秋の蠅     63句


作品
作者
掲載誌
掲載年月
新聞の文字うごきけり秋の蠅 阿部晶子 199812
秋の蠅松の鱗を這うてをり 山尾玉藻 火星 199812
秋の蝿やぎの背中でまどろんで 小枝恵美子 船団 199912
秋の蝿ときどき羽音立てにけり 徳丸峻二 風土 199912
ユトリロの白き壁這ふ秋の蠅 石橋萬里 ぐろっけ 200101
秋の蠅大英博物館昼下り 保田英太郎 風土 200102
お茶室に殺菌力あり秋の蠅 寺田良治 船団 200103
抱きたくて泣きたくて秋の蝿払う 中原梓 海程 200106
一匹叩き三匹は逃げ秋の蝿 吉田さかえ 海程 200108
一日をおろかに過す秋の蠅 橋本榮治 馬醉木 200110
秋耕や土塊に蠅とまりゐる 大串章 百鳥 200112
パン焼きの余熱に寄れる秋の蠅 向江醇子 ぐろっけ 200201
秋の蝿ぬくもつてゐる鍋の蓋 志方章子 六花 200212
秋の蠅払へば落ちて歩きゐる 田中子 円虹 200212
飛ぶといふ構へもあらず秋の蠅 橋本佐智 円虹 200212
ふつくらと瑠璃いろなりき秋の蝿 加藤みき 200311
秋の蠅追へばよろけてしまひけり 白井墨絵 遠嶺 200401
秋の蠅目で追い唱う一茶の句 藤原りくを 八千草 200404
秋の蠅まぶた重たき日なりけり 戸栗末廣 火星 200412
秋の蝿一匹連れて吉野屋へ 新井裕 六花 200501
ごたごたと机上を広げ秋の蠅 斎藤博子 対岸 200501
秋の蠅ゴム鉄砲で仕留めらる 亀澤淑子 万象 200502
巖の秀に秋清淨の蠅とべり 瀧春一 菜園 200509
秋の蠅洗濯物に寄りたがり 三橋早苗 ぐろっけ 200601
秋の蝿かならず戻る玻璃の内 伊藤早苗 200601
空に出て金蠅美しき麦の秋 戸栗末廣 火星 200603
飲食 のものみな菩薩秋の蠅 瀧春一 常念 200606
秋の蠅淋しがり屋にまとひつく 笹原紀世子 200612
秋蠅も二、三が渡る墨田川 坪内稔典 坪内稔典句集U 200804
叩かれもせず生きのびし秋の蝿 小林正史 200812
金賞の楷書体詩に秋の蝿 吉田裕志 200901
ビーカーの後にまはる秋の蠅 山尾玉藻 火星 201011
新穂高秋の蝿まふ展望台 武田ともこ ぐろっけ 201012
秋の蝿パン職人に打たれおり 鈴木てるみ ぐろっけ 201012
ガラス戸にぶつかり続け秋の蠅 藤井美晴 やぶれ傘 201201
サンドイッチに脚をかけたる秋の蠅 亀井紀子 201205
秋の蝿電車の床を歩きをり 藤原若菜 春燈 201211
灘日和渡船に秋の蝿叩き 和田照海 京鹿子 201302
グルメでは秋の蠅にも劣らざる 山田六甲 六花 201310
巡回のナースと入りし秋の蝿 大日向幸江 あを 201311
日の翳りさつと日向へ秋の蠅 森理和 あを 201312
座禅の膝人蟄す秋の蠅が来る 瀧春一 花石榴 201312
擦り終わり手足のきれいな秋の蠅 貝森光洋 六花 201401
露天湯に置かれて秋の蠅叩き 工藤ミネ子 風土 201402
秋日濃し生家に残る蠅取器 菊川俊朗 201501
焼魚現れたるは秋の蝿 森山あつ子 六花 201501
やはらかく緑に光る秋の蝿 橋本順子 201501
悟り開いて飛ぶかおい秋の蠅 長谷川博 船団 201505
秋の蠅日向日向へ身をずらす 大崎紀夫 虻の昼 201510
俎板が干され近くに秋の蠅 大崎紀夫 やぶれ傘 201701
傍らに秋の蠅居り爪を切る 七郎衛門吉保 あを 201701
墨舐めてかしこくなりぬ秋の蠅 中川句寿夫 ここのもん 201705
かつら屋と言へる句宿や秋の蠅 佐藤雄二 万象 201712
秋の蝿大砲の口覗きゐる 岩下芳子 201801
出せば出る力や秋の蠅歩む 三上程子 風聴くや 202003
古着屋で羽織る物みる秋の蠅 三木亨 202112
漱石の墓に太れる秋の蠅 森岡正作 202112
うたた寝の猫の頭に秋の蠅 伊藤薫 やぶれ傘 202112
珈琲を淹るる机上や秋の蠅 尾崎千代一 末黒野 202201
生まれ出て秋の蝿とはつい知らず 山田健太 風土 202202
陋屋に棲着くらしき秋の蠅 鈴木直充 春燈 202211
落とし湯に巻かれてゆきぬ秋の蠅 秋津令 202212
ひと部屋を廻り出てゆく秋の蝿 小泉里香 やぶれ傘 202302

 

2023年9月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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