秋の昼     194句

大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼    岡井省二

作品
作者
掲載誌
掲載年月
木屋町といふ裏表紙秋の昼
奥田筆子
京鹿子
199901
尼僧二人差向ひゐて秋の昼
宮津昭彦
199901
象番が鍵束鳴らす秋の昼
夏秋明早
火星
200001
薬指深爪をして秋の昼
二瓶洋子
六花
200002
秋の昼彼女の嘘のばれ具合
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
水族館に數の眼や秋の昼
岡井省二
200009
束ねある竹鳴りにけり秋の昼
山尾玉藻
火星
200010
鈴の音こぼして巫女や秋の昼
中村祐子
200012
秋の昼あまたの薔薇の一つ散り
盛良孝
200101
石に文彫つて飯食ふ秋の晝
岡井省二
200110
秋の晝布巾の下の箸茶碗
佐藤喜孝
あを
200112
墨をすりこころ鎮まる秋の昼
芝尚子
あを
200112
鍋の貝ああああああと秋の昼
内田美紗
船団
200201
秋の昼廓格子の身だしなみ
奥田筆子
京鹿子
200202
陶硯はそのままなりし秋の昼
谷村幸子
200202
膝枕されて謡(うたひ)や秋の昼
延広禎一
200202
筋かひに八ツ橋本舗秋の昼
元田千重
火星
200202
墓石屋の奥行もなき秋の昼
戸田喜久子
200202
さびしさに座り直せし秋の昼
嵯峨根鈴子
火星
200211
死ねば口大きく凹む秋の昼
嵯峨根鈴子
火星
200211
秋の晝こころの好きなやうにして
中原道夫
銀化
200211
風音の七堂伽藍秋の昼
上田祥子
遠嶺
200212
地獄絵に川流れゐる秋の昼
山尾玉藻
火星
200212
林家氏祠でお茶をいただいく秋の昼
松崎鉄之介
200301
うしろから佛をのぞく秋の昼
谷口佳世子
200301
乙訓の竹伐る音の秋の昼
浜口高子
火星
200302
秋の昼釘打つほかは音のなし
真保喜代子
200302
修復の仁王を包む秋の昼
吉田康子
青山椒
200303
手習ひの朱筆の匂ふ秋の昼
岡本明美
雲の峰
200311
友だちのひとりが帰る秋の昼
冨田正吉
200311
恐竜にあぎとありけり秋の昼
深澤鱶
火星
200312
経聞こえ来しマンションの秋の昼
伊藤多恵子
火星
200401
乳呑子とあくんおくんと秋の昼
中島霞
ぐろっけ
200401
不意に鳴る無人ピアノや秋の昼
野中啓子
200402
針孔のすんなり通る秋の昼
西澤ひで子
遠嶺
200411
秋の昼公園は木が立つばかり
宮津昭彦
200411
力石の湿りてゐたる秋の昼
吉田康子
火星
200412
灯台のしづか過ぎたる秋の昼
宮津昭彦
200511
秋の昼水を使へば手の濡れて
松たかし
火星
200511
皮椅子をきゆつと立ちたり秋の昼
浜口高子
火星
200511
一刀彫の猩々の舞秋の昼
谷岡尚美
200512
人形を燃してもらふ秋の晝
水野恒彦
200512
秋の昼漆の匂ふ城に入る
松山直美
火星
200512
三角の小さな公園秋の晝
山荘慶子
あを
200603
干し蛸の間に顔や秋の昼
山尾玉藻
火星
200610
秋の昼孔雀にちよんと顔のある
城孝子
火星
200611
秋の昼仔牛に指を吸はれけり
松下八重美
200612
ゴビ灘に煙上ぐるパオ秋の昼
宇田紀代
200612
武家屋敷の納戸空つぽ秋の昼
東亜未
あを
200612
秋の昼告ぐ聴鐘の音は錆びず
丸井巴水
京鹿子
200702
袋から出す役ばかり秋の昼
中原幸子
以上、西陣から
200705
區役所の窓口にある秋の晝
佐藤喜孝
あを
200710
湖へかはらけ投げし秋の昼
丸山照子
火星
200711
己が影追ひ行く鳩や秋の昼
ことり
六花
200711
目の壺を押へ目つむる秋の昼
宮津昭彦
200712
秋の昼蔵の閂さしに行く
中村洋子
風土
200712
秋の昼近所の猫に呼ばれたる
杉浦典子
火星
200712
秋の昼パブロ・ピカソに観られけり
本多俊子
200801
母の字の封筒ひらく秋の昼
飯塚ゑ子
火星
200802
秋の昼輪ゴム二、三に用もなし
坪内稔典
稔典句集U
200804
しろがねのパイプオルガン秋の昼
吉田悦花
炎環
200811
秋の昼織機に鏡ぶらさがる
岡田由季
炎環
200811
舟屋より舟屋見てゐる秋の昼
山尾玉藻
火星
200811
すみずみに響むピアニシモ秋の昼
加藤みき
200901
秋の昼堅田の鬼が酒買ひに
岡本高明
船団
200901
しなやかに鯉の尾鰭や秋の昼
荒井千佐代
200901
投函の微かな音や秋の昼
大木清美子
200902
秋の昼亡き母の声したやうな
柳生千枝子
火星
200906
仰ぎ見るからくり時計秋の昼
吉田もと子
200911
秋の晝障子の框背に痛し
佐藤喜孝
あを
200911
尼さまの法話に浸る秋の昼
五十嵐勉
200912
巻寿司の切腹したり秋の昼
中田禎子
200912
秋の昼こごみ入りける土の家
天谷翔子
火星
200912
作品展老どち集ふ秋の昼
芝宮須磨子
あを
200912
墓ひとつひとつ見てゆく秋の昼
柴田佐知子
201002
杭に擋網被せる釣師秋の昼
渡邉孝彦
やぶれ傘
201004
船に紐張つて魚干す秋の昼
大崎紀夫
やぶれ傘
201011
猫よけの水のくすみや秋の昼
吉成美代子
あを
201011
秋の昼勾玉になほ触れたがる
加藤みき
201012
医通ひの舗装路灼くる秋の昼
吉田きみえ
末黒野
201012
足もとに水流れくる秋の昼
山尾玉藻
火星
201012
たれかれの如来に座する秋の昼
蘭定かず子
火星
201012
水底に水噴き出づる秋の昼
松井倫子
火星
201012
ひとの影人にまぎるる秋の昼
藤井美晴
やぶれ傘
201101
文房具店にポストや秋の昼
大島英昭
やぶれ傘
201102
堂堂たる体躯の女医と秋の昼
山本鬼之介
201105
父寄せて敷布を替ふる秋の昼 柴田佐知子 201111
秋の昼天井白き検診台 吉成美代子 あを 201110
平坦な声の電話や秋の昼 ことり 六花 201112
サッパ舟の待ち客多し秋の昼 原田達夫 201201
宙に浮かぶ廟の唐破風秋の昼 呉文宗 春燈 201201
垣根より介護師の声秋の昼 古井公代 ぐろっけ 201201
新聞紙きちんと畳む秋の昼 陽山道子 船団 201201
通りしな眼鏡を洗ふ秋の昼 根橋宏次 やぶれ傘 201201
秋の昼ふはりと眠くなりにけり 吉成美代子 あを 201210
あたふたと二礼二拍の秋の昼 吉成美代子 あを 201210
陪冢のやうに墓立つ秋の昼 布川直幸 201211
鳥うごき鳥籠うごく秋の昼 山城孝子 火星 201212
うす紙に丁子のにほふ秋の昼 蘭定かず子 火星 201212
母の指伸ばして洗ふ秋の昼 高倉和子 201212
石に樹に古りし貌あり秋の昼 坂口夫佐子 火星 201301
妓王寺の畳のほつれ秋の昼 浜口高子 火星 201301
鳥小屋に時計の掛かる秋の昼 藤本千鶴子 火星 201301
鯉はねてあたり動きし秋の昼 谷村幸子 201302
猫までも出払つてゐる秋の昼 亀井紀子 201311
携帯で携帯探す秋の昼 高橋将夫 201312
折り紙の教室に居る秋の昼 池田よし子 やぶれ傘 201312
年寄が木の実をくだく秋の昼 田島昭久 かさね 201312
陽向では背広片手に秋の昼 丸山酔宵子 かさね 201401
白壁にセピアの日影秋の昼 加藤みき 201401
湯上りを天狗に見らる秋の昼 竹中一花 201401
鎧戸を塗り替へてゐる秋の昼 根橋宏次 やぶれ傘 201411
秋の昼一見さんはお断り 山田六甲 六花 201411
秋の昼木屋町通人気なく 山田六甲 六花 201411
シーソーを遊ぶ子もなし秋の昼 山田六甲 六花 201411
パトカーに遠吠え返す秋の昼 鈴木みのり 201412
椅子一つ空けて男の秋の昼 つじあきこ 201412
よろづ屋の昏きより猫秋の昼 荒井千佐代 201501
浅草の雀歩道に秋の昼 岩崎スミ子 末黒野 201501
なわ張りを争ふ鳩の秋の昼 出口誠 六花 201501
地下鉄の路線図迷路秋の昼 須賀敏子 あを 201501
魚市場におとなしき猫秋の昼 今井春生 201502
よろづ屋の昏きより猫秋の昼 荒井千佐代 201502
手鏡を差し出す歯科医秋の昼 永井惠子 春燈 201511
池の辺に似顔絵描きや秋の昼 廣瀬雅男 やぶれ傘 201511
図書館の木椅子飴いろ秋の昼 青谷小枝 やぶれ傘 201511
秋の昼本の頁にチョコの染み 小山陽子 やぶれ傘 201512
二人してパズルに夢中秋の昼 出口誠 六花 201512
夫婦してパズルのできぬ秋の昼 出口誠 六花 201512
秋の昼乗換へ駅はビルの底 渡邊孝彦 やぶれ傘 201602
プロパンのボンベが二本秋の昼 青谷小枝 やぶれ傘 201602
秋の昼涙腺ゆるぶコンサート 岡野ひろ子 201602
秋昼のオラショは寄する波のごと 荒井千佐代 201611
老猫の寝場所を移す秋の昼 横山さくら 春燈 201611
秋の昼絵文字のメール受けにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201611
美容師に見送られたる秋の昼 篠藤千佳子 201612
鳥たちがせわしなく飛ぶ秋の昼 出口誠 六花 201612
秋の昼いりこの辺りで待ち合わす たかはしすなお 201612
秋の昼カバンの上に頭乗せ たかはしすなお 201612
夫の淹れるキサマンジャロや秋の昼 井上正子 童女 201701
秋の昼老僧下るねねの道 高木邦雄 末黒野 201704
ハモニカのたどたどしく過ぐ秋の昼 長崎桂子 あを 201711
スカイツリーぽつんと高し秋の昼 森なほ子 あを 201711
折り紙は得意なんです秋の昼 林田麻裕 201712
木の香る楽器工房秋の昼 塙誠一郎 201712
縄張りを争ふ蝶に秋の昼 出口誠 六花 201801
真白なる天井にらむ秋の昼 出口誠 六花 201801
交番へ出前の届く秋の昼 安藤久美子 やぶれ傘 201710
掃除機の音が上から秋の昼 出口誠 六花 201712
秋の昼砦のやうな発電所 有賀昌子 やぶれ傘 201712
幼子と折り紙遊び秋の昼 亀岡睦子 やぶれ傘 201712
多摩川に人はまばらな秋の昼 小池一司 やぶれ傘 201712
老人の世話も老人秋の昼 高倉和子 201801
紫煙流るる街騒遠く秋の昼 大嶋洋子 春燈 201811
パソコンが点けつぱなしの秋の昼 出口誠 六花 201812
秋の昼母がつぶやく己が歳 小林朱夏 201812
先客の声がとぎれて秋の昼 秋川泉 あを 201812
商ひは尺貫法や秋の昼 曽根富久恵 201907
恐竜が出さうな昏き秋の昼 近藤紀子 201911
秋の昼平和の橋が錆びてをり 篠田大佳 あを 201912
秋の昼諸佛明るし法輪寺 今泉忠芳 ある日の滴 201912
二月堂鴟尾を見放くる秋の昼 今泉忠芳 ある日の滴 201912
秋の昼手持ちぶさたの献血車 瀬戸薫 風土 201912
秋の昼拘束衣からパジャマヘと 廣畑育子 六花 202002
岩に乗り甲羅干す亀秋の昼 森美佐子 やぶれ傘 202002
秋の昼今年二度目の火葬場 増田裕司 やぶれ傘 202002
キャンパスのピザの移動車秋の昼 田邑利宏 202002
仏壇の塵よく見ゆる秋の昼 曽根富久恵 202005
とりあへず十句そろへて秋の昼 出口誠 六花 202011
秋の昼ドアの閉開ゆつくりと 出口誠 六花 202012
秋の昼国勢調査の人が来る 出口誠 六花 202012
秋の昼ゆつくり静かに行動す 出口誠 六花 202012
秋の昼女性がひとり座す画廊 丑久保勲 やぶれ傘 202101
図書館ヘペダル踏み込む秋の昼 岡井マスミ 末黒野 202102
秋の昼手持ちぶさたの献血車 瀬戸薫 風土 202102
ゆつたりと納戸横切る秋の昼 小林朱夏 202104
回転扉ふたりで入る秋の昼 天谷翔子 202104
釣人の背に猫や秋の昼 喜田君江 末黒野 202111
手長猿の手に見とれゐる秋の昼 安藤久美子 やぶれ傘 202111
秋の昼バスに多くの年配者 宮元陽子 末黒野 202112
ブギ・カンカン昭和歌謡の秋の昼 七郎衛門吉保 あを 202112
夫と唄ふ小学唱歌秋の昼 永島雅子 春燈 202201
焼きたてのパンをちぎりて秋の昼 山田ゆきこ 202201
秋の昼大歳時記の千頁 七郎衛門吉保 あを 202211
乾燥機回り続ける秋の昼 出口誠 六花 202212
火傷した皮ふの厚さよ秋の昼 出口誠 六花 202212
秋の昼やけどのあとをなぞりけり 出口誠 六花 202212
秋の昼チーズで酒を飲んでをり 出口誠 六花 202212
秋の昼次男は義母の家にゐる 出口誠 六花 202212
仏壇の掃除を終へて秋の昼 出口誠 六花 202212
誰からか電話の来たる秋の昼 出口誠 六花 202212
身に覚えなき督促よ秋の昼 出口誠 六花 202301
秋の昼不安の種が増えてをり 出口誠 六花 202301
トンネルに退避所いくつ秋の昼 佐藤稲子 やぶれ傘 202302

 

2023年9月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。