秋黴雨     88句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
井戸に張る苔ふつくらと秋黴雨 木下節子 俳句通信 199912
償いの曲がりくねって秋黴雨 片岡秀樹 海程 200001
秋ついり爪先立ちを日に三度 竹部千代 200011
竹箸の匂うてゐたり秋黴雨 加藤みき 200112
扇形に繰り出すワイパー秋ついり うまきいつこ 200212
季語と言ふこの厄介なもの秋黴雨 小林清之介 風土 200301
酒蔵の重たき引戸秋黴雨 三栖隆介 200301
富士仰ぐ期待捨てよと秋黴雨 安原葉 ホトトギス 200302
心眼で見よと富士置く秋黴雨 田中由子 ホトトギス 200302
秋黴雨突きて灯台のぼりけり 古田考鵬 雨月 200302
一筆箋のつもりが五枚秋黴雨 山元志津香 八千草 200305
蓮の葉によき音たてて秋ついり 朝妻力 雲の峰 200309
秋ついり園の玉砂利踏みゆけり 金子つとむ 雲の峰 200310
はなれ来し病棟灯る秋黴雨 岡田和子 馬醉木 200311
秋ついり焼板塀の路地匂ふ 木下節子 雲の峰 200311
地下鉄の深き階段秋黴雨 沖増修治 百鳥 200312
開封をためらふ信書秋黴雨 品川鈴子 ぐろっけ 200410
古書店のカストリ雑誌秋黴雨 須佐薫子 帆船 200411
瀬戸内の雲に雲寄る秋黴雨 北村菜々子 草の花 200412
秋黴雨けぶり音なき寺の町 栗原公子 200412
捨て網で岩窪みてり秋黴雨 石橋林石 200412
内子座は太き鴨居の秋黴雨 北村菜々子 草の花 200412
パソコンを眺めるばかり秋黴雨 鎌倉喜久恵 あを 200412
秋黴雨蝋燭の火がしんと立つ 中山純子 万象 200501
紅絹裏の形見を解くや秋黴雨 山本浪子 風土 200501
夢殿に耳置いてくる秋黴雨 若泉真樹 200505
白内障かてて加へて秋黴雨 大橋敦子 雨月 200511
あやとりの指よく動く秋黴雨 田中藤穂 あを 200512
雁の家もいまはマンション秋黴雨 鈴木榮子 春燈 200512
秋黴雨喜寿の姉より長電話 池田博子 四葩 200601
秋黴雨ムーンライトソナタでも聴かな 山元志津香 八千草 200602
余白なき父母への葉書秋黴雨 石原光徳 酸漿 200611
乃木旧居軋む階段秋黴雨 木野裕美 ぐろっけ 200612
秋黴雨あや目もわかぬ海と空 福田孝子 馬醉木 200702
用もなく子へ電話する秋黴雨 上林孝子 200702
剪らねばの徒長枝あまた秋黴雨 塩田博久 風土 200711
秋黴雨紺屋茶ばかり飲んでをり 西山薫 200801
お狐さんの鼻のとがりや秋黴雨 折島光江 炎環 200812
秋黴雨真砂をあるく鹿の足 渡邊美保 火星 200812
秋ついり東京タワーの赤き脚 篠田純子 あを 200812
結界に阿吽の天狗秋黴雨 北村香朗 京鹿子 200901
目つむれば鈴ふる声の秋黴雨 島田麻衣 炎環 200901
秋黴雨淡海の暗さ深めけり 石原光徳 酸漿 200901
秋黴雨木肌の柔し紀元杉 勝野薫 ぐろっけ 200901
政談に耳貸してみる秋ついり 森山のりこ あを 200911
秋黴雨誰も来ぬ日の香を聴く 伊藤たか子 遠嶺 200912
名刹の松に音なく秋黴雨 加藤克 200912
水紋の生滅秋の黴雨かな 坂上香菜 200912
らくがんのほろとこぼれし秋黴雨 近藤紀子 201001
熱き茶を欲してふ妻や秋黴雨 田中臥石 末黒野 201001
学僧の窓に凭るる秋黴雨 篠田純子 あを 201012
秋黴雨ギターの絃の錆びしまま 山本浪子 風土 201012
堂内の経わんわんと秋黴雨 篠田純子 あを 201012
ゆりの木の鮫肌の幹秋黴雨 小川玉泉 末黒野 201101
畝ごとに異なる野菜秋黴雨 渡邉孝彦 やぶれ傘 201101
竜神の潜む大池秋黴雨 陶山泰子 ぐろっけ 201101
パステルに多摩を染め上げ秋黴雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
祝ぎ事に急ぐ車に秋黴雨 向江醇子 ぐろっけ 201201
秋黴雨肉球冷えし猫帰る 吉井潤 ぐろっけ 201402
秋ついりこの頃外にも慣れ出づる 四條進 201411
秋黴雨ガラスケースにバイオリン 安藤久美子 やぶれ傘 201412
秋黴雨指の先まで投函す 原田達夫 箱火鉢 201511
空白くうつる湖秋黴雨 大島英昭 やぶれ傘 201511
秋黴雨叩いて開ける小抽出し 久染康子 201511
ともしびの火影流るる秋黴雨 寺田すず江 201512
夕焼けを見ず幾日ぞ秋ついり 飛高隆夫 万象 201512
秋黴雨参道に敷く荒筵 茂木弘子 万象 201512
合羽着て声出し「反対」秋黴雨 七郎衛門吉保 あを 201512
まとまらぬ窓の水滴秋黴雨 柿沼盟子 風土 201512
秋黴雨早仕舞せる文具店 阿部澄 万象 201701
秋黴雨動くと見えぬ一艀 庵原敏典 末黒野 201704
上り下り待つ踏切や秋黴雨 江見悦子 万象 201712
秋黴雨がんもに味のしみわたり 松井季湖 201712
音もなく阿夫利嶺かくし秋黴雨 石黒興平 末黒野 201712
秋黴雨母の記憶のあやうさよ 松井季湖 201812
行き場なき除染の土や秋黴雨 室井津与志 春燈 201812
秋黴雨母の記憶のあやうさよ 松井季湖 201901
挨拶の言葉途切れる秋黴雨 伊藤希眸 京鹿子 201912
友よりの絵手紙にじむ秋黴雨 菅野日出子 末黒野 202001
秋黴雨網を繕ふ老の影 長尾タイ 末黒野 202004
調律の音が幾度も秋黴雨 中川幸恵 202101
疫病禍の故郷は遠し秋黴雨 池乗恵美子 末黒野 202102
鼠の喰ふ毒はももいろ秋黴雨 篠田大佳 あを 202111
秋黴雨高層ビル群総洗ひ 亀井福恵 京鹿子 202112
丹沢の嶺々粛条と秋黴雨 石黒興平 末黒野 202201
剥落の丸型ポスト秋黴雨 宮元陽子 末黒野 202301
山々の色消しゆくや秋黴雨 黒滝志麻子 末黒野 202302
庭園に色を足しゆく秋黴雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 202310

 

2023年10月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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