野 201511
網戸して濁世を遠く老二人 石川倜子 馬醉木 201512
病窓の網戸を剥がす夕野分 小渕二美江 春燈 201601
金粉を網戸に残し火取虫 今井妙子 雨月 201608
夜の網戸団欒の声透き通る 宮坂秋湖 201608
つんのめる網戸の車輪梅雨寒し 中嶋陽子 風土 201609
団欒の灯こぼるる網戸かな 稲岡みち子 雨月 201609
片泊り瀬音しづかに網戸越し 佐々木新 春燈 201610
野良猫の網戸を開けて入りくる 小山陽子 やぶれ傘 201610
網戸抜け青き匂ひの夜風かな 小田嶋野笛 末黒野 201611
百年の旧家網戸の綻びて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
潮風に網戸染め上げられてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
網戸越し火星弾けてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
声閉ざすことの叶はぬ網戸かな 稲畑汀子 ホトトギス 201706
網戸打つこたびの虫は何なるや 辻美奈子 201708
風に乗り芝刈る音や網戸越し 黒澤佳子 あを 201708
そと海のあをさの網戸たててけり 定梶じょう あを 201708
書を開く網戸の風のよき加減 安藤久美子 やぶれ傘 201708
黒揚羽網戸に大き息をして 山下良江 万象 201710
沢音の押しよせてくる青網戸 服部早苗 201801
ある如くなき如くあり網戸かな 稲畑汀子 ホトトギス 201806
夕はじめ網戸の先に猫の声 篠崎志津子 六花 201810
青葉透く窓や網戸の雨零 田中臥石 末黒野 201810
灯を消せば網戸に迫る山の闇 今橋眞理子 ホトトギス 201811
雨粒に塞がれてゐる網戸かな 住田千代子 野に遊ぶ 201811
風絶えてそこに網戸のあるばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201906
勝手口出入り自由の網戸かな 稲畑汀子 ホトトギス 201906
筒抜けの声が網戸に加はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201906
網戸より洩れくる五番五楽章 稲畑廣太郎 ホトトギス 201906
くぐみ鳴く鳩の来てをり網戸越し 笹村政子 六花 201909
網戸より夕餉を猫に覗かるる 苑実耶 201911
網戸透く鵜の群るる松林 田中臥石 末黒野 201911
網戸して村の田水のかんばしく 南うみを 風土 202007
即席の網戸を張るや雨の昼 篠田大佳 あを 202009
網戸越し夫とすずめの会話密 篠田純子 あを 202010
通さるる部屋や網戸の景が待つ 安原葉 ホトトギス 202011
網戸して隠れ棲むかに灯せる 赤川誓城 ホトトギス 202101
網戸より声かけてゐる自治会長 秋津令 202102
網戸して森のすだまの声聞かむ 南うみを 風土 202109
日記書く網戸の風に三日分 上迫和海 ホトトギス 202112
餌を欲る猫が網戸へ飛びつけり 栗原京子 202112
風灼けや網戸を洗ひ風洗ふ 七郎衛門吉保 あを 202208
たまゆらの夜風入り来し網戸より 和田華凛 ホトトギス 202211

 

2023年5月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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