秋の野 (秋郊・秋野)        70句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋郊の湖畔ゆるりと駆けゆけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
199910
秋の野に五感のひとつ置いて来し
中谷まもる
火星
200001
秋の野に音叉の形で転びたり
吉川真実
海程
200002
寸鉄を帯びずに秋の野に立てり
宇都宮滴水
京鹿子
200011
比良夫貝放ち秋野の猿田彦
中島陽華
200101
捨猫に心の残る秋の野路
斉藤陽子
雨月
200112
月山を遠く秋野の道しるべ
河合笑子
あを
200201
秋野より鳥一斉に飛び立てり
山口和子
ぐろっけ
200201
秋の野は淋し光に満ちながら
稲岡長
ホトトギス
200202
秋の野として飛鳥野は静まれり
稲岡長
ホトトギス
200202
秋の野に耳をあづけてゐる静寂
稲畑汀子
ホトトギス
200210
秋郊へ縞の遮断機はね上がり
生田恵美子
風土
200212
秋の野や素手にて食らふ握り飯
堀一郎
雲の峰
200212
秋の野に積荷おろしてをりにけり
高橋将夫
200212
秋野来て源氏絵巻の中に浮く
服部郁史
京鹿子
200303
秋郊の夫婦手提は夫が持つ
岡本眸
200310

 創刊百五十号記念大会

大日や秋の野に立つ金字塔

高橋将夫
200401
秋郊といふ武蔵野に大和路に
稲畑廣太郎
ホトトギス
200410
七草の氾濫秋の野に遊ぶ
藤田輝枝
対岸
200411
紙コップ紙皿秋の野に遊ぶ
櫻井幹郎
百鳥
200411
血の色を好む外科医を秋の野へ
丸井巴水
京鹿子
200501
巖群は天ゆなだれて野の秋へ
瀧春一
菜園
200509
伽石も句碑も秋野の一部分
稲畑汀子
ホトトギス
200510
人の世のしがらみを抜け秋野かな
高橋将夫
200510
秋の野に散らばりえにし深めけり
大串章
百鳥
200511
嵯峨野線トロツコ電車秋の野路
河合佳代子
栴檀
200512
秋野より土産の花材一握り
菊地英雄
酸漿
200612
水底のやうな日の差す秋野かな
田尻勝子
六甲
200703
風吹かば風の色なす秋野かな
笹村政子
六花
200711
トンネルを抜け秋の野へ一直線
芹沢千春
炎環
200811
秋野舞ふ姫扇より舞扇
小澤克己
遠嶺
200811
秋の野の碑は万葉の置き手紙
伊東和子
200812
遊芸の書にさながらの秋野行
小澤克己
遠嶺
200812
夕暮れの秋野にトランペットの音
岩月優美子
200901
秋の野に仏を風と訪ねけり
佐野功
遠嶺
201001
病よき人を秋野にいざなはん
山田弘子
ホトトギス
201003
風少し荒しと思ふ秋の野に
稲畑汀子
ホトトギス
201010
秋野原坐れる石の温度かな
常田創
201011
秋の野の芯に牛らの塩くれ場
淺場英彦
万象
201101
遠三上まで秋の野をつなぐ水
浅野香澄
京鹿子
201102
手を引いて秋の野川へ下りにけり 大坪景章 万象 201110
秋の野につぎ当てズボン老学者 伊藤和子 201112
身近なる白秋の野辺日は真上 鈴木初音 201201
津波きて只一面の秋野原 赤座典子 あを 201211
秋野には徒然草が生えてをる 高橋将夫 201211
秋の野に万葉の歌碑あまた並め 大橋晄 雨月 201212
秋の野は千変万化色の壷 山本達人 かさね 201212
布を織るやうに色づく秋野かな 高橋和枝 201310
庭と呼ぶよりも秋の野とぞ呼ばむ ことり 六花 201311
秋郊にふるさとを見る旅住まひ 川崎雅子 春燈 201311
聞き返すことはもう無く秋野駈け 石坂比呂子 ろんど 201312
ハモニカの程よき重さ秋野坐す 丸井巴水 京鹿子 201312
秋郊のキャベツ玉なす古墳塚 田中臥石 末黒野 201401
秋草を句座に秋野の縮図とし 大橋晄 雨月 201401
秋の野は詩情あふるる四重奏 飯田美千子 201411
秋の野の夜は果てなし虫と風 有松洋子 201412
秋の野に蛇の名問へば山かがし 松本文一郎 六花 201412
秋の野に展べ学生の設計図 山田美恵子 火星 201501
秋の野に群れ咲く小花うす紫 水谷直子 京鹿子 201501
秋の野嬰栗の謂はば偏屈形振りの 柳本渓光 ろんど 201502
秋の野はトランペットのためにある 早瀬淳一 船団 201502
風のごと僧わたりくる秋野かな 大内マキ子 万象 201511
秋野行く山のあなたを口遊み 松本三千夫 末黒野 201511
秋野行く高倉健の遥かなり 谷岡尚美 201602
秋郊やどんどん先へ行く二人 湯川雅 ホトトギス 201702
島裏の海になだるる秋野かな 石黒興平 末黒野 201702
咲けるもの散り急ぐもの秋の野に 稲畑汀子 ホトトギス 201810
さまよひて迷路の如き秋の野に 稲畑汀子 ホトトギス 201810
秋野へと園児の赤帽列なして 三羽永治 201811
深秋の野に天平の石ひとつ 落合絹代 雨月 201901
秋の野を太子疾走馬の像 今泉忠芳 ある日の滴 201912
夕さりの秋野に座せば人恋し 高木邦雄 末黒野 202002
子が爺を追ひ麦秋の野を駈ける 遠藤泉 202009
金秋の野山恋ひけり疫病なか 伊藤由良 末黒野 202103
秋の野の風のはたてに牧水碑 木村傘休 春燈 202111
秋の野をかきわけ走るローカル線 山口地翠 春燈 202112
夢での死告げずに秋の野に遊ぶ 直江裕子 京鹿子 202301

 

2023年9月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。